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ファクタリングコラム
ファクタリングによる資金調達を行うには、ファクタリングという制度を正しく理解しておく必要があります。
どのような資金調達方法かなどの知識を正確に持つことで、トラブルに巻き込まれる危険性を下げる効果も得られます。
本稿では「ファクタリング制度の概要・メリット」を中心に、ファクタリングと関係性がある「債権譲渡登記」と「ABL(売掛債権担保融資)」という2つの制度についても併せて解説させていただきます。
「ファクタリング制度とは何か?」という問いに対して、正確かつ具体的に説明できる方は、実はそれほど多くはありません。
確かに、「中小企業や個人事業主向けの資金調達方法であること」や、「即日で資金調達が可能」といったメリットについては、なんとなく理解されているケースも多いでしょう。しかし、その背後にある仕組みや契約形態、費用の考え方など、制度の本質をわかりやすく説明できる人は限られているのが現実です。
もちろん、ファクタリングの詳細な知識がなくても、サービスを利用して資金を調達することは可能です。ただし、制度についての正しい理解があることで、より安全かつ適切にファクタリングを活用できるようになります。たとえば、「どのような取引が対象になるのか」「どんな契約形態があるのか」「どの業者が信頼できるのか」などの情報を事前に把握しておくことで、トラブルの回避や、より有利な条件での資金調達にもつながるのです。
これからファクタリングを検討する方には、まず制度の基本的な仕組みをわかりやすく解説した一覧表や比較資料に目を通すことをおすすめします。視覚的に整理された情報は、複雑に見える制度も理解しやすくなり、判断材料として非常に役立ちます。
正しい知識と理解をもとに、自社に最適なファクタリングサービスを選び、賢く安全な資金調達を実現していきましょう。
「金融庁 ファクタリング」などとネット検索していただければ、金融庁のサイト内にある「ファクタリングに関する注意喚起」という記事に辿り着けるはずです。
その記事の中には「ファクタリングとは、債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス」と書かれており、これが金融庁によるファクタリング制度に対する見解と考えることができます。
・一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス
上記したのも金融庁のサイト内に記載されている一文です。
実は「ファクタリング」と名の付くサービスは幾つかあり、金融庁が「一般に」と記しているファクタリング制度は「買取ファクタリング」と呼ばれているサービスに該当します。
他にも売掛債権に対しての保険的なサービスである保証ファクタリングや、輸出企業が海外企業との取引を行う際の主に債権回収に関するサポートを行う「国際ファクタリング」などもあります。
しかし一般的にファクタリングと呼ばれているのは買取ファクタリングと理解していただいて、特に大きな問題はありません。
ファクタリングの利用経験がない経営者様の中には、「ファクタリングは違法性がある資金調達方法ではないか?」と不安に感じていらっしゃる方がおられるかも知れません。
この不安に関する回答も金融庁は行っており、金融庁の見解に該当するファクタリングサービスに関して、「事業者の資金調達の一手段」とはっきりと記載しているのです。
売掛債権売却による現金化制度は国も認める資金調達方法であり、違法性に関しての心配はありません。
売掛債権を売却し現金化する行為は融資に該当することがなく、ファクタリング制度を事業として営むのに貸金業登録は必要としません。
ですがもし、手数料の分割払いが可能であったり、売掛先が倒産した際に債権の買戻しが必要とされていたりする場合には、融資に該当するサービスと判断される可能性が高くなります。
貸金業を営む権利を持たずに融資に該当する行為を行っている場合は、ヤミ金融の関係する悪質ファクタリング会社と考えられますので、大きなトラブルに巻き込まれる危険も高く利用すべきではありません。
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却し現金化する資金調達方法であることは、この資金調達方法に興味を持つ方の多くがご存知かも知れません。
しかしファクタリングは法的には売掛債権の売買契約であると同時に、「債権譲渡契約」にも該当するということも理解しておくことが大切です。
契約が成立した時点で該当の債権はファクタリング会社が債権者となっており、代金を受け取る権利だけでなく付随してくる責任も元の債権者からは離れているということになるのです。
融資には貸金業法などの、融資という制度を正しく運用するための法律が制定されています。
しかしファクタリングにはこの制度を定めた法律は存在していません。
ですが売掛債権を売却し現金化する行為に違法性がないことを示す法的根拠は、「民法」の中に存在しています。
・債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りではない。
上記したのは民法第466条の第一項です。
これにより売掛債権を譲渡する行為に違法性がないことが証明されます。
「その性質がこれと許さないときは」とありますが、以前は債権譲渡禁止特約が付与された売掛債権は売却が難しかったのですが、2020年の民法改正によって売却可能となり利用しやすくなったのもポイントです。
・指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
民法第467条には債権を譲渡した後の第三者対抗要件を具備するための条件が明記されています。
債権譲渡の通知を債務者に対して行うか承諾を受ければ、債権の二重譲渡などのトラブルが発生しても権利を主張できるようになります。
しかし第二項には「確定日付のある証書」とも記載されており、通知を行っても日付などの記載がない場合は有効な書類とは認められません。
・売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
ファクタリングは債権譲渡契約であり売買契約でもあります。
売買契約を正しく締結するには、契約書などを用いて手続きを行い、その上で買取側が代金を支払う必要があります。
契約しただけで代金を受け取っていない状況では売買契約は効力を発揮していないことになりますので、少し注意が必要です。
