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ファクタリングコラム
2024年12月14日
目次
ほとんどの企業は商品を受け取ったタイミングでは代金を支払わず売掛金を発生させ、指定した決済日に支払いを実行する掛取引と言われる方法で取引を行っています。
しかし信用を重視した取引方法である掛取引には、売掛先の倒産などによって売掛金の回収が不可能になる貸倒れのリスクが潜んでいることを忘れてはなりません。
今回は不幸にも売掛金が回収不能になってしまった時の仕訳方法と、売掛金が回収不能になる前に行うべき回避方法を解説します。
回収不能になってしまった売掛金は、適切な仕訳を行うことで経費として計上することが可能です。
予定通りに決済が行われることが理想なのは確かですが、経費として計上できれば課税の回避などの効果が得られ損害を抑えられます。
経費として処理できる状況などを知り、いざとなった時に慌てず素早く対応できるようにしておくのも大切なことです。
回収不能となってしまった売掛金の仕訳上の項目は、「貸倒損失」となります。この項目で仕訳を行うことで、何かの理由で回収不能となった売掛金は損金となりますが、貸倒損失ではなく「貸倒金」という項目で記載しても問題はありません。
貸倒損失として仕訳上で処理するためには、これからご紹介する大きく分けて3つある状況のいずれかに該当している必要があります。
いずれの条件を満たすこともできていない場合は、売掛金は回収不能となっていると言うことはできず、貸倒損失として処理したとしても誤った仕訳を行っていると判断されかねません。
・更生計画の認可
・再生計画の認可
・債権者集会の協議決定
・特例精算に係る協定の認可
・長期に渡る債務超過の継続と弁済が受けられない状況での債務者に対しての債務免除
上記したような状況に債務者が陥った際には、「法律上の貸倒れ」として売掛金の一部または全額が消滅したことになり、貸倒損失として扱われるようになります。
計上できるのは切り捨てや免除となった額が対象です。
倒産しておらず法律上の貸倒れには該当していないものの、債務者の資産状況などから判断して能力的に支払いを行うことが不可能となった際には、「事実上の貸倒れ」として売掛金を貸倒損失として仕訳できるようになります。
税務署に対して売掛金が回収不能であることを示す必要があり、債務者の不動産登記簿や課税証明書など事実上の貸倒れの根拠となる書類を準備しなくてはなりません。
事実上の貸倒れの状況では売掛金全額が貸倒損失として計上できます。
取引が停止してから一定期間以上弁済が行われない状況が続く場合は、「形式上の貸倒れ」となり貸倒損失として仕訳が行える条件が満たされます。
「取引が停止してから一定以上」の目安は1年であり、督促を行うなど回収に対しての動きを行っていることもポイントとなります。
取引先が遠方にあるなどして取立ての費用が上回ると判断される場合も「形式上の貸倒れ」となり、貸倒損失として仕訳を行うことができます。
形式上の貸倒れの場合は売掛金全額が対象とはならず、売掛金が存在したという事実を残すために備忘価格(通常は1円)を引いた額を計上することになります。
貸倒損失となる3つの条件のいずれも満たしておらず回収不能とは判断されない状況であっても、売掛金の回収が困難であれば「貸倒引当金」として仕訳処理を行うことができます。
貸倒れになるリスクが高い時には個別評価、リスクがあまり高くない場合は一括評価にて処理を進めることになります。
売掛金が支払われない理由としてはさまざまな要因がありますが、ここでは代表的な理由を解説します。
取引先が単純に支払いを忘れていることもあります。長年取引をしている間柄ならば忘れられることは滅多にありませんが、一度限りの取引であったり、担当者が不慣れであったりすると、稀にこのようなトラブルが発生します。このような単純なミスによる支払いの滞りは、電話やメールなどで催促するだけで解決することが多いでしょう。
売掛金が支払われない理由として最も多いのが、取引先の資金繰りが困難なケースです。例えば、売掛金を回収する時期と、仕入れの際に発生した売掛金の返済時期との間に期間が空くと、キャッシュの蓄えが一時的に足りなくなるので、売掛金を支払えなくなることもあります。
このような短期間で解決する資金繰りの悪化であれば問題ありませんが、頻繁に売掛金が滞納されるようであれば注意しなければなりません。この場合は取引先の経営状況が悪く、倒産の可能性もあるからです。取引先が倒産してしまうと、売掛金はほとんど回収できなくなってしまいます。未回収となってしまうと自社の資金繰りが悪くなり、黒字倒産の危機の直面する恐れもあります。
債権の相殺を考えている
