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ファクタリングコラム
2023年7月5日
現在は取引先との支払いは掛取引で行われるのが一般的です。
掛取引では一定期間後に支払いが実行されるため、売掛金を請求する権利となる売掛債権が発生します。
ですが時には取引先から、「延現金払い」を希望されることがあるかも知れません。
しかし延現金払いに応じた結果として、自社の資金繰りが苦しくなってしまう危険があります。
本稿では「延現金とは?」という基礎的な情報から、延現金によって資金繰りが苦しくなるのを回避するために「ファクタリング」が役立つ理由や注意点を解説させていただきます。
売掛金の支払いは通常2ヶ月以内であることが一般的です。
しかし様々な事情から支払いを数カ月後に伸ばしたいと考えることもあるはずです。
支払いまでの期間を長く設定するためには手形を振り出すという選択肢もありますが、手形を利用せずに口約束に近い形で通常よりも支払い期間を長く取る「延現金」という選択肢も存在し、これを用いた支払いは「延現金払い」と呼ばれます。
つまり延現金を簡単に説明すれば「2ヶ月を超えるような支払いまでの期間の長い売掛金」ということになります。
延現金を用いた支払い方法は、延現金払い以外にも「期日現金払い」や「期日指定振込み」と呼ばれることがあります。どの呼ばれ方であっても内容的に違いはありませんので、本稿の延現金払いと表現されている箇所を「期日現金払い」または「期日指定振込み」と置き換えて読んでいただいても問題はありません。
支払いまでの期間を長期で設定する延現金は、支払いを実行する「売掛先(債務者)」側にとってのメリットが大きくなります。
ですから、ほとんどの取引先は可能であれば延現金で取引を行いたいと考えるはずです。
ここからは売掛先が延現金での取引を行うメリットと、なぜ全ての取引で延現金が用いられないのかの理由を解説させていただきます。
資金繰りを良くするためには「買掛金の支払いを遅らせ、売掛金は素早く回収する」のが効果的です。
通常よりも支払いを遅らせられる延現金はまさしくこの効果があり、売掛先の資金繰りに大きなプラスの効果を与えることができます。
特に手持ちの資金が枯渇しそうな状況の企業にとっては支払いを先延ばしにできるメリットは大きく、傾いた経営を立て直す猶予期間を得られることにも繋がります。
支払い期限を長めに取る方法としては「約束手形」も選択肢となりますが、延現金は約束手形の発行と比較して手間もコストも大きく削減することができます。
金融機関を通す必要もなく法的な強制力も強くないことなど、手軽に支払いを先延ばしにできるのも売掛側が延現金を希望する大きな理由となります。
日本では資本金が多く力の強い企業が、下請けとなる中小企業や個人事業主に対して不当な扱いや不利な内容での契約を無理強いさせないための「下請法」が存在しています。
下請法では「下請け代金の支払期日を給付の受領後60日以内に定めること。」とされており、「支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと。」とも定められています。
下請法の対象となる場合には60日を超えて支払期日を設定することは難しく、延現金を希望されても下請法を理由に断ることができるようになります。
①物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物・役務提供委託を行う場合
・親事業者 資本金3億円超 下請事業者 資本金3億円以下
・親事業者 資本金1千万円以上3億円以下 下請事業者 資本金1千万円以下
②情報制成果物作成・役無提供委託を行う場合(①の情報成果物・役務提供委託を除く。)
・親事業者 資本金5千万円超 下請事業者 資本金5千万円以下
・親事業者 資本金1千万円以上5千万円以下 下請事業者 資本金1千万円以下
親事業者と下請事業者の定義は上記のようになっており、この条件を満たしている場合は下請法の対象となります。
詳しくは公正取引委員会のホームページに記載されておりますので、延現金払いしたいが現在の取引が下請法の対象となるかの確認が必要であればチェックしてみることをおすすめします。
債務者側となる売掛先から見ると延現金で取引を希望するメリットは大きくなりますが、支払いを受ける債務者側から見た場合にはメリットらしいメリットはありません。
取引先からの印象が良くなるということは考えられますが、残念ながらデメリットの方が大きいと言わざるを得ないのです。
企業の資金繰りにおいて売掛金の回収ペースは早ければ早いほうが良いとされています。
延現金での取引は債権者側にとってこの原則に逆行しており、資金繰りが苦しくなる原因となる危険が小さくはありません。
他の取引先からの支払いでやり繰りができれば大きな問題にはならないかも知れませんが、状況によっては売上が十分にあるにも関わらず資金ショートに陥ることも考えられ、最悪の場合は黒字倒産となる可能性も全くないわけではありません。
延現金ではなく約束手形が発行されていれば、手形割引によって資金調達を行うことが可能です。
しかし延現金は手形割引に利用することはできません。