・最短即日で資金調達可能
・本来の決済日よりも早く売掛債権を現金化できる
・ファクタリング制度を利用する企業の経営状況は審査への影響が小さい
・負債額を増やさず資金調達ができる(貸借対照表のスリム化)
・売掛先の倒産リスク対策にもなる(償還請求権なし)
上記したのはファクタリング制度を利用することで得られる代表的なメリットです。
この多くが融資など他の資金調達にはないメリットであり、赤字経営でも利用可能など利用の際のハードルも融資と比較して低いという特徴があります。
多くの企業にとって、ファクタリング制度を利用するメリットは小さくはないはずです。
ファクタリングについて情報収集を行っていると「債権譲渡登記制度」と「ABL(売掛債権担保融資)制度」という2つの制度を目にすることがあるかも知れません。
前者はファクタリングを利用する際に必要となる可能性のある登記制度であり、後者はファクタリングと混同されることが珍しくない資金調達方法です。
ここからは、この2つの制度の概要などを解説させていただきます。
債権譲渡登記を行うことによって、該当の売掛債権に関する第三者対抗要件が備えられます。
第三者対抗要件を満たすことができれば、債権の二重譲渡などが行われた場合に権利を争うことになったとしても、売掛債権の所有権を主張できます。
この働きを利用し、債権譲渡後にトラブルが起きた場合の対策の1つとして、ファクタリング会社は債権譲渡登記制度を活用することがあるのです。
ファクタリング会社が債権譲渡登記制度を必要とするのは、ほとんどの場合で「2社間ファクタリング」に限定されます。
なぜなら3社間ファクタリングでは売掛先に対して債権譲渡の通知を行い、民法467条で定められている第三者対抗要件を備える条件を満たすことができるからです。
2社間ファクタリングでは売掛先への通知を行うことはありませんので、第三者対抗要件を備えるためには債権譲渡登記制度が必要になります。
・登録免許税—7,500円(債権個数5000個を超える場合は1件15,000円)
・司法書士への報酬—50,000円〜100,000円程度
債権譲渡登記制度を利用するための主な費用は上記した2つになります。
他にも概要証明書の取得費用や郵送費などが発生する可能性もありますが、それらは数百円程度であり大きな額ではありません。
もっとも大きな額となる司法書士への報酬は、依頼先によって大きく違いが出るかも知れませんが、基本的にファクタリング会社と関係のある司法書士への依頼となり依頼先を選べる期待は高くありません。
債権譲渡登記は2社間ファクタリング利用時に「必要になる可能性がある制度」であり、決して必須ではありません。
実際に弊社「買速」では、債権譲渡登記制度を利用せずに2社間ファクタリング契約を行っていただくことが可能です。
手続きにかかる時間や費用の削減を希望されるのであれば、債権譲渡登記の留保可能な場所をお選びください。
売掛債権担保融資や動産・債権担保融資などと呼ばれる「ABL(Asset Based Lending)制度」は、ファクタリングと混同されてしまうことが少なくない資金調達方法です。
ABLは売掛債権や各種設備などを担保として融資を受ける制度であり、資金調達により得た資金は負債にカウントされます。
担保がある分、融資を受ける際のハードルが低くなるのがメリットですが、担保の価値が融資額に大きく影響するという注意点も存在しています。
ファクタリングとABLという2つの制度の共通点は、どちらも「売掛債権を活用した資金調達方法である」という点にあります。いずれも企業が保有する将来の入金予定(売掛債権)を現金化する手段ですが、その仕組みと性質には大きな違いがあります。
まず、ファクタリングは「債権の売買」であり、売掛債権そのものをファクタリング会社に譲渡して現金化するため、融資とは異なり負債として計上されません。一方、ABL(アセット・ベースト・レンディング)は、あくまでも売掛債権や在庫などの資産を担保にした融資契約であり、これは明確に銀行などの金融機関の融資商品に分類されます。つまり、ファクタリングは債権譲渡、ABLは銀行融資という資金調達の根本的な違いがあるのです。
審査基準においても違いは明確です。ファクタリングでは、売掛金の支払者(売掛先)の信用力が重視されるため、申込企業が赤字であっても利用できるケースがあります。それに対しABLでは、あくまで融資の一形態である以上、申し込みを行う企業自身の返済能力や財務状況が厳しく審査されます。
また、ファクタリングは基本的に法人向けのサービスですが、最近では個人事業主やフリーランスに向けた少額対応型のサービスも登場しており、「給料ファクタリング」といった形で、個人が持つ報酬債権を対象とするスキームも問題視されつつ一部で存在していました。ただし、このような個人向けファクタリングの多くは、法律的に「貸金業」に該当する可能性があるとして、金融庁や監督機関からの指導対象となっており、現在では事実上の禁止に近い状況となっています。
したがって、法人が資金調達の手段としてファクタリングとABLを比較検討する際は、自社の状況や信用力、取引先の健全性などを考慮し、適切な制度を選ぶことが求められます。
ファクタリングという制度を正しく理解することは、サービスを利用するうえで非常に重要なポイントとなります。ただ何となく使うのではなく、その法律上の位置づけや仕組みについてもしっかりと把握しておくことで、制度をより安全・効果的に活用することができます。
特に注意したいのが、融資と同様の契約条件を提示してくる悪質なファクタリング会社の存在です。本来ファクタリングは「債権の売買契約」であり融資とは異なりますが、中には「払え」と強引な取り立てを行うなど、実質的に貸金業と変わらない運営をしている業者も見受けられます。このような業者は、往々にして法律上の許可を得ずに営業している無登録業者**である場合が多く、関わることで企業側がトラブルや法的リスクを背負う可能性も否定できません。
企業にとって大切な売掛債権を資金調達に活かすには、制度のメリットだけでなく、潜在的なリスクについても把握しておくことが重要です。そのためにも、法律に基づいた運営を行い、正式な許可を得ているファクタリング会社を選ぶことが、安全で信頼性の高い取引への第一歩となります。
安心して制度を利用するためにも、ファクタリングの基本的な構造や法的背景についての理解をしっかり深めておくことを強くおすすめします。
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