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ファクタリングコラム
2023年8月1日
目次
一括支払信託とは、企業が保有する売掛金を銀行が債務引受し、債権者へ立て替えるサービスです。
債権から発生する利益を受け取る権利を信託受益権といい、一括支払信託では、信託受益権を用いて資金を調達します。
債権を利用して資金を得る点では、ファクタリングと一括支払信託は同じですが、それぞれの内容を知ると違いが見えてきます。
この記事では、そんなファクタリングと一括支払信託の特徴や違いをわかりやすく解説します。
ファクタリングと一括支払信託は、どちらも売掛債権を現金化する方法です。
しかし、ファクタリングは売掛先に知られずに利用できますが、一括支払信託は売掛先に利用を知られてしまいます。
ファクタリングと一括支払信託の違いを知る前に、混同しがちな双方の特徴を理解しましょう。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化する方法です。
未回収の売掛金を買い取ってもらえるため、売掛金の入金遅れや貸し倒れリスクを回避できます。
経済産業省もファクタリングの利用を推奨しており、売掛債権を利用する資金調達は、国の施策です。
ファクタリングは、売掛債権を早期現金化できるため、取引先への支払いや、税金などを滞納しており早急に資金調達したい場合におすすめのサービスといえます。
一括支払信託とは、銀行が仲介し、企業が保有する売掛債権を早期現金化する方法です。
銀行によっては、債務引受一括決済サービスとも呼びます。
一括支払信託を利用する際には、債権を保有する企業と取引先、銀行の3社間で手続きを実施。
一般的な企業間の取引は、商品やサービスの納入後、一定期間後に金額を受け取る「掛取引」をおこないます。
そこに、銀行が仲介するサービスが一括支払信託で、銀行を間に入れることで、支払期日前に債権の現金化が可能です。
なお、一括支払信託には、包括申し込み方式と随時申し込み方式の2種類あります。
包括申し込み方式は、支払い可能な債権が生じたら自動的にお金が支払われる方式です。
一方で包括申し込み方式と違い、お金が必要な際に銀行へ申し込むことで支払ってもらえる方式が随時申し込み方式となります。
包括申し込み方式は自動で支払ってもらえるため、現金化を申し込む手間を省ける点が特徴です。
随時申し込み方式は、一部の債権のみ受け取った場合や申し込みをしなかった場合は、通常どおりの支払期日にお金が支払われます。
ファクタリングと一括支払信託は、どちらも売掛債権を早期現金化できる点では同じです。
しかし、双方では下記のような違いがあります。
• 売買する対象
• 審査基準
• 現金化の早さ
• 回収不能になった場合
• 2社間取引の有無
それでは、ファクタリングと一括支払信託の違い5つを解説します。
ファクタリングの場合、売掛債権をファクタリング会社に売却し、代金を受け取ります。
一方で、一括支払信託の場合は、債権を信託財産にすることで手に入れた受益権を売買します。
ファクタリングと一括支払信託を利用する際には、ともに審査に通過する必要があります。
しかし、両者には審査基準に大きな違いがあり、ファクタリングの審査基準は比較的緩いですが、一括支払信託の場合は、信用度の高い大企業でないと審査に通らない可能性もあるでしょう。
一括支払信託で売掛債権を現金化する場合、即日での対応は難しいといえます。
契約を締結した状態で利用をはじめても、銀行が仲介するため、即日入金は困難です。
しかし、ファクタリング会社と自社で取引をおこなう2社間ファクタリングなら、間に売掛先を挟まないため、即日での資金調達ができます。
このように現金化までの早さにも互いに違いがあります。
ファクタリングの場合、譲渡した債権が回収不能になっても、利用企業が責任を負う必要がありません。
償還請求権がないため、受け取ったお金の返済や売掛債権の買戻しは不要です。
もしも、売掛先が倒産したり、債務不履行を起こしたりしても、ファクタリング会社に貸倒リスクがあるため、利用企業に責任はありません。
一方で、一括支払信託は、回収不能になった場合、利用企業が責任を負う可能性もあります。
この違いを見れば、債権の回収不能リスク回避としてはファクタリングに軍配が上がることになります。