両社が債権を相殺する意思を示すことで、債務は消滅できます。例えば、取引をしている企業の片方が300万円の金銭債権を持ち、もう一方が300万円の売掛債権を持っていた場合、お互いに300万円ずつを相殺して債務を帳消しにすることができます。
相殺を持ちかけられた場合、売掛金の回収こそできませんが、自社の債務も消滅するため悪影響はありません。ただし、現金を得ることはできないので、自社の資金繰りが悪化している時に売掛金を相殺されると、経営難に陥ってしまうこともあります。
請求内容や金額に疑問がある
取引先が請求内容や金額に疑問を感じて、支払いを見合わせていることも考えられます。また、事前に自社から受けていた説明と商品やサービスの内容が異なると取引先が納得しておらず、支払いを留保している可能性もあります。
これらのケースでは、請求金額について丁寧に説明をしたり、商品やサービスに問題があった場合は会社として真摯な対応をしたりする必要があります。ただし、初めから売掛金を支払うつもりがなく、一方的にクレームをつける悪質な業者もあるので、自社に問題があるか慎重に見定めなければなりません。
回収不能となった売掛金も貸倒損失として仕訳を行うことができれば経費として落とせますが、その条件を満たすこと自体が簡単とは言えないのも事実です。
回収不能になった時の仕訳方法を知っておくのも大切ではあるものの、売掛金を回収不能としないための方法を理解しておくことも同じくらい大切です。
掛取引は、取引先企業の信用力が低ければ大きなリスクを抱えることになります。
信用力の高さを判断するのは容易ではありませんが、決算書などを参考にすることで経営状況を分析することができます。
また会社の雰囲気なども信用力を判断する要素として役立ちます。
情報収集には調査会社を利用するという選択肢もあり、可能な限り情報を集め取引先の信用力に注目することが大切です。
危険度の高い企業とは取引を行わないことで、売掛金が回収不能となる危険を避けることができます。
売掛債権を売却して現金化するファクタリングには、売掛先の倒産リスクの回避効果があります。
原則的にファクタリングはノンリコースと言われる償還請求権のない契約が行われます。
ノンリコースでは、売掛金売却後に取引先が倒産したとしても、売掛金の買い戻しなどを求められることがありません。
あまりにも取引先が危険な状態であれば審査通過は難しくなりますが、支払いサイトが長い売掛金を早めに売却することでも売掛金が回収不能となる危険を低くすることができます。
売掛金は支払いが長期間行われていないと時効が成立してしまう可能性があります。
原則5年となっており、時効が成立する前に形式上の貸倒れが成立する確率が高いのですが、運送費や宿泊料などの一部の売掛金は1年で時効が成立してしまうのです。
です。
時効を中断させている間に売掛先と話し合いなどして支払いを求め、難しければ訴訟を起こすという方法もあります。
<h4売掛先との買掛金と相殺させる
売掛先との間に買掛金が発生しているのであれば、売掛金と買掛金を相殺させることが可能です。売掛先が現金の支払いを拒んでいる場合などは、この方法を取ることで被害を少なくできる可能性があります。
ファクタリングは決済日が訪れる前の債権しか売却できませんが、債権回収代行業務を行っている場所に依頼することで回収に成功できるかも知れません。
専門的な知識を元にして取立てを行ってもらえますので、自社からの請求に対応してくれなかった売掛先が支払いに応じる可能性があり、債権回収不能になり貸倒損失として仕訳を行う必要がなくなるかも知れません。
回収不能になった売掛金に対して貸倒損失として仕訳を行う以外にも、できる限りの対応を行なうべきです。
選んだ方法次第では、貸倒損失として仕訳をせずに済む可能性もあります。
日本政策金融公庫では、「取引企業倒産支援対応資金(セーフティネット貸付)」という融資制度が利用可能です。
その名の通り、取引企業の倒産によって経営に影響を受けている企業が利用できる制度であり、融資限度額は最大で1億5000万円となっています。
回収不能になった売掛金について弁護士と相談することで、回収できる方法を見つけだし手続きを代行してもらえる可能性があります。
弁護士に相談しても回収ができない可能性も考えられますが、諦める前に相談してみるだけの価値はあります。
・回収不能に陥った売掛金は「貸倒損失」で仕訳を行なうことで損金にできる
・回収不能と判断するには「法律上・事実上・形式上」と言われる3つの貸倒れのどれかに該当する必要がある
・ファクタリングや債権回収代行の利用、買掛金との相殺を行うことによって回収不能になるのを防ぎ被害を抑えることが可能
・売掛金が回収不能となった場合も日本政策金融公庫からの融資によって資金を確保したり、弁護士に頼ったりすることで回収への道が開けることもある
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