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ファクタリングコラム
2024年5月6日
目次
「ファクタリング」は中小企業や個人事業主に特に向いていると言われる資金調達方法で銀行融資などと比べるとメリットが多いです。
この記事では銀行融資にはない特徴、注意点が数多くあり、資金繰りに悩む経営者様の大きな手助けとなるファクタリングの仕組みとメリット、そして利用する際に注意すべきポイントなどを解説させていただきます。
ファクタリング(Factoring)による資金調達について金融庁の公式サイト内では、
「ファクタリングとは、債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス」と書かれています。
具体的には「ファクタリング会社」と呼ばれる業者に対して、売掛債権の債権者に該当する企業が売却の申込みを行い、審査や契約手続きの後に手数料や諸費用を引かれる形で、債権の権利を譲渡するのと引き換えに現金を受け取るサービスとなります。
商品の納品またはサービスの提供などを行った後の、取引先から代金を受け取る権利のことを「売掛債権(売上債権)」と呼びます。
あくまで権利を指し、請求書などはこの権利の存在を示す証拠として扱われます。
売掛債権の中には証書などが発行されない信用重視の取引となる「売掛金」と、証書が存在し法的な拘束力も持つ「受取手形」が含まれます。
売掛債権を現金化するファクタリングでは業種が問われることは少ないものの、ほとんどの場合で決済日を過ぎた不良債権は買取対象とならないことが注意点として挙げられます。
ファクタリングが現在に近い手法で利用され始めたのは1900年を過ぎたあたりからであり、アメリカの高度経済成長に大きく貢献することにもなりました。1300年代にはその原型と考えられる取引方法がイギリスで行われており、起源としては古代メソポタミア時代まで遡ると言われています。
日本には1970年頃に伝わってきましたが、その時代の日本は手形取引が一般的であり、ファクタリングはあまり浸透することはありませんでした。
しかし手形取引がコストの問題などで衰退の一途をたどっていく中、債権譲渡に関する法整備が行われ2000年頃からはファクタリングが注目されることになりました。
また2020年4月に施行された改正民法では債権譲渡禁止特約付きの債権も売却が可能となり、ファクタリングがより利用しやすい資金調達方法となったことで、ファクタリングを利用する企業は大きく増加しています。
日本語で「売掛債権担保融資」と呼ばれる「ABL(Asset Based Lending)」は、売掛債権を活用した資金調達方法としてファクタリングと比較されることも少なくありません。
しかしファクタリングが「売却」による資金調達方法であることに対して、ABLは売掛債権を担保として「融資」を受ける資金調達方法という大きな違いがありこの違いは注意しなければなりません。
またファクタングと比較してABLは審査が厳しく資金調達に時間がかかる傾向があるなど、メリットやデメリットに大きな差があります。
銀行融資の利用が難しいと言われる中小企業にとって、ファクタリングは非常に頼りになる資金調達方法です。
それは中小企業や個人事業主が資金繰りに求めている「利用するハードルの低さ」や「素早い資金調達」というメリットを兼ね揃えているからです。
さらに債権を現金化した後のリスクの軽減などの効果もあり、融資に頼った資金繰りの問題点の多くを解消することが可能です。
ファクタリングは支払期日前の売掛債権を売却し現金と変える資金調達方法です。
ですから支払サイトが長く決済日までの資金確保がむずかしいという状況を、問題になっている売掛債権を売却することで解消できるということになります。
売掛金などを用いた掛取引では、支払サイトの問題を無視することはできません。
しかしファクタリングを活用すれば、決済日までの資金確保という悩みを大きく減らせるメリットであることは間違いないのです。
ファクタリングを利用すれば、最短であれば申込み当日にも債権を現金化することが可能となります。
即日現金化には契約方法など幾つかの注意点があり条件をクリアする必要がありますが、書類の提出などをスムーズに行うことができれば、ほとんどの場合で1週間以内に資金調達を完了することができます。
この早さは銀行融資では期待できないメリットであり、タイムリーな資金調達の実現に役立ちます。
売掛債権を売却する際の利用条件としては、「売掛債権を保有している」ことが必須ではありますが、その他の条件を特に設定していないファクタリング会社が少なくありません。
また銀行融資と比較して必要書類も少なく、事業計画書のような作成に時間のかかる書類の提出もありません。
