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ファクタリングコラム
2022年5月9日
目次
ファクタリングは他の資金調達方法とは違うスキームを持つ資金調達方法であり、そのスキームを正しく理解することが、ファクタリングを資金繰りに活用するためには必要です。本稿では「仕組み・メリット・注意点」など、ファクタリングを正しく活用するために必要な知識を解説させていただきます。
ビジネスを行う中で利用されることが多いスキームという言葉は、英語の「scheme」からきており、「計画」や「枠組み」「仕組み」という意味合いで利用される言葉です。「枠組み」とは、物事の大筋ということであり、ファクタリングのスキームとは「ファクタリングの概要や仕組み」というような意味となります。
「ファクタリングとは何か?」という質問が行われたとすれば、「事業者の資金調達の一手段」がその答えの1つとなります。金融庁のサイト内でもファクタリングはこのように表現されており、このことから個人向けの商品ではなく事業者向けであり、「資金調達を目的としたサービス」であることも理解していただけるはずです。
・一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買取るサービス
金融庁の公式サイト内にはファクタリングのスキーム(枠組み)に関して触れた一文があり、その中では上記のように記載されています。実はファクタリングと名の付くサービスは金融庁が「一般に」と注釈を行い紹介しているサービス以外にも存在しており、「一般的なファクタリング」は他のサービスと勘違いがおきないように、「買取ファクタリング」とも呼ばれています。ちなみに一般的とは言えないファクタリングとしては、売掛債権に関しての保険的なサービスとなる「保証ファクタリング」や、海外企業との取引をサポートする「海外ファクタリング」などがあります。
金融庁はファクタリングに関して、「法的には債権の売買(債権譲渡)契約です」とも明言しており、資金調達におけるスキームを含めて融資とは全く違う資金調達方法であることがわかります。またファクタリングそのものを定義する法律は存在していないものの、民法の中に法的根拠が存在しています。
・民法第466条(債権の譲渡性)—債権は財産であり譲り渡すことができる
・民法第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)—譲渡人が通知を行い債務者が承諾することで第三者への対抗要件が満たせる
・民法第555条(売買)—契約を行い、その代金を支払うことで売買契約は成立する
上記した3つの項目が民法内にあるファクタリングの法的根拠と、その要約の一部です。これらは、契約を正しく行い代金を支払う売掛債権の売却は法的にも認められており、売掛先への通知を行う3社間ファクタリングは、債権譲渡の方法として有効であることの証拠となります。
債権売却によって現金化を行うファクタリングのスキーム(仕組み)は、それほど複雑ではありません。しかし売掛先への通知を行う「3社間ファクタリング」と通知が不要の「2社間ファクタリング」ではそれぞれのスキームに若干の違いがあります。
・3社間ファクタリングのスキーム(仕組み)
「売掛債権の発生」→「ファクタリング会社への申込み・審査」→「売掛先への通知」→「契約手続き・債権の買取」→「売掛先からファクタリング会社への支払い」
・2社間ファクタリングのスキーム(仕組み)
「売掛債権の発生」→「ファクタリング会社への申込・審査」→「契約・債権の買取」→「売掛先からファクタリングを利用した企業への支払い」→「ファクタリング会社への支払い」
契約方法による大きな違いは、売掛先への通知の有無とファクタリング会社への支払いを売掛先から直接行うかどうかという2点になります。
①申込—Webからのオンライン申込み・電話・郵送・来店しての手続きなどから選択可能
②書類提出—身分証明書・売掛債権の存在を示す書類・売掛先との取引実績を示す書類などが必要
③審査—審査前に申込時に申請した情報に関するヒアリングが行われることもあり
④契約—来店・郵送以外にもWeb上で契約手続きを行う電子契約が利用できる場所も増加中
⑤買取—多くは指定した口座への振り込みによって買取代金が支払われる
⑥支払い—売掛先からの決済後ファクタリング会社への支払い(3社間ファクタリング利用時は売掛先から支払いが実行されるため、原則不要)
上記したのはファクタリング利用時の簡単な手続きの流れです。融資などとは流れに違いがありますが複雑ではなく、ファクタリング会社の説明を受けながら手続きを進めれば戸惑うことはあまりないはずです。
ファクタリングの利用によって他の資金調達方法では得ることが難しいメリットを幾つも得られますが、やはり幾つかの注意点も存在しています。仕組みや大枠などのファクタリングのスキームを知った上で、この資金調達方法のメリットと注意点の両方を理解して利用することが大切です。
本来の決済日よりも早くに売掛債権を現金化でき、決済日までの資金繰りの負担を解消することが可能となります。ただし決済日までの残り日数が長過ぎると判断された場合は、審査結果や設定される手数料に影響が出てしまう可能性がありますのでご注意ください。2ヶ月以内であれば影響はないと言われていますが、不安を感じる場合には申込先に相談してみてはいかがでしょうか?
