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ファクタリングコラム
2024年11月16日
目次
売掛債権の譲渡である「ファクタリング」を利用したあとに、売掛先が不渡りなどで倒産してしまったらどうなるのでしょうか?
売掛金の入金が絶望的になったときに、ファクタリング業者にはどうやって支払うのか、気になりますよね。
この記事では、ファクタリング利用後に売掛先が不渡り・倒産したときの対処法についてご紹介していきます。
もしもの際に「債権の返済義務を負わない」ための契約時の注意点も解説するため、ぜひ参考にしてください。
「不渡り」とは、会社が振り出した手形や小切手が支払われないことをいいます。
不渡りには、以下の3種類があります。
① 0号不渡り
形式不備・呈示期間の経過・支払期日の未到来など、振出人の信用に関係のない事由によって手形や小切手が支払われない場合は「0号不渡り」となります。
0号不渡りの場合、銀行による不渡届の作成は行われません。
② 1号不渡り
口座残高の不足や、手形上の支払銀行と振出人の間に取引がないなど、振出人の信用に関係する事由によって手形や小切手が支払われない場合は「1号不渡り」となります。
1号不渡りが発生した場合、銀行によって不渡届が作成されます。
③ 2号不渡り
0号不渡りと1号不渡りのいずれにも該当しない事由によって、手形や小切手が支払われない場合は「2号不渡り」となります。具体的には、相手方の契約不履行・偽造・詐取・盗難・紛失などによる場合が2号不渡りに該当します。
2号不渡りの場合も、1号不渡りと同様に不渡届が作成されますが、異議申し立てが認められています。
単に「不渡り」という場合は、1号不渡りを指すのが通常です。本記事でも、これ以降は1号不渡りを単に「不渡り」と表記します。
ファクタリング利用後に売掛先が不渡り・倒産したとき、自分が代わりに支払うべきなのかについての結論は「契約内容」によります。
ファクタリングは本来は売掛債権の譲渡ですので、借入と違い「返済」という概念は存在しません。
しかし、2社間取引の場合は自社に入金されたものをファクタリング業者に送金するため、入金されなければ滞ることはあるでしょう。
まず、売掛債権が回収できない状態とはどのようなケースなのか、その点について詳しくご説明しておきます。
• 経営難による倒産
• キャッシュ不足
上記のように、まったく入金の見込みがないケースだけでなく、予定日よりも遅れてしまうこともあるかもしれません。
保全手続や強制執行、公正証書の取得により売掛先が倒産しても、売掛債権を回収できる場合があります。
とはいえ、売掛先が破産などの法的な手続きをおこなうと、売掛債権の回収は諦める必要があるでしょう。
キャッシュ不足により売掛債権を回収できない場合は、支払期日を先延ばしすることで回収できるケースもあります。
ファクタリング契約には2社間でおこなうものと、売掛先も含めた3社間で取り交わすものがあります。
3社間の場合は売掛先から直接ファクタリング業者に送金されるため、相手先の状況のみが影響することになるでしょう。
しかし、期日になると自社に先に入金される2社間ファクタリング契約の場合は、少し状況が異なります。
ファクタリング業者には入金後に改めて送金するやり方になるため、誤って使ってしまったり引き落としがかかる不安があるのです。
このようなミスが起こらないように、とくに2社間ファクタリングでは、自社での資金管理をしっかりとおこなう必要があります。
契約内容の「償還請求権」の存在には注意しなくてはなりません。
手形の不渡りなどでもよく聞く「償還請求権」とは、カンタンにいえば「債権を請求する権利」のことです。
ファクタリングでこの権利が契約先に「ある」ときは、売掛先の不渡りや倒産による未払いに対して弁済する義務が発生します。
こうなると本来の債権の譲渡(売却)というものよりも、借入の保証人になっているのと同じといえるかもしれません。
償還請求権がない契約の場合、ファクタリング業者に売掛債権を譲渡すれば、自社が貸倒リスクを負う必要はありません。
ただし、回収の見込みがなく価値を持たない不良債権をファクタリングに利用するのは辞めましょう。
ファクタリングの審査では、売掛先の信用力や売掛債権の存在を確認します。
不良債権でファクタリング審査に申し込んでも、契約できないため時間の無駄といえるでしょう。
実際に不渡りを出したファクタリング債権がどのようになるのか、その対処法について契約内容ごとにご説明していきましょう。
先に述べた「償還請求権」の有無が大きなポイントで、契約時には特に、この内容に注意しておいてください。
一般的な優良なファクタリング業者は「償還請求権なし(ノンリコース)」契約を主体にしています。
この契約であれば、売掛先に不渡りや倒産が起きたとしても、売掛債権について自社が支払いの義務を負うことはありません。
このようにファクタリング業者が回収の義務を負うため、審査でも「売掛債権の信頼性」を重視するのです。
