ファクタリングコラム

債権譲渡とは?民法改正後のルールや対抗要件と登記の手続きをわかりやすく解説

コラム

2026年4月12日


債権譲渡は、売掛金などの債権を他者へ移転させる手続きです。そんな債権譲渡に関して、「どのようなルールがあるのか」「対抗要件とは何か」気になる方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、債権譲渡の概要や民法改正後のルールを解説します。また、対抗要件や登記の手続きも併せて紹介します。

この記事を読めば、債権譲渡の仕組みを理解できるため、資金調達や債権回収を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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債権譲渡とは



債権譲渡とは、債権者が有する特定の債権を、その同一性を保ったまま譲受人へ移転させる行為です。
売却や贈与などの意思表示によって、債権者の地位を他人に承継させます。

債権は原則として自由に譲渡が可能であり、すでに発生しているものだけでなく、将来発生する「将来債権」も対象に含まれます。法改正により、譲渡制限の特約がある場合でも譲渡自体は有効となりました。

債権譲渡における3者の関係性

債権譲渡は、譲渡人・譲受人・債務者の3者で構成されます。譲渡人は元の債権者であり、権利を他者に売り渡す側です。対して、譲受人は新たに債権を取得し、代金を受け取る権利を得ます。

債務者は譲渡後も同じ支払い義務を負いますが、支払い先が譲受人に変わります。債権譲渡は、譲渡人と譲受人の合意のみで契約が成立し、債務者の承諾は不要です。

ただし、譲受人が債務者へ支払いを請求するには、対抗要件の具備が必須です。通常は譲渡人から債務者への通知、または債務者の承諾によって権利を証明します。

実務で債権譲渡が活用されるケース

実務において債権譲渡は、資金繰りの改善やリスク管理の手段として幅広く活用されます。具体的な利用シーンを知ることで、自社の状況に合わせた活用方法が見つかるでしょう。

ここからは、代表的な3つの活用事例を順番に解説します。

売掛金を早く現金にするファクタリング

ファクタリングは、入金待ちの売掛金を譲受人に譲渡して早期に資金を得る手法です。支払期日が到来していない債権を現金化できるため、急な資金ニーズへの対応に役立ちます。

融資とは異なり「負債」を増やさずにキャッシュフローを改善できる点が魅力です。手数料はかかりますが、迅速な資金調達を望む企業で広く活用されています。未回収リスクを切り離せる点も、経営上の大きな安心材料となるでしょう。

即日現金化が可能なファクタリング会社を知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
おすすめの即日ファクタリング会社比較27選|最速で資金調達する方法と選び方を徹底解説

滞納された代金を引き継ぐ債権回収

債権回収は、支払いが滞っている債権を、専門の回収会社などに譲渡する方法です。自社での督促が困難な場合に、一定の価格で債権を売却して損失を最小限に抑えます。

これにより、煩雑な回収業務から解放され、本来の業務に注力することが可能です。譲受人は独自のノウハウで回収を進めるため、譲渡側は一部の代金を確実に確保できます。

不良債権を早期に処理し、財務状況の健全化を目指す際に有効な手段といえます。

融資を受ける際の担保としての活用

銀行などから融資を受ける際、不動産の代わりに債権を担保にする方法も債権譲渡の1つです。将来発生する売掛金を譲渡担保に設定し、返済の保証として活用します。

不動産担保を持たない中小企業でも、保有する債権を活かしてスムーズな借り入れを目指せます。この手法は、継続的な取引がある場合に信頼性を高める手段として有効です。

自社の資産を最大限に活用し、事業拡大のための資金を確保する際に検討してみましょう。

債権譲渡を活用するメリット

債権譲渡の主なメリットは、資産の早期流動化とリスクの回避です。未回収の債権を譲渡することで、本来の入金日を待たずに現金を確保し、経営の安定化を図れます。

また、譲渡後は債務者の倒産による回収不能リスクを譲受人が負うことが一般的です。これにより、自社の財務健全性を維持しやすくなります。

法改正によって、譲渡制限の特約がある債権でも資金調達に利用できるようになった点も、大きな利点といえます。

債権譲渡を活用するデメリット

債権譲渡には、コストや信用面での注意点も存在します。譲渡価格は債権額面を下回るため、受け取れる総額は減少するのが一般的です。

また、債務者へ通知を実施する場合は、資金繰りの悪化を疑われ、取引関係に影響を及ぼす恐れがあります。二重譲渡などのトラブルを防ぐため、確定日付の取得や登記といった煩雑な事務手続きも必要です。