一括支払信託は、利用者と取引先、銀行の3社間で必ず取引します。
ファクタリングの場合は、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、2社間での取引が可能です。
よって、ファクタリングの場合は、一括支払信託と違い、必ずしも取引先と契約を締結する必要はありません。
2社間ファクタリングは3社間ファクタリングに比べて手数料が割高ですが、取引先に利用を知られずに手続きでき、入金スピードが早い点が強みです。
取引先に資金不足を知られたくない場合は、2社間ファクタリングの利用をおすすめします。
一括支払信託を利用するメリットは、債権者と債務者で内容が違います。
そこで、双方のメリットを理解し、自分にあっているか判断しましょう。
債権者が一括支払信託を利用するメリットは、素早い資金調達が可能な点です。
支払期日前に債権を現金化できるため、手元に現金が必要な場合に役立ちます。
随時申し込み方式を利用すれば、オンライン上で申し込みができ、銀行へ出向けなくても、必要に応じてお金を受け取ることが可能です。
手形の場合は一部のみの現金化はできませんが、一括支払信託なら一部だけ現金に替えられます。
したがって、手形による取引よりも、現金を得る手間を省ける点は大きなメリットです。
債務者が一括支払信託を利用するメリットは、印紙代や手形手帳にかかる費用を削減できる点です。
手形で支払う場合、手形に印紙を貼付しなければならないため、発行するたびに費用がかかります。
一方手形と違い、一括支払信託は電子上の決済のため、課税文書がなく、印紙税を貼付する必要がありません。
ただし、一括支払信託の契約時には、債務者も銀行の審査を受ける必要があります。
提出すべき書類も多いため、手形取引が多い企業でない場合は、得られるメリットが少ない可能性もあるでしょう。
一括支払信託を利用する際の流れは、各銀行や利用方式によって違います。
ここでは、債権者として一括支払信託を利用する際の流れを解説するため、資金調達を検討している方は事前に把握しておきましょう。
大まかな流れは、以下のとおりです。
1. 3社間で契約を結ぶ
2. 信託受益権を得る
3. 債務データを渡す
4. 支払金額の通知が届く
5. 譲渡代金を受け取る
6. 取引先が銀行に売掛金を支払う
まずは、自社と取引先、銀行の3社間で売掛債権一括支払信託基本契約を締結。
次に、銀行に対して債権の信託をおこないます。
この際に、自社は信託受益権を獲得。
売掛先である取引先が銀行に対して、発生した債務のデータを渡します。
債務データをもとに、銀行から自社に対して支払額の通知を送付。
自社から信託受益権を銀行へ渡す申し込みをおこない、対価として譲渡代金を受け取ります。
取引先は、通常の支払い期日に銀行へ売掛金を支払い、手続きは完了です。
一括支払信託を利用する際には、以下の点に注意しましょう。
• 利用できない可能性がある
• 回収不能になると、債権者の負担になる可能性がある
• 実行まで時間がかかる
それでは、各注意点を紹介します。
一括支払信託で資金調達したくても、利用できない場合があります。
一括支払信託は銀行の審査に受ける必要がありますが、企業の経営状況や規模によっては、審査に落ちる可能性があるでしょう、
さらに、「でんさい」といった電子手形の取引が普及しはじめているため、一括支払信託を扱っていない銀行もあります。
一括支払信託を利用する場合、債権の回収不能時は、誰がお金を負担するのか確認しておくことが大切です。
お金を銀行から受け取った後、債権の回収ができない場合、債権者が銀行に対して債務者の代わりに代金を支払わなければならない可能性があります。
税金や保険の支払いや、事業拡大のために、いますぐ現金が必要な場合、一括支払信託だと実行まで時間がかかります。
利用する際には、契約を結ぶ必要があり、銀行の審査に受からなければならないためです。
よって、即日での現金化が困難なため、急ぎの資金調達に一括支払信託は適していません。
この記事では、ファクタリングと一括支払信託の特徴や違いを解説しました。
ファクタリングと一括支払信託は、ともに債権を支払期日前に現金化できる点は同じです。
しかし、一括支払信託は、取引先の承認や銀行の審査に受かる必要があるため、資金調達まで時間がかかります。
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