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ファクタリングコラム
2023年7月5日
目次
融資は出資法の対象となる資金調達方法であり、出資法や利息制限法によって高額な利息が発生することを防いでいます。
しかし売掛債権の売却によって現金化を行うファクタリングは、出資法などの対象となるのでしょうか?
本稿ではファクタリングと出資法、その他の法律との関係や、融資と判断される可能性のあるファクタリングについて解説させていただきます。
出資法の正式な名称は、「出資の受け入れ、預り金及び金利などの取締りに関する法律」です。
業務として不特定多数から出資を募る行為を行うことを、銀行など法律で認められた機関以外では禁止すると定めており、他にも出資法には金融業者が融資を行う際の金利を制限し、貸金業での法外な利息の徴収を防ぐという目的もあります。
融資を行う際の上限金利を決めた法律としては、出資法以外に「利息制限法」も存在しています。
出資法は上限(20%)を超えた金利で融資を行った場合には刑事罰の対象となると定めており、利息制限法では貸付額に応じて15%から20%の間で変動する上限金利を定めています。
ちなみに、2010年までは出資法での上限金利は29.2%となっていました。
また利息制限法の上限を超えた金利超過分は無効となり、行政処分の対象ともなります。
出資法は融資によって資金調達を行った企業や個人事業主を守るための法律と言えますが、ファクタリングは出資法の対象ではありません。
対象外となるのは、融資とファクタリングでは資金調達方法として大きな違いがあるからです。
ここからはファクタリングが出資法の対象にならない理由を解説します。
融資とは「他社に対して資金を融通する行為」を指します。
資金調達においては金融機関が事業者に対して資金を貸し、利用者側は金利に応じた利息と分割での元金の支払いを行うことになります。
これに対してファクタリングは、「債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス」であると金融庁の公式サイトでは解説されています。
また債権の売買(債権譲渡)契約として法的には扱われるとも記載されており、融資とは全く違う資金調達方法であることが出資法の対象にならない理由になります。
ファクタリングも融資もそれぞれが事業者の資金調達の一手段ではありますが、融資は銀行または「貸金業登録」を行っている場所以外が行うことはできません。
ファクタリングは融資ではないことから当然ではありますが、事業を営むのに貸金業登録は不要です。
貸金業へ登録の必要性を比較してみても、ファクタリングが出資法の対象にならないことが理解していただけるのではないでしょうか?
出資法の対象とならないファクタリングは、融資ではないことから利息制限法の対象にもなりません。
しかしファクタリングは、利息制限法や出資法のように手数料の上限を制限する法律がないという問題点を抱えています。
高額な手数料を設定したとしても法律的には問題にならない可能性があり、納得できない条件で契約してはなりません。
出資法とまた違う総量規制とは「年収の3分の1を超えての借入は行えない」と定めた法律であり、複数の借入先がある場合はその総額となります。
これは個人の借入を対象としていますが、個人事業主が事業資金を調達する場合などは、事業計画書などを提出し返済能力に問題がないと判断されることができれば例外と扱われる可能性があります。
ちなみにカードローンの多くは総量規制の対象ですが、銀行系カードローンは対象外です。
しかしそもそもファクタリングは融資ではないため、総量規制の対象となることはありません。
出資法の影響を受けず、貸金業登録をしていなくてもファクタリング業務を行うことはできます。
しかし契約内容によっては、貸金業が行える場所以外では申込先が違法性を問われる可能性があります。
もし申込先がこれからお伝えする条件に当てはまっている契約内容を求めてきた場合は、契約内容に不満がなくとも貸金業が行える場所なのかどうかの確認をしてから契約手続きを進めることをおすすめします。
ファクタリングは償還請求権のない契約(ノンリコース)が行われるのが一般的であり、これによって売掛先の倒産リスクの回避という効果が得られます。
もし償還請求権がある契約(ウィズリコース)の場合は、売掛債権は担保の役割を果たすと考えられることから、融資と同等と判断される可能性が高まります。
売掛債権を売却する際にはファクタリング会社に対して手数料の支払いを行わなくてはなりません。
実際は手数料分を引かれた額で買取が実行されるため、利用者が現金を用意する必要はないものの、資金難を乗り越えるためにファクタリングを利用した場合には手数料を分割払いにしたいと考えても無理はありません。
ですが手数料を分割払いにすると、ローンの返済と似たような扱いになり出資法の対象である融資を受けたと判断される可能性があります。
もし契約内容が償還請求権あり(ウィズリコース)となっていても、それだけで違法と言い切れるわけではありません。
一般的なファクタリングとは売掛債権の売買契約を指すためイメージと違うことにはなりますが、貸金業を行える場所であれば償還請求権ありでの契約も違法にはならないのです。
貸金業が行える場所とは銀行やノンバンク系の金融機関などですので、違法性が高いかの判断には貸金業が行える場所かの確認が有効です。
出資法などの制限がないファクタリングは素早い資金調達が実現でき利用のハードルも高くないなど、融資とは違うメリットを持つ資金調達方法として、特に中小企業や個人事業主の利用が増加しています。
しかし知名度と利用者数が高まった結果、悪質なファクタリング業者による被害も無視できないものになりつつあります。
悪質なファクタリング会社から被害を受けないためにはサービス内容を正しく理解することが大切です。
会社に勤めている個人が勤務先から給与を受け取る権利(賃金債権)を買取対象とした「給与ファクタリング」は、貸金業に該当します。
また請求書は売掛債権の存在を示す書類として利用できますが、請求書ではなく「領収書」を債権として扱う「領収書ファクタリング」もファクタリングとは判断されず、こちらも貸金業に該当する可能性が高くなります。
これらのサービスを行っている場所の多くは貸金業登録を行っていない闇金融であり、違法性が高く非常に危険だと言わざるを得ません。
悪質なファクタリング会社による被害に関して、金融庁が注意喚起を行っています。
その中では給与ファクタリングの危険性や「債権を担保とした違法な貸付」「高額な手数料」について書かれています。
契約書に売掛債権の売買契約であることが明確に記載されているかなど確認して契約を進めていけば、被害に遭う危険を大きく下げることができます。
出資法などの対象でもないファクタリングに関して違法性を感じている経営者様もいらっしゃるかも知れませんが、金融庁が悪質なファクタリング会社に対しての注意喚起を行っていること自体が、ファクタリングによる資金調達の違法性のなさの証明となるのではないでしょうか?
残念ながら悪質なサービスを行っている、闇金融の関係する悪質業者が存在しているのも事実ではありますが、これは融資を含めた他の資金調達方法でもあり得ない話ではなく、提示された内容に納得できる場所以外では契約を行わないでください。
ファクタリングは決して違法な資金調達方法ではなく、金融庁も事業者の資金調達の一手段として認めている頼りになる存在です。
しかし出資法や利息制限法などの対象でないことも影響し、ファクタリングを正しく理解せずに利用するのは悪質ファクタリング会社に騙される原因となりかねません。
中小企業や個人事業主向けの資金繰りの大きな助けとなるファクタリングを活用するためにも、正しく理解した上で利用しましょう。
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