債権譲渡で自分を守るためのルール(対抗要件)を整える3つの方法

債権譲渡を第三者に主張するには、対抗要件を備える必要があります。自分を守るための主要な3つの手続きは、以下のとおりです。

  • 確定日付のある証書による通知
  • 債務者からの直接の承諾
  • 法務局での債権譲渡登記

それぞれ詳しく見ていきましょう。

確定日付のある証書による通知

譲渡人が債務者に対し、確定日付のある証書で通知を出す方法です。一般的には、郵便局で内容証明郵便を利用して送付します。

確定日付があることで、通知がいつ届いたかを公的に証明でき、第三者への対抗力が生じます。二重譲渡が発生した際は、この通知が債務者に到達した日時の先後で優先順位が決まる仕組みです。

確実な証拠を残せるため、実務において最も頻繁に利用される重要な手続きといえます。

債務者からの直接の承諾

債務者が譲渡の事実を認める「承諾」を得ることでも、対抗要件は成立します。この場合も、第三者に対抗するには確定日付のある証書で承諾を得なければなりません。

具体的には、債務者に承諾書へ署名捺印をもらい、公証役場で確定日付を付与してもらうなどの対応をします。通知と異なり、債務者が譲渡を早期に認めている場合に有効であり、債務者の協力が必要な点に注意が必要です。

法務局での債権譲渡登記

法人が譲渡人の場合に限り、法務局で登記を実施することで第三者への対抗要件を備えられます。これは、債権譲渡特例法に基づく制度であり、大量の債権を一括で公示する際に便利です。

手続きには登記事項証明書や印鑑証明書が必要で、完了まで数日程度を要します。登録免許税などの費用がかかるため、司法書士などの専門家へ依頼するのが一般的です。

債務者への個別通知を保留したまま対抗力を得たい場合に、非常に有効な手段となります。

債務者が債権譲渡通知を受け取った際の確認ポイント

身に覚えのない通知や誤払いを防ぐため、債務者は届いた内容を慎重に確認すべきです。まずは、通知の送り主が「譲渡人」本人であるか、債権の内容が正しいかを照合してみてください。

次に、確定日付の有無を確認し、二重譲渡の可能性がないかチェックします。もし、譲渡人に弁済済みであったり相殺できる債権を持っていたりする場合は、その反論を譲受人に主張できます。

債権譲渡の注意すべきリスク

債権譲渡には、税務や法務の観点から見落としがちなリスクが3つあります。

  • 消費税の非課税扱いによる課税売上割合への影響
  • 契約書に貼る印紙の金額間違い
  • 非弁行為とみなされる不適切な回収業務

特に、不適切な回収業務や書類の不備は、大きな損失を招く恐れがあります。トラブルを避けるために、1つずつ確認していきましょう。

消費税の非課税扱いによる課税売上割合への影響

債権譲渡による対価は、譲渡対価の5%が非課税売上として扱われます。これが増加すると、課税売上割合が低下し、仕入れ税額控除の金額が減る恐れがあります。

結果として、納付すべき消費税額が増大し、実質的な手残りが少なくなるリスクがあります。多額の債権を譲渡する際は、税負担の変化を事前にシミュレーションすることが重要です。自社の税務状況を把握したうえで、慎重に実行のタイミングを判断してみてください。

ファクタリングの手数料へ消費税がかかるのか知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
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契約書に貼る印紙の金額間違い

債権譲渡契約書は課税文書に該当するため、規定の印紙税を納めなければなりません。基本的には「第15号文書」とされ、契約金額が1万円以上の場合は一律200円の印紙を貼る必要があります。

貼付を失念すると、過怠税が課される恐れがあります。なお、契約書に債権譲渡以外の内容(不動産譲渡など)が含まれる場合は別の課税文書に該当し、税額が変わる可能性がある点にも注意が必要です。

契約を締結する前に、印紙税法上の分類を正しく理解し、適切な金額の印紙を準備してみてください。

非弁行為とみなされる不適切な回収業務

弁護士でない者が報酬を得て他人の債権回収を代行することは、非弁行為として禁じられています。債権譲渡の形を取っていても、実態が単なる「回収の代行」であれば違法とみなされかねません。

滞納債権を安価で買い叩き、強引な手法で回収する行為は厳格に規制されます。譲受人が債権回収会社(サービサー)の許可を得ているか、必ず確認しましょう。法令を遵守した適切な方法で運用をしなければ、企業の社会的信用を大きく損ないかねないため、注意が必要です。

2020年民法改正による債権譲渡の変更点

2020年4月施行の改正民法により、債権譲渡のルールは以下のように大きく見直されました。

  • 譲渡禁止の約束があっても有効になるルール
  • 悪意・重過失の譲受人への支払い拒絶権
  • 将来発生する債権の譲渡に関する規定
  • 異議をとどめない承諾(抗弁切断)の廃止

