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ファクタリングコラム
2023年8月16日
ファクタリングは売掛債権を決済日よりも早く現金化できる、中小企業や個人事業主向きの資金調達方法です。
さらに資金調達だけでなく、売掛先の倒産により債権が回収不能になるリスクの回避などの効果もあるファクタリングは、「売掛先の信用調査」にも役立てることが可能なのです。
本稿では与信調査の必要性や、ファクタリングが情報収集に役立つ仕組みと注意点などを解説させていただきます。
「信用調査」は取引先の「業績の推移・不良債権の有無・支払い能力」などの情報を調査し、信用できる取引先であるかの判断材料となる情報収集を行う行為を指します。
相手に信用を供与することを「与信」と呼ぶことから、信用調査は「与信調査」と呼ばれることもあります。
信用調査(与信調査)によって得た情報は、「与信管理」に役立てることになります。
与信管理とは、取引先の企業に対してどれほどの信用を与えるかの度合いを決定し管理する行為であり、具体的には与信限度額(売掛債権の上限額)を定めることになります。
信用調査を行わずに与信管理を行おうと考えても信ぴょう性が低くなる危険が大きく、意味のある与信管理を行うためには信用調査が重要になるのです。
現在の企業間の取引では「掛取引」が一般的です。
掛取引は商品の納入やサービスの提供時に代金を受け取ることがなく、売掛債権を発生させ契約時に決定された日数後に代金を受け取るという流れになります。
しかし売掛先が何かのトラブルを起こしたり倒産に陥るなどしてしまった場合には、支払いの遅延が発生するだけでなく、貸倒れになり債権回収が不可能となる危険もあります。
与信管理は、取引先の信用に併せて取引限度額を設定することで、貸倒れなどのリスクを軽減する効果があり、与信調査・管理を行わない取引は大きなリスクを背負っていることになります。
与信管理に必要な信用調査を行う方法は幾つか存在しています。
1つは「社内調査」と呼ばれる、自社との取引実績や取引担当者からのヒアリングなどから信用を判断する方法です。
社内調査は費用に関しては抑えられますが、情報の詳細さや鮮度にはあまり期待ができません。
他にも商業登記簿や不動産登記簿などをチェックする「外部調査」や直接取引先に問い合わせを行う「直接調査」などもありますが、信用調査としての情報の質の高さでは信用調査会社などに情報収集を依頼する「依頼調査」が最も頼りになります。
まずは取引を開始する際に与信調査を行うと安心です。
しかし与信限度額は一度決定すればそれで終わりではありません。
取引先の信用情報は業績などによって随時変化しており、定期的な与信管理を行う必要があるのです。
この頻度に関しては、その時点での与信限度額や取引頻度によって変化しますので一概には言えませんが、調査を一度行ったから安心という考えは危険かも知れません。
与信調査、与信管理は取引のリスクを軽減するために必要ですが、見直しを行わないことが与信限度額を高め売上を伸ばすチャンスを逃すことになる可能性もあります。
実際に会社規模に関わらず多くの企業が様々な方法で与信管理を行っており、会社経営においての必須項目の1つと言っても過言ではないのです。
信用情報の調査を社内調査によって行えば費用は最低限で済みます。
また信用調査会社への依頼をすれば、詳細な情報が手に入るはずです。
しかし前者には詳しい情報が得にくいなどの問題があり、後者は費用面などが負担になる可能性があります。
しかし「ファクタリング」を利用することで、資金調達だけでなく「信用情報の調査」という付加価値を得ることができるようになります。
ファクタリングの審査では「売掛先の信用力の高さ」が審査通過の鍵を握り、設定される手数料にも大きな影響を与えます。
取引に利用する金融機関口座の通帳によって取引実績などが調査されますが、それだけでは信用力の判断には情報不足です。
全てではないものの多くのファクタリング会社が「日本信用情報機構(JICC)」などの信用調査会社の会員となっており、売掛先の情報収集に役立てています。そしてファクタリングの審査結果を参考にすることで、信用調査に依頼したのと近い情報を得ることができるのです。
ファクタリングを信用調査に活用する場合、どこまでの情報が得られるかはファクタリング会社次第となります。
信用調査の結果について問い合わせを行ってみても詳細な情報が得られるかは不明ですが、審査通過ができるのであれば一定上の信用力があるという判断ができます。
審査通過ができるかどうかだけでは、情報としてあまり有効ではないかも知れません。
しかしファクタリングで必要になる「手数料」に関しても、信用調査の結果は大きく影響します。
ファクタリング会社が公表している手数料範囲の下限に近ければ信用力が高いと判断できますし、逆であれば信用情報に問題があると考えられます。
また繰り返し利用する中で手数料の変動があれば、信用調査の結果も変わっていると推察することができるはずです。
どこまで詳細な情報が手に入るかはファクタリング会社次第ではあるものの、審査結果を与信管理のデータとして利用することは可能です。
資金調達目的で利用したファクタリングが与信管理にも役立つとなれば、「お得感」は高いのではないでしょうか?
与信調査にファクタリングは活用することができますが、その際には幾つかの注意点が存在しています。
信用調査会社に依頼して情報収集を行うのと同様の感覚で利用するのではなく、注意点を意識して情報収集に利用することをおすすめします。
ファクタリングの利用目的は「売掛債権の早期現金化」がメインであり、信用調査はあくまで付加価値であるとご理解ください。
信用調査だけを目的として、債権売却を行うつもりはそもそもないというような利用方法であっては、ファクタリング会社から不信感を抱かれることになりかねません。
そうなってしまっては調査の信ぴょう性も低くなり、いざ債権を売却する際の対応も期待できなくなる危険があります。
信用調査会社に依頼した際のようなしっかりとしたデータが参照できる可能性は低く、情報の多くは審査結果からの推測や、ファクタリング会社の担当者とのやり取りの中で得ることになります。
具体的な情報をどこまで引き出せるかは利用してみないとわからず、また担当者との相性などにも左右される可能性が高いとご理解ください。
与信調査を行いたいとお考えの取引先の多くは「信用力に不安を感じる企業」かも知れません。
決済日を過ぎて不良債権となった売掛債権以外であれば、ファクタリングによる債権買取を申し込んでいただいて何ら問題はありませんが、信用力の低い債権は手数料が高くなるだけでなく、買取を拒否される可能性も否定できません。
審査通過できなくては本来の目的である資金調達が行えなくなりますので、信用力の低そうな債権をあえて選ぶことはおすすめできません。
審査結果が与信管理に向けての情報収集に役立つのは確かですが、手数料などの条件が向上したとしても信用力以外の要素によるものの可能性がある点には注意が必要です。
特にあり得るのが「ファクタリング利用実績」です。
同じファクタリング会社を繰り返し利用することで利用者がファクタリング会社からの信用を得られ、手数料の引き下げが行われる可能性があります。
これも喜ばしいことではありますが、買取条件に変化があった場合はその理由を確認しておくと安心です。
ファクタリングによる「信用調査」は、あくまで資金調達の付加価値ではありますが、信用調査会社を利用するための手間や費用を削減しながら与信管理に役立てられるのは大きなメリットとなるはずです。
定期的な信用調査を行うのにも便利ですので、ファクタリング利用時に得た情報は与信管理への活用をおすすめします。
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