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ファクタリングコラム
2024年5月2日
目次
売掛金の決済期日までの資金のやり繰りは、特に中小企業にとっては大きな悩みではないでしょうか?継続的に取り組むべき問題でもあることから「何か良い方法はないか?」とお考えになられている経営者様も多いはずですが、その鍵となるのは「債権流動化」です。債権流動化という言葉の意味から、その選択肢やメリット・デメリット、そしてファクタリングとの関係まで。この記事では「債権流動化」の基礎知識を解説します。
債権流動化の「流動化」とは「停滞させることなく流れ動くようにすること」という意味です。そして債権流動化とは売掛金や受取手形などの売掛債権を活用し、決済期日が訪れる前に資金調達を行うことを指します。債権流動化における資金調達の方法としては、第三者への譲渡(売却)や債権を担保とした融資が代表的な方法となります。
ハッキリ言ってしまえば、資金繰りに特に問題がないのであれば決済日前に債権流動化による資金調達を行う必要は特にありません。逆に言えば債権流動化を行うことで、資金繰りに問題を抱えていた企業が経営状況を改善できる可能性があるということにもなります。ただし債権流動化にもメリットだけでなく、気をつけていただきたいデメリットも存在していますので、その両方を理解した上で債権流動化を行うことが必要です。
債権流動化を行う最大のメリットは「債権の決済日前に現金を得られる」ことに違いありません。決済日までの資金繰りに関して自己資金に不安がある企業様も、早期に資金調達を行うことができれば、その資金を経営に回すことができます。掛取引を行う上で大きく影響する、支払サイトの問題が債権流動化によって解決可能なのです。
バランスシート(貸借対照表)上で資産や負債が計上されない状態のことを「オフバランス化」と呼び、債権流動化によってオフバランス化を進めることが可能となります。潤沢な資産があることは決して悪いことではないのですが、売掛金が多く資産として計上されている状況ではROA(総資産事業利益率)の値は高くなりにくくなります。しかし債権流動化によって売掛金を減らすことができれば、ROAの値は上昇し「効率的な経営により利益を得ている企業」という評価を得られやすくなるのです。ROAの数値だけで企業価値が決まるわけではありませんが、債権流動化によって売掛金を減らすことは1つの指標となるのは間違いありません。
銀行融資では担保や保証人が用意できれば審査に通過しやすくなりますが、債権流動化では売掛債権が担保として扱われたり、売却する品物として利用されます。債権流動化のおかげで、信用保証協会による保証を受けないプロパー融資と比較すると、大幅に利用する難易度が低くなります。資金調達までのハードルが低めなのは、融資を受けるのが難しいと言われる中小企業や個人事業主様にとって大きなメリットとなります。
債権流動化によって融資を受けるとしても債権の売却を行うとしても、利息や手数料が必要となります。債権流動化はある程度の費用が発生するのは仕方がないと考えるべきですが、決算日よりも早期に資金調達を行うほどに手数料や金利は高くなる傾向があり、費用を引いた後の実際に手元に残る額を考慮して債権流動化を行う必要があります。
万が一、資金調達に活用した売掛債権が不良債権となってしまった場合には、状況次第では債権の買戻しや資金調達した現金の返却などを求められてしまう可能性があります。償還請求権のない契約をしておけば危険を回避することが可能となりますが、弁済義務について確認しておかないと資金繰りを苦しめる原因にすらなりかねません。
・売掛債権担保融資(ABL)
・売掛債権証券化
・手形割引
・ファクタリング
債権流動化を行う際の主な選択肢は上記した4つとなります。売掛債権を活用した資金調達方法という共通点はあるものの、その内容やメリット・デメリットは様々であり、特徴を理解した上で選択しなくてはなりません。ここからは4つの債権流動化の選択肢の概要とメリット・デメリットを簡単に解説させていただきます。
売掛債権を担保として利用し、金融機関から融資を受けるのが「売掛債権担保融資(ABL)」です。融資ですので調達した資金は負債として扱われることになります。また返済が滞った場合には担保に設定した売掛債権を用いて弁済する必要があります。債権を担保にすることで審査通過の確率は高まりますが、審査自体は通常の融資と同じように行われますので、素早い資金調達はあまり期待できません。
売掛債権を持つ企業が「特別目的会社(SPV)」に債権を譲渡し、SPVが証券化して投資家からの資金を募る形で資金調達を行うのが「売掛債権証券化」と言われる手法です。SPVは債権者と投資家を繋ぐ仲介役としての立場に近いのですが、もちろん費用が発生します。また少額の債権でこの手法を行うのは難しいことや、手続きの複雑さから利用頻度が高いとは言えない資金調達方法です。
手形割引は支払いに強制力を持つ「受取手形」を、決済期日が訪れる前に手形割引業者や金融機関に売却し現金化する資金調達方法です。売却と言っても手形が不渡りとなった際には、弁済義務が発生し買戻しを求められることになりますので、実際には融資と同様に扱われます。また割引料と呼ばれる費用が必要になります。
売掛金をファクタリング会社に対して売却し現金に変えるのが「ファクタリング」であり、「売掛債権買取業務」とも呼ばれることがあります。手形割引に近いイメージではありますが、ファクタリングでは原則的に弁済義務はなく売掛先が支払い不能の状態に陥ったとしても売掛金の買戻しが求められることはありません。
債権流動化には幾つかの選択肢がありますが、その中でも特に個人事業主様や中小企業におすすめしたいのは「ファクタリング」です。債権流動化を勧める理由は資金調達後のリスクの低さや素早い資金調達を可能とすることが挙げられます。さらには企業評価への悪影響がなく経営状況の改善まで期待できるなど、債権流動化は非常に利用価値が高い資金調達方法です。
ファクタリングは「ノンリコース」での契約となるのが原則です。ノンリコースは「償還請求権なし」とも現され、この契約方法を選ぶことで契約締結後は自社が起因となるトラブル以外での売掛金に関する責任を問われなくなります。手形割引の場合は債権の支払いが実行されるまでは安心することができませんが、ファクタリングは安心して調達した資金を経営に活用することができます。
売掛債権担保融資を含め借入れによる資金調達は急ぎで現金を用意したい時には向いているとは言えません。しかしファクタリングは即日での資金調達の可能性も充分にある、スピード感の高い資金調達方法なのです。さらに審査で自社の経営状況よりも売掛先の信用力が重視されるなど、経営状況に不安のある企業も利用しやすいというメリットもあります。
ファクタリングで得た資金は負債として扱われることがありません。債権の売買(譲渡)契約であることから当然ではありますが、債務超過に陥る危険がなく貸借対照表の肥大化を回避しスリム化を進めることもできます。さらにオフバランス化ができることで、企業としての評価を高める効果も期待できるのです。
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債権流動化という選択肢を持つことで、資金繰りに関する「余裕」を持つことができます。絶えず流動化による資金調達を行わなければならないわけではなく、もしもの時に頼る資金調達方法と考えるのもおすすめです。資金繰りに余裕を持つことができれば、会社経営は今より一層スムーズになるはずです。
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