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ファクタリングコラム
2024年9月25日
目次
債権譲渡禁止の特約が付いた売掛債権であったとしても、法律上ファクタリングに活用しても問題ないとされています。とくに経済産業省は債権譲渡による柔軟な資金調達を推奨しています。
しかし実際問題として、禁止されている債権譲渡をおこなうことで、取引先との関係に影響を与える可能性は無いとは言い切れません。
ファクタリングは売掛債権を譲渡することで、代金を得られるサービスです。
しかし売掛債権の中には「債権譲渡禁止」の特約がついているものもあります。その場合、基本的にその売掛債権を他人に譲渡することは好ましくありません。
債権譲渡禁止の契約は、売掛債権の譲渡先がわからなくなり、トラブルに繋がることを未然に防ぐための措置でもあります。
しかし民法の466条では、次のような内容を定めています。
・債権は譲り渡すことができる
・債権の譲渡を禁止した時であっても、債権譲渡の効力は妨げられない
・債権の譲渡に悪意や過失がある場合には、債権譲渡禁止を主張して支払いを拒絶することもできる
これにより、たとえ債権譲渡禁止の契約をしていたとしても、債権譲渡(ファクタリングへの活用)は法的に可能と言えます。
ただし「譲渡先に問題がある」などを理由に売掛先が債権譲渡に納得しない場合には、売掛先は売掛金の支払いを拒否することもできます。
したがって、債権譲渡禁止の売掛債権をファクタリングに利用することは、「法律上の問題はないが、譲渡先に対して売掛金が支払われない場合がある」ということになります。
では、どのような場合に債権譲渡禁止の売掛債権をファクタリングに活用できるのでしょうか。
具体的には以下のケースが考えられます。
・2社間ファクタリングを利用する
・売掛先に民法の規定をもとに利用について交渉する
それぞれ詳しく解説していきましょう。
2社間ファクタリングであれば、売掛先に債権を譲渡する旨を通知しません。
売掛先は債権が譲渡された事実を知らないまま売掛金の支払いをおこなうため、支払いを拒否される可能性が低くなります。
また法律上の問題もないため、譲渡禁止の特約がついた債権であっても買い取り可能とする業者は多く存在します。
結果として、問題なく資金調達できるのです。
ファクタリングとは売掛債権の売買であり、債権の譲渡契約です。
また売掛債権とは、売掛金を受け取る権利のことです。
事業をおこなっていると、請求書を発行してもその場で代金が支払われないことがあります。請求に対して翌月払いの契約をしているケースなどです。
この場合、請求から支払い期日までの間は代金を受け取れません。その代わり、請求書を発行した側は「代金(売掛金)を受け取る権利」を所有していることになります。これが売掛債権です。
売掛債権を所有していても、それを支払い等に使用することはできません。場合によっては十分な売り上げがあるにも関わらず、現金として入金されないため手持ち資金が不足し、支払いが困難になることもあります。
そのような場合に活用できるサービスがファクタリングです。
ファクタリングによって売掛債権を業者に譲渡し、その対価として現金を入手します。受け取った現金で支払い等をおこなうのです。
ファクタリングには2社間でおこなうものと3社間でおこなうものが存在します。
2社間ファクタリングは業者と利用者、3社間ファクタリングは業者と利用者に売掛先を加えた3社間でおこなうものです。
両者は、売掛債権の支払期日が到来した時の対応方法に違いがあります。
2社間ファクタリングは業者と利用者でおこないます。
売掛債権の支払期日が到来すると、売掛先は通常通り売掛金を利用者に支払います。しかし売掛債権(売掛金を受け取る権利)を所有しているのは業者です。そのため、利用者は入金された売掛金を業者へ送金します。
3社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングの利用を通知し、利用に関する承諾を得ます。売掛債権の支払期日が到来した時には、売掛先は売掛金を利用者ではなく業者へ直接送金します。
2社間ファクタリングであれば、売掛債権の譲渡を売掛先に知られる可能性が低くなります。売掛先の許可を得ることなく利用する場合には、こちらの方法を選択することになるでしょう。
