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ファクタリングコラム
2023年12月25日
目次
資金調達手段としてファクタリングを用いる企業・事業者が増えつつあります。
特徴的なのは、売掛債権を売却し、売掛金が入金されたらファクタリング会社へ送金する仕組みが短期間で行われる点です。
上記の仕組みは、短期借入金のような流れであるため、どのように仕分けるべきか悩んでいる企業・事業者もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ファクタリングを短期借入金として処理してもいいのか、正しい仕訳方法について解説します。
ファクタリングと短期借入金それぞれの特徴について理解してもらえれば、どのように処理すべきなのかが見えてくるはずです。
では、両者の特徴について解説するので、それぞれの概要を理解していきましょう。
ファクタリングは、自社が保有している売掛債権を業者に譲渡・売却して、現金を得る資金調達手段です。
基本的には、売掛債権の支払い日に自社へ入金された売掛金をファクタリング会社へ送金することで契約は正常に行われます。
性質的には売掛債権は資産に該当し、借入金には該当しません。
日本における売掛債権の支払いサイトは、その多くが30〜90日に設定されています。
そのため、ファクタリングの契約では、長くとも3ヶ月前後で完了するので、短期借入金のような性質に感じるのでしょう。
短期借入金は1年以内に返済する借入金を指し、長期借入よりも期間が短い分、金利が低いのが特徴です。
性質として短期借入金は流動負債に該当し、長期借入金は固定負債として区分けする必要があります。
基本的には運転資金を想定した借入であり、売掛金の回収で返済できるような金額で設定されるケースがほとんどです。
それぞれの特徴を見比べてみると、ファクタリングは短期借入金に該当しないのがわかるはずです。
そもそも、ファクタリングは借入ではなく売掛債権の売却であり、短期的に返済する形はとるものの、決して借金ではありません。
ファクタリングで得られた現金は借方欄の普通預金、引かれた手数料は売上債権売却損として仕訳します。
ファクタリングは短期借入金ではないと説明しましたが、例外的に処理する取引があります。
それは動産担保融資(ABL)と呼ばれる取引で、売掛債権を担保に借入をした場合には、短期借入金として仕訳が必要です。
ただし、ファクタリングの条件に合致する場合には短期借入金として処理できないので、以下に該当するかは必ず確認しましょう。
・債権譲渡の登記が行われている
・現金振込などの通常の方法で資金調達可能
・償還請求権なしの契約(ノンリコース契約)
上記は企業会計基準委員会が公表している「金融会計基準第10号、金融商品に関する会計基準」をわかりやすく要約したものです。
上記の条件を全て満たさない場合は融資になり、動産担保融資が該当し、短期借入金として処理します。
ファクタリングの場合には、手数料の制限はありませんが、動産担保融資では利息制限法の範囲内で取引しなければならず、年利換算で手数料が20%以上は設定できません。
さらに、実質的な借入・融資になるので、貸金業の登録が必要です。
正確にいえばファクタリングではないものの、性質が似ている点として動産担保融資があり、例外的な短期借入金となる点を覚えておきましょう。
ファクタリングが短期借入金として処理されない点はわかったが、一体どのように仕訳をすればいいのか、知りたい方も多いでしょう。
では、ファクタリングの正しい仕訳方法について、流れに沿って解説します。
今回は2社間ファクタリングを行った際の仕訳方法です。
まずは、売掛金が発生した際の仕訳ですが、以下のように処理しましょう。
・借方:売掛金200万円
・貸方:売上200万円
この状態で、ファクタリング会社と2社間契約を行った場合、借方には売掛金ではなく未収入金として区分してください。
貸方には売掛金として手数料を記載しましょう。
今回は手数料10%と過程し、20万円と設定しました。
・借方:未収入金200万円
・貸方:売掛金20万円
その後、ファクタリング会社から入金されたら、借方は得られた金額は普通預金、手数料は売上債権売却損として扱います。
・借方:普通預金180万円・売上債権売却損20万円
・貸方:未収入金200万円
上記がファクタリングの処理方法です。
流れを理解して短期借入金との処理方法とは異なる点を把握しておきましょう。
短期借入金に該当しないファクタリングには、以下のような種類があります。
・買取型ファクタリング
・保証型ファクタリング
・2社間ファクタリング
・3社間ファクタリング
では、それぞれのファクタリングについて見ていきましょう。
一般的に利用されるのが買取型ファクタリングで、支払い期日前の売掛債権を売却し、手数料が引かれた分の現金が得られる仕組みです。
最近では、オンライン上で手続きが完結される会社も増えており、ますます利便性の向上が見受けられます。
また、個人事業主やフリーランスが利用できるファクタリング会社も登場し、ファクタリングといえば買取型をイメージする方が多いでしょう。
買取型ファクタリングでは、1〜30%ほどが手数料の相場となっています。
売掛先が倒産し、売掛金の回収ができなくなるのを見越して、保証してもらうのが保証型ファクタリングです。
契約時に保証料を支払い、もし売掛先から通常通り支払いがあれば、そのまま取引は終了します。
一方、売掛先から回収不可能と判断された場合は、ファクタリング会社が代わりに保証します。
保証料は売掛金の1〜8%が平均相場です。
依頼主・ファクタリング会社の間でのみ取引が行われるのが2社間ファクタリングです。
売掛先に通知されることはなく、入金までのスピードが早い特徴があり、基本的には2社間で契約する方が多いです。
まず売掛債権を譲渡した際にファクタリング会社から入金されます。
その後、支払い期日に売掛先から自社へ入金されたものをそのままファクタリング会社へ送金するのが2社間ファクタリングの流れです。
依頼主・ファクタリング会社・売掛先でやりとりを行い、手続きを進めるのが3社間ファクタリングです。
ファクタリング会社が売掛先とやりとりをする分、審査が通りやすく手数料も低い傾向にあります。
売掛先からファクタリング会社へ直接送金されるので、自社の手間は省ける一方、ファクタリングをする旨を売掛先から了承してもらわなくてはいけません。
ここでは、ファクタリングと短期借入金に関してよくある質問についてまとめました。
ファクタリングは担保・保証人が不要なので、動的担保融資である可能性が高いです。
もし動的担保融資と伝えられておらず、理由なく担保・保証人が必要と説明された場合は、悪徳業者であるかもしれないため、利用は避けたほうがいいでしょう。
ファクタリングは手数料を経費として計上可能なので節税対策として利用することもできます。
ただし、他の節税対策よりはメリットは少ないため、優先的に行うよりも、手間が少ない方法あるいは他にやることがない場合におすすめです。
今回はファクタリングは短期借入金として処理すべきなのか、正しい仕訳方法について解説しました。
ファクタリングは債権譲渡に該当するため、似てはいるものの短期借入金ではない点がわかってもらえたはずです。
ファクタリングと短期借入金の違いを理解して、正しい処理を行えるようにしましょう。
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