実務上の利便性が高まった一方で、債務者保護の仕組みも整備されています。これらの変更点を詳しく解説します。

譲渡禁止の約束があっても有効になるルール

改正前は、譲渡制限の特約がある債権を譲渡しても原則として無効でした。しかし、法改正により、特約があっても譲渡自体は有効に成立する形になりました。

これにより、特約の存在を理由に資金調達が妨げられる事態を防げるようになったのが特徴です。譲受人は債権を有効に取得できるため、売掛金を活用した融資やファクタリングが以前よりもスムーズに進められます。

資金繰りの選択肢を広げる、実務上非常に重要な変更点といえます。

悪意・重過失の譲受人への支払い拒絶権

譲渡が有効とされる一方で、債務者を保護する規定も設けられました。譲受人が「譲渡制限特約」の存在を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合、債務者は譲受人への支払いを拒めます。

この場合、債務者は元の債権者である譲渡人に支払うか、供託を実施することで義務を免れることが可能です。譲渡の有効性を認めつつも、債務者が予期せぬ相手から請求を受けるリスクを最小限に抑える仕組みとなっています。

将来発生する債権の譲渡に関する規定

改正民法では、将来発生する将来債権の譲渡ができることが明文化されました。契約時点で債権が具体的に発生していなくても、対象が特定されていれば譲渡契約は有効です。

これにより、将来の売掛金を担保にした融資などの法的安定性が高まりました。譲渡後に債権が発生した際、譲受人は当然にその権利を取得します。

法人が将来の収益を基に資金を確保する手法として、より積極的に活用されることが期待されるでしょう。

異議をとどめない承諾(抗弁切断)の廃止

以前は、債務者が「異議をとどめない承諾」をすると、譲渡人に対して持っていた反論を譲受人に主張できなくなるルールがありました。しかし、改正によりこの仕組みは廃止されました。

現在は、債務者が承諾をしたとしても、それまでに生じていた事由があれば、譲受人に対してもその内容を主張できます。債務者がうっかり承諾したことで不当に不利益を被るリスクがなくなり、より公平な制度となりました。

債権譲渡に関するよくある質問

実務や日常生活で生じやすい疑問点をまとめました。適切な手続きを進めるための参考にしてみてください。

ここでは、個人間の取引や電子メールなどの連絡手段の有効性、ファクタリングとの違いなど、多くの方が迷いやすいポイントを詳しく紹介します。

個人間でも債権譲渡はできますか?

個人間でも債権譲渡は可能です。法律上、譲渡人の資格に制限はないため、知人への貸付金などを他者に譲り渡せます。

ただし、第三者への対抗要件を備えるには、確定日付のある証書による通知や承諾が必要です。法人のような登記制度は利用できないため、内容証明郵便などを活用して確実に証拠を残すことが大切でしょう。

相手が認めなくても進められますか?

債権譲渡は、譲渡人と譲受人の合意のみで成立します。そのため、債務者が譲渡を認めなくても契約自体を進めることは可能です。法改正により、譲渡制限特約があっても譲渡は有効となりました。

ただし、債務者が支払いを拒むなどのリスクがあるため、通知や対抗要件の具備といった法的な手順を正しく踏む必要があります。

メールやLINEでの連絡は有効ですか?

メールやLINEによる通知も、譲渡の事実を伝える手段としては有効です。しかし、それだけでは「確定日付」がないため、二重譲渡などのトラブル時に第三者へ権利を主張できません。

確実に対抗要件を具備するには、内容証明郵便を用いるか、公証役場で確定日付を得る必要があります。重要な連絡は、書面で進めましょう。

ファクタリングとの違いは何ですか?

債権譲渡は権利を移転させる「行為」を指し、ファクタリングはその行為を利用した「資金調達手法」の1つです。ファクタリングは、主に事業者が売掛金を早期に現金化する目的で利用します。

債権譲渡にはこのほか、債権回収の委託や融資の担保など、多様な活用シーンがある点がファクタリングとの大きな違いです。

ファクタリングの仕組みや種類を知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
ファクタリングとは?仕組み・種類・メリット・デメリットをわかりやすく徹底解説

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まとめ

この記事では、債権譲渡とは何か、民法改正後のルールや対抗要件を解説しました。

債権譲渡は、資金調達やリスク管理に有効な手段です。法改正により譲渡制限があっても有効となりましたが、自分を守るには確定日付のある通知などの対抗要件が欠かせません。

メリットとデメリットを正しく理解し、適切な手続きを選びましょう。この記事を参考に、自社の状況に合わせた最適な債権譲渡を活用しましょう。

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