中には身分証明書・債権の存在を示す書類(請求書など)・取引に使用している通帳のコピーという3点のみで利用可能なファクタリング会社も存在しており、ファクタリング業界全体で見ても利用するハードルは低くメリットとなっています。
審査基準はファクタリング会社ごとに違いがあるものの、審査で重要視されるのが「売掛先(債務者)の信用力」であるというのは共通です。
また債権の売却を申込んだ企業(債権者)の経営状況は重要ではないという点も各社共通しています。
ファクタリング会社にとって最も重要なのは売掛先が決済日に支払いを実行できるかどうかであり、債権者は支払いに関与しないため、例え赤字経営であっても大きな問題点にはならないのです。
この点も融資との大きな違いであり、融資を断られた企業も利用できる可能性は十分にあるメリットがあります。
ファクタリングは売掛債権の売買契約ですので、債権が担保として扱われることは原則的にありません。
これにより債権の売却後、売掛先が倒産してしまうことになっても、債権の買戻しやファクタリングで手に入れた現金の返金を求められることがないはメリットです。
この様な契約方法を「ノンリコース(償還請求権なし)」と呼び、ファクタリングの大きな特徴の1つとなっています。
ただし銀行など金融業を行っている場所では、償還請求権のあるファクタリングを取り扱っている可能性がありますので、それらの場所でファクタリングを行う際には少し気を付けていただきたい注意点です。
債権の売買による資金調達であることから当然ではありますが、ファクタリングによって手にした現金はバランスシート上でも負債にはならないのはメリットです。
負債額が大きくなるとバランスシートの肥大化に繋がり、企業評価への悪影響が起きてしまう可能性は否定できません。
また状況が悪化すれば債務超過に陥る可能性もありますが、ファクタリングによる資金調達では、そのような危険を考慮する必要がなくなります。
ファクタリングを活用する上で理解すべきポイントの1つに「契約方法」があります。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングと呼ばれる、2つある契約方法のどちらを選ぶかで手数料・資金調達スピード・売掛先への通知などに大きな違いが現れることになり、慎重に選択することが大切です。
ファクタリングにより売掛債権の売却を希望する企業(債権者)とファクタリング会社の間で契約を結ぶのが2社間ファクタリングです。
この契約方法では、売掛先(債務者)は手続きや資金調達後のファクタリング会社に対しての支払いに関与することは基本的にありません。
・即日債権現金化が期待できる
・売掛先に債権の売却を知られにくい
即日資金調達可能であることがファクタリングの大きなメリットではありますが、これは2社間ファクタリングを対象としているとお考えください。
売掛先が手続きに関わらないことで、契約までをスピーディーに完了させることが可能となります。
また売掛先への通知を行いませんので、ファクタリングの利用を売掛先に知られることを避けたいという場合にも、2社間ファクタリングは適しています。
・手数料が3社間ファクタリングより高くなる可能性が高い
売掛先への通知を行わない2社間ファクタリングでは、債権の決済後に一旦売掛金を売却した企業が代金を受け取ってからファクタリング会社に渡すことになります。
これは手間にもなりますが、代金の支払いのトラブルが起きる危険性を高めることにも繋がります。
また売掛先がファクタリングによって債権が譲渡された事実を知らないこともリスクに繋がるとファクタリング会社は考え、3社間ファクタリング利用時よりも手数料が高くなりやすくなってしまいます。
売掛先(債務者)に対して通知を行い、債権の売却を希望する企業(債権者)とファクタリング会社との3社間で手続きを進める契約方法を3社間ファクタリングと呼びます。
売掛先が契約手続きに関わることで発生するメリットも注意点もあり、企業間の関係性にも気を配る必要があります。
・手数料が低く設定されやすい
・審査通過の確率も高まる
3社間ファクタリングでは売掛先がファクタリングによる売掛債権の譲渡を知っているだけでなく、決済時には売掛先から直接ファクタリング会社に対して支払いが行われるのが基本です。
これらによって債権の回収リスクが下がると判断され、審査通過しやすくなり手数料も低く設定される期待が高くなります。
・少しでも早く現金化したい時には向かない
・売掛先の協力と理解が求められる
売掛先への通知を行い場合によっては承諾を受ける必要があることから、2社間ファクタリングと比較して債権売却までにかかる時間は長くなる注意点があります。
1週間もあれば債権が現金化できる可能性は十分にあるのですが、即日資金調達は難しくなることをご理解ください。