事業者向けの資金調達方法は、融資や投資家からの出資、他にもクラウドファンディングなど様々な選択肢が考えられます。ですが資金調達方法の多くは資金を手にするまでに必要な期間が短いとは言えず、数ヶ月もの期間が必要になる可能性も低くはありません。これに対してファクタリングは最短であれば、「即日債権現金化」も期待できる早さが魅力です。現金を急ぎで必要なシチュエーションにもファクタリングは役立つのです。
融資の審査通過が中小企業や個人事業主にとって難しいと言われるのは、これまでの「経営実績」が審査に大きく影響し、返済能力や返済計画なども問われることになるのが大きな理由です。また中小企業や個人事業主は事業性評価を行うのが金融機関にとって難しく、融資を行う上でのリスクが低くないと判断されやすいのも融資を受けにくくなる理由の1つです。しかしファクタリングでは債権の売却を行う企業の、過去の経営実績や支払い能力などは審査にほとんど影響せず、売掛先の「信用力」の判断材料となる債権者との取引実績や支払い能力が審査で重要となります。
融資による資金調達では負債額が増えることで利息が増加し、返済の負担が大きくなる危険があります。そして他にも債務超過に陥る危険や、決算書への悪影響も考慮しなくてはなりません。しかしファクタリングならば資金調達に利用しても負債額を増やすことはなく決算書などへの悪影響が避けられます。それどころか貸借対照表のスリム化を進めることが可能であり、自己資本利益率の向上などによって決算書の内容の改善までも期待できるのです。
ファクタリングを利用する際には、提示された手数料の額に注目する必要があります。なぜならファクタリングは手数料の相場が「2%から30%」と幅広く、また上限を定める法律がないため、高額な手数料を請求される可能性もゼロではないからです。売掛債権を売却する上で手数料は非常に重要なポイントですが、その他の諸費用が請求された場合も、本当に必要な費用かをしっかりと確認することが大切です。
「2社間」と「3社間」という2つの契約方法が選択可能なファクタリングですが、この契約方法に関してのスキームを理解して選ぶことが大切です。システム的な大きな違いは「売掛先に通知を行うかどうか」であり、2社間ファクタリングは通知が不要で、3社間ファクタリングでは通知を行います。しかし2社間は素早い資金調達は可能ですが手数料が高めになりやすく、3社間は手数料が安くなりやすいものの売掛先からの理解が必要という違いがあります。
ファクタリングのスキームを正しく理解することができていれば、ファクタリングは融資とは大きく違う資金調達方法であることが理解しやすくなります。もし申込先が担保や保証人を求めてきたり、手数料や債権代金の分割払いを推奨してきたりした場合は、実質的に融資と判断される可能性があります。そのような場所は金融機関を除いてヤミ金融が関係している危険が高く、契約内容はしっかりと確認することが重要です。
どんな資金調達方法にも共通することではありますが、ファクタリングに関しても正しく売掛債権売却による現金化のスキームと、メリットだけでなく注意点も理解して利用することが大切です。正しく理解することができていればトラブルに巻き込まれたり予想していた結果が得られなくなったりする可能性は低くなり、資金調達の成功が大きく近づきます。
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