もし、償還請求権なしの契約で請求されるようなことがあれば、それは弁護士などに相談すべき案件となります。
債権譲渡(売却)後の売掛先の不渡りや倒産については、ファクタリング業者が対応すべきものなのです。
しかし「償還請求権あり(リコース)」契約の場合は状況が変わります。
リコース契約においては、売掛先がもし不渡りなどで倒産や支払い遅延を起こしたとき、契約者が弁済する必要があるのです。
経過した日数による遅延損害金の発生など、さまざまな費用もかかってくるため、早期に対応しなければなりません。
この場合は、別の売掛債権の売却やビジネスローンの利用など、本件とは異なる資金調達をすることになります。
「償還請求権あり(リコース)」契約はリスクの分だけ手数料が安く済みますが、ファクタリングとしては避けたい内容といえるでしょう。
返済する必要がある銀行融資と異なり、売掛債権の売買をおこなうファクタリングには返済が発生しないため、基本的に取り立てはありません。
ただし、ファクタリング事業は貸金業とは異なり、特別な資格や許可がなくても営めるビジネスです。
貸金業法や出資法、利息制限法といった業者を規制する法律がないため、一部には乱暴な取り立てをおこなうヤミ金業者も存在します。
ここでは、ファクタリングに貸金業法が適用されない理由や、ヤミ業者に遭遇した場合の対処法をみていきましょう。
融資をおこなうには、貸金業に登録する必要があります。
貸金業者は、債務者が支払いを延滞した場合の取り立て行為が制限されており、違反すると業務停止などの法的なペナルティが課せられるのです。
一方、ファクタリングには貸金業法が適用されません。
なぜなら、ファクタリングは金銭消費貸借契約(貸金契約)ではなく、債権譲渡契約に該当するためです。
よって、貸金業法による取り立て規制がなく、ファクタリング業者は自由に取り立てをおこなえます。
業者を規制する法律がないとはいえ、明らかに迷惑な行為や、被害を与える危険な行為を受けた場合には、弁護士や警察に相談すべきです。
法律に関するプロの弁護士に相談すれば、自分ではどうしようもない問題でも解決へ導いてくれるでしょう。
実際に被害を受けた場合や、被害を受けそうになった場合は警察にも相談し、注意してもらうことも大切です。
下手に自分で抵抗するより、法律や公的機関を活用した方が賢明で安全といえます。
ここまではファクタリング利用後のお話になりますが、実は売掛先が不渡りになるまえに利用できる保険的な商品もあります。
それは「保証ファクタリング」と呼ばれるものです。
これまでご紹介したファクタリング契約は売掛債権の「買取」でしたが、この商品については「保証」を目的としています。
保証ファクタリングは売掛債権が発生する前に利用するもので、売掛金を確実に回収したい案件のときに利用します。
利用には保証料が発生するため、資金調達法というよりは、あくまでも高額な売掛金への保険的な効果を期待して活用するファクタリングサービスです。
• 新規取引の不安
• 貸倒れへの不安
• 長期案件の未回収リスク
新規取引などで相手先の信頼性が不明瞭なとき、ファクタリング会社の目線で審査されるうえ、いざというときにも保証される安心感。
とくに長期にわたり売掛が続くような契約のときには、貸倒れのリスクが無くなることはどれだけ大きなメリットとなるでしょうか。
買取ファクタリングとの使い分けはケースバイケースとなりますが、不渡りなどへの不安があるときは保証での対応も検討してみてはいかがでしょうか。
中小企業基盤整備機構がおこなう「経営セーフティ共済」というもので、取引先の破産や不渡りなどの際に資金をサポートしてくれます。
小規模経営でも参加できる共済制度で、売掛先のもしもの事態にも、無担保・無保証で借り入れできるのがメリットです。
• 借入可能なのは掛け金の10倍まで
• 加入後6ヶ月以上経過している
• 相手先の夜逃げは対象外
• 融資のため返済が必要
原則として無利子ということもあり、ほかのメリットも加味したうえで、保険として検討するのもよいかもしれません。
この記事では、ファクタリング利用後に売掛先が不渡り・倒産したときの対処法を解説しました。
ファクタリング契約後に相手先が不渡り・倒産したときは、契約の内容によって対処法が変わります。
一般的な「償還請求権なし(ノンリコース)」契約のときは、ファクタリング業者が対処するため問題ありません。
しかし、審査の甘さや手数料の安さで「償還請求権あり(リコース)」契約をしていたときは、弁済する義務が発生することにご注意ください。
もしものときに役立つ共済制度や、不渡りなどが不安な長期案件などには保証ファクタリングなど、商品の使い分けも必要かもしれません。
資金調達法としてファクタリングを利用するときには、できるだけ「償還請求権なし(ノンリコース)」契約の業者を選びましょう。
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