売掛先にとって大きなメリットが得られる延現金ですが、手形割引ができないことは債権者側としてはデメリットになるかも知れません。
通常より支払いまでの期間が長い延現金ですが、希望されたからと言って必ずしも受け入れなくてはならないわけではありません。
しかし下請法の適用条件を満たしておらず、パワーバランスも対等とは言えない関係性の場合は、拒否するのも容易ではありません。
取引先を失うリスクを考えた結果、泣き寝入りに近い形で延現金を認めている企業も決して少なくはないのです。
支払い期間が長くなったとしても定期的に取引があり、確実に支払いが実行されるのであれば資金繰りを工夫することで支払い日まで乗り切れる可能性はあります。
しかし決済が行われるまでの日数が長くなればなるほどに、売掛先の倒産などによって売掛金が回収不能になってしまうリスクは無視できなくなります。
もし延現金が回収不能となった場合には資金繰りが苦しくなる危険は高く、そのようなトラブルに備えておく必要性も高まります。
債権者側にとって延現金払いはデメリットが多く、できれば避けたい取引となります。
しかし状況的に受け入れざるを得ない場面も考えられ、資金繰りの大きな負担となりかねません。
もし延現金が会社経営を行う上での負担となっているのであれば、「ファクタリング」の利用をご検討ください。
ファクタリングは延現金のデメリットを解消することも可能な資金調達方法であり、経営者様の不安を和らげ資金調達をスムーズにできる可能性が高いのです。
延現金の問題点は「支払いまでの期間の長さ」ですが、ファクタリングを利用すれば、この問題を解消することが可能です。
融資を利用したとしても延現金の支払期日を前倒しにはできませんが、「売掛債権の早期現金化サービス」とも言えるファクタリングを利用すれば、延現金の支払日を待たずに現金化することができます。
日本国内で行われるファクタリングは原則的に「償還請求権」がありません。
ノンリコースとも呼ばれますが、償還請求権がない契約では売掛先が倒産して売掛金の回収が不可能となってもファクタリングを利用した企業が代わりに支払いを求められたり、買取代金の返金を求められたりすることはありません。
つまり、ファクタリングを利用することで延現金の早期現金化が出来るだけでなく、売掛先の倒産というリスクにも備えることができるのです。
ただし金融機関が行うファクタリングなどでは償還請求権があるウィズリコースファクタリングであっても問題はありませんので、契約内容をしっかりと確認するようにしてください。
・負債を増やさずに資金調達が行える
・審査に自社の信用情報や経営状況があまり影響しない
・決算書の改善など企業評価の向上が期待できる
・素早く少ない手間で資金調達が行える
・担保や保証人が不要
ファクタリングを利用することで得られるメリットは、売掛債権の早期現金化や売掛先の倒産リスク回避による延現金のデメリット解消だけではありません。
売掛債権の売買(債権譲渡)契約という「融資ではない資金調達方法」であることが好影響を与え、上記したようなメリットを受けることができるのです。
負債額が多くなり債務超過に陥りそうな状況から脱するためなど、様々なシチュエーションでファクタリングは役立ちます。
ファクタリングを利用することで延現金の早期現金化が可能となりますが、支払日前の残り日数が長くなるほどに、ファクタリング利用時の手数料は高くなる傾向があります。
2ヶ月以内であれば大きな影響はないと言われていますが、半年近く先であることも考えられる延現金の場合は手数料への影響は小さくはないかも知れません。
手数料を少しでも引き下げたいとお考えであれば、これからご紹介する対処方法をお試しください。
ファクタリングでは債権売却の通知を売掛先に対して行う3社間ファクタリングと、通知を行わない2社間ファクタリングという2つの選択肢から契約方法が選べます。
2社間ファクタリングのメリットとしては最短即日など素早い資金調達が期待できることが挙がりますが、3社間ファクタリングは「手数料が低く設定されやすい」というメリットがあります。
これは売掛先が債権譲渡を認知していることで支払いのトラブルが起きにくくなるからですが、延現金の手数料を下げる目的にも役立ちます。
売掛債権を売却する際の手数料は、融資における利息制限法のように上限を規制する法律はありません。
申込んだファクタリング会社の独自判断により手数料が設定可能であることから申込先によって手数料に大きな差が発生することがあり、経営者様には手数料が妥当な額かの判断が求められます。
この問題の解決には複数のファクタリング会社に申込みを行い、相見積もりを取るのが効果的です。
提示された条件の中で手数料の低いファクタリング会社を選べば、延現金の手数料問題も解消できる可能性が高くなります。
延現金払いは債権者側にとってはデメリットが多い取引方法ですが、売掛先との関係性から断ることができない場面も少なくはありません。
実際に延現金が資金繰りの負担となっているという企業も多いかも知れませんが、本稿で解説したとおりファクタリングを活用すれば資金繰りを改善させることが可能です。
延現金のデメリットを解消でき他にもメリットのあるファクタリングは、利用して損のない資金調達方法です。
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