また売掛先への通知を行ったことで企業間の関係に悪影響がなく、支払いをファクタリング会社に対して行っていただく手間を快く承諾していただける相手先であることも大切です。
資金調達方法として浸透するにつれ誤解は減ってきているものの、ファクタリングが法的に問題はないかを心配される経営者様はいらっしゃるかも知れません。
その不安を解消させていただくべく、「ファクタリングについての金融庁の解説」と「ファクタリングに関係する法律」をご紹介します。
・「一般にファクタリングとは、事業者が保有している売掛債権などを期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(譲渡契約)です。」
金融庁はファクタリングについて上記のように解説しています。
この文章が掲載されている記事内では悪質なファクタリング会社に対する注意喚起も行われていますが、資金調達の手段の一つとして金融庁が認識しているのは事実です。
・民法第466条(債権の譲渡性)—「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りではない。」
債権の譲渡を認めている法律が民法第466条です。
2020年の民法改正までは「債権譲渡禁止特約」が付与されている売掛債権のファクタリングによる現金化は難しかったのですが、改正後は特約が付与されていてもファクタリングに利用可能となり、さらに資金調達が行いやすくなりました。
・民法第555条(売買)—「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
売買に関する定義を記したのが民法第555条です。
しっかりと契約を行った上で買取代金を支払うファクタリングは法的に売買契約が成立しているということになります。
金融庁が「一般的なファクタリング」として解説しているのは、「買取型ファクタリング」と呼ばれているものです。
実は買取型以外にも幾つかのファクタリングが存在しています。
勘違いして利用することはまずないはずですが、どのようなサービスなのかを知っておいて損はありません。
ここからは買取型以外の3つのファクタリングサービスについて簡単に解説させていただきます。
「保証型ファクタリング」は売掛債権を買い取るのではなく、債権が支払われなかった際の保険としての役割を果たします。
利用には保証料が必要になり、その額は売掛先の信用力に左右されることになります。
資金調達を目的とするのではなく、「貸倒れ」のリスク回避を目的としているサービスです。
現在は売掛債権が発生していないが、過去の取引実績などにより近い将来に債権が確実に発生すると判断できる場合に、その債権を前もって売却するのが「将来債権ファクタリング」です。
仕事を受注しようにも材料費などの捻出が難しい時などには、このファクタリングを利用することで資金が準備できるようになります。
しかし将来債権ファクタリングが利用できる場所そのものが少なく、気軽に利用できるとは言えません。
海外の企業との取引の際には様々な不安が発生するはずですが、取引先の信用調査などを含めて取引のサポートを行ってくれる「国際ファクタリング」を活用すれば、その不安は軽減されます。
何かのトラブルに巻き込まれて支払いが不可能となった場合にも、ファクタリング会社から代金の支払いを受けることができます。
売掛債権売却による資金調達の流れには、特に複雑な点はありません。流れを大まかに記すと以下のようになります。
申込み→申込み内容に関するヒアリング・手続きに関する説明→書類提出→審査→契約手続き→債権買取の実行→ファクタリング会社に対しての支払い
初めての利用の際でもファクタリング会社から説明があるはずですので、戸惑うこともあまりないはずです。
確実に必要な書類
・売掛債権の存在を証明する書類(請求書など)
・身分証明書
・取引に利用している通帳のコピー
提出が求められる可能性のある書類
・売掛先との契約書
・実印、印鑑証明
・決算書
・確定申告書
申込みを行ったファクタリング会社によって必要になる書類に違いが出る可能性があり、初めて利用する際には確認を行ってから準備するのが無難です。
ただし必要になる可能性が高いのは上記した書類ですので、どのような書類が必要になるかをある程度でも理解しておけば準備をスムーズに行えるようになるはずです。
特に中小企業や個人事業主に大きなメリットを与えてくれるファクタリングですが、利用の際に確認していただきたい点やや注意点が幾つか存在します。
チェックすべきポイントを理解しておくことで、より安全にスムーズに資金調達が行えるようになります。
売掛債権を持っていることが利用の必須条件であるファクタリングですが、一部のファクタリング会社では創業してからの年数を利用対象の条件に含めている場合があります。