ただし場合によっては、売掛先に譲渡の事実が知られてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
売掛債権を譲渡したとき、債権の所有者を明確にするため「債権譲渡登記」をおこなう場合があります。
登記は売掛先へ通知することなくおこなえますが、登記内容は法務局に申請することで誰でも閲覧できます。そのため、売掛先が登記を確認した場合、譲渡の事実が知られてしまうのです。
しかし通常、取引に問題がない場合には登記の確認はおこないません。問題が起きない限り、取引先に知られる可能性は低いと言えます。
法律上、債権譲渡禁止の契約をしていても売掛債権の譲渡はできます。債権譲渡禁止の売掛債権であっても、ファクタリング業者と利用者の同意があれば売買できるのです。
売掛先が支払いを拒否できるのは、売掛債権の譲渡先である業者が悪質な売買をおこなっていた場合などです。
経済産業省は、資金調達目的でおこなう債権譲渡は、売掛先が支払いを拒否する理由にはならないとしています。債権を譲渡することによって売掛先に不利益が出るのであれば、売掛先は売掛金の支払いを拒否できます。しかし通常のファクタリングであれば、売掛先にとって不利益があるとは言えません。
ただし、債権譲渡禁止の売掛債権を資金調達に使用することで、売掛先との関係が悪化する恐れはあります。売掛先は、何らかの理由があって債権譲渡禁止の契約をしていたはずです。それを反故にすることは、売掛先にとって気持ちの良いことではありません。
取引に余計な波風を立てたくない場合には、2社間ファクタリングを利用するなど、売掛先へ通知しない対応も必要です。
債権譲渡禁止の契約をしていても、双方が合意した場合には債権譲渡が可能になることもあります。
この時に利用する契約は、2社間ファクタリングでも3社間ファクタリングでも構いません。
3社間ファクタリングは手数料が安いことが一般的です。
売掛先が業者に直接売掛金を支払うことになり、利用者が売掛金を持ち逃げするリスクがなくなるためです。
2社間ファクタリングでは、売掛金の支払い時に一旦利用者を経由してから業者に支払われます。
利用者は入金された売掛金をそっくりそのまま業者に支払うものですが、利用者が意図的にその売掛金を別の用途に使用したり、意図せず何らかの支払いの引き落としで使用してしまったりと、業者に支払えなくなる恐れもあります。
そのようなリスクに対応するため、手数料が高く設定されているのです。
もしも売掛先から債権譲渡の承諾を得た場合には、そのまま3社間ファクタリングの利用をお願いすることで、手数料を安く済ませられる可能性があります。
資金調達のために債権を譲渡することに承諾したとしても、3社間ファクタリングの利用まで承諾するとは限りません。
3社間ファクタリングを利用すると、売掛先は売掛金の支払い先を従来の利用者から業者へ変更する必要があります。事務の手間がかかるということです。
とくに売掛先が大きな企業の場合、売掛金の支払先も多く、支払い先の変更が難しい可能性があります。そのため、一律で3社間ファクタリングに応じないと規定していることもあります。
3社間ファクタリングをおこなうには、利用への同意や支払い先の変更手続きなど、さまざまな面で取引相手に負担をかけることになります。
さらにファクタリングの利用は1度だけでなく、資金繰りの悪化に応じて何度でもおこなわれる可能性があります。
その都度対応をお願いすることになり、取引先の負担は計り知れません。
このような状況から、売掛先が債権譲渡禁止の契約をおこなっている場合もあります。
その場合、ファクタリングへの活用については許可しても、3社間ファクタリングの実施については許可をしない可能性があります。
自社の都合で取引先に負担をかけることになるため、やむを得ないと言えるでしょう。
債権譲渡禁止の契約をしている売掛債権であっても、法律上、債権を譲渡して資金調達することは可能です。とくに経済産業省は、ファクタリングの利用を推奨しています。
しかし法律上問題がなかったとしても、自社の都合で売掛先に負担をかけることにより、その後の関係が悪化する可能性はあります。
取引先との関係を悪化させず柔軟な資金調達をおこなうには、2社間ファクタリングの利用がおすすめです。
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