条件に含まれていても、半年から1年以上となっていることが多く大半の企業にとって問題はないかも知れませんが、設立間もない企業は利用できない可能性があります。
また法人のみを対象とし、個人事業主利用不可となっていることも稀にあるため、個人事業主の方は利用対象に含まれているかを一応確認しておくことをおすすめします。
ファクタリングでは融資における利息制限法のように、手数料の上限を定める法律は存在していません。
つまりファクタリング会社次第ということになり、高額な手数料を設定したとしてもそれだけで違法とは言い切れないのです。
相場と言われる「1%から30%」内であることが目安とはなりますが、他社でも見積もりを出してみるなどして納得できる手数料で債権を売却することが大切です。
2社間ファクタリングを利用する際には、債権の権利を譲ったことを示すために債権譲渡登記が求められる可能性があります。
この登記によって手数料が低くなるなどの恩恵が受けられる期待はあるものの、登記にかかる費用を計算に入れる必要もあります。
また登記は個人事業主には行えないため、個人事業主が2社間ファクタリングを希望する際には、債権譲渡登記が必須ではないファクタリング会社を選ぶ必要があります。
ファクタリングには原則的に償還請求権はありません。
ですが金融業を営むことができる銀行やノンバンクの関係会社では、償還請求権がありとなっていても違法とは判断されません。
契約書類上でも償還請求権なしとなっているかしっかりと確認してください。
売掛債権の買取可能額はファクタリング会社によって異なり、10万円程度の少額債権の買取を断られてしまったり、高額債権の場合に審査が長引いたりということもあり得ます。
繰り返しの利用も考慮し、少額債権や高額債権を売却する可能性も考えつつ申込み先を検討すると安心です。
2000年を過ぎた頃から利用する企業が増加傾向にあるファクタリングですが、資金調達方法として広がったことで、残念ながら悪質なファクタリング会社の存在も確認されています。
金融庁も悪質業者の危険性を訴えかけており、注意点として「高額な手数料の請求」や「融資と判断されかねない契約の押し付け」などがあります。
ただし悪質なファクタリング会社と出会うのは稀ですので、運営歴がしっかりとある場所を選ぶなど注意点をおさえれば安心感は高まります。
需要が高まると共に新規のファクタリング会社が数多く誕生することとなり、利用する側にとっての選択肢も増加しています。
ファクタリングによる資金調達を成功させるには、申込先選びが非常に重要であり、数ある買取業者の中で自社に適した場所を見つけなくてはなりません。
申込先を決める際には、これからご紹介する3つのポイントに注目してください。
ファクタリングの利用には手数料が必要です。
安ければ安いほどメリットなのは間違いありませんが、少しでも安いところと探していても、申込先を決めることは中々できないでしょう。
また実際に審査を受けてみなくては必要な手数料はわからず、継続利用によって安くなる可能性もあります。
ファクタリング会社のサイト上の下限の手数料だけに注目するのではなく、実際に審査を受けてみて比較するなどして判断するのがおすすめです。
即日買取に対応可能な場所を選ぶことで、素早い資金調達が実現できる可能性が高くなります。
しかし遠距離にある店舗に出向く必要があったり、オンラインでの書類提出ができなかったりとなれば現実的には素早い資金調達は難しくなってしまいます。
遠方であっても出張対応可能なファクタリング会社やクラウドファクタリングに対応しているのであれば、短期間での債権買取も可能となりますので、近場に拘らず総合的な利便性の高さで判断するようにしましょう。
売掛債権という企業にとって重要な資産の売却を行う以上、信頼できるファクタリング会社でなければ申込みを行うべきではありません。
安全な場所かの判断には口コミも役立ちますが、買取実績や運営歴も大きな参考になります。
またサイト上の企業情報などもチェックしておくと安心です。
手数料なども重要なポイントではありますが、ファクタリング会社選びで何よりも大切なのは、安心で安全な場所であることです。
最短即日で決済期日前の売掛債権の現金化が可能であり、経営状況が芳しくなくとも審査通過が難しくないという、メリットを多くもつファクタリングは、中小企業や個人事業主にとって利用価値が高いのは間違いありません。
もちろん手数料が必要になるなどの注意点はありますが、使い過ぎに気を付けるなどすれば大きな問題ではなくなり、活用することでファクタリングは資金繰りに大きなメリットを与えてくれます。
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