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ファクタリングコラム
2022年6月22日
目次
「請求書」は掛取引において売掛債権の存在を示す重要な証拠となり、売掛金を活用した資金調達方法を利用する際にも提出が求められる大切な書類です。売掛債権の早期現金化ができるファクタリングでも、例外なく請求書の提出は必要となります。請求書に不備や情報の不足があった場合には、ファクタリングを利用できない、もしくは、利用できても手数料が高くなる可能性も否定できません。本稿では請求書を作成する際に記載すべき項目や、トラブルを避けるためにチェックしていただきたい注意点をご紹介します。
現在の企業間の取引では、取引先に納品した商品や提供したサービスの代金をその場で受け取ることは少なく、多くの場合で月末や翌月などにまとめて精算が行われることになります。このような取引方法を「掛取引」と言いますが、この発生した代金を後日受け取る権利を「売掛債権」と言います。売掛債権は手形のように実物があるものではありません。そのため、売掛債権の存在を証明する書類として「請求書」を発行する必要があるのです。
請求書と混同されることが稀にある「領収書」ですが、領収書とは「代金を受け取った事実を証明する書類」であり、請求書とは役割が全く違います。万が一、請求書と領収書を間違えて発行してしまった場合には、既に代金を受け取ったと宣言してしまうことになりかねず支払いトラブルに発展する危険があります。決して、間違えて発行しないように注意しましょう。
取引を行う際に請求書を発行するのが一般的ではありますが、発行の義務があるわけではなく発行しないことで罰せられることもありません。しかし請求書を発行せず売掛債権の存在を示す証拠が他にない場合には、請求が難しくなることが考えられます。また請求書は法律で書き方が細かく決まっているわけではないものの、必要事項が欠けていると取引上のトラブルに発展する可能性も否定できません。国税庁のサイト上には以下に紹介する、請求書に必要な記載事項が掲載されていますので、一度は目を通しておくことをおすすめします。
請求書には、作成し発行することになる会社名(個人事業主の場合は氏名)を記載する必要があります。個人事業主で屋号がある場合はそちらも忘れずに明記しておきましょう。誰が請求書を発行したかの情報は「売掛債権を誰が保有しているか」を示す重要な情報ですので、記載ミスのないようご確認ください。
請求書を作成した日付を記載するのではなく、取引先の締日を記入するのが原則です。請求書の発行日と勘違いしやすい項目ですので注意が必要になります。
商品を納品した場合は商品名や個数、単価などの記載が求められ、サービスの提供の場合もサービス名や内容を記載しなくてはなりません。ただし記載方法については取引先の要望に合わせるべきですので、記載の仕方について一度確認しておくと安心です。
請求額に対して消費税額が幾ら含まれているのかを記載します。一律に10%とは限らず、軽減税率の対象となっている場合もありますので、忘れずに確認しておきましょう。
売掛先となる企業の会社名や担当者の氏名などを、間違いのないようにご記載ください。事業部名なども必要になることが考えられ、また打ち合わせの際に担当していただいた人物とは違う方が請求書の宛先となる可能性もありますので、思い込みで記載せず前もって問い合わせを行っておくと安心です。
国税庁のサイトに掲載されている「請求書等への記載事項」は上記した5項目となっていますが、他にも請求書に記載しておく方が良い項目が幾つか存在しています。取引先によって必要・不必要あるかも知れませんが、確認を取った上で可能な限り記載しておくことをおすすめします。
いつまでに支払いを行っていただくかの支払期日を明記しておくことで、予定していた支払日になっても決済が行われないというトラブルを避けやすくなります。支払期日の記載があれば、決済が遅延している状況での催促も行いやすくなります。しかし、一方的に決済日を決めた場合、売掛先との関係性に悪影響を与えかねません。売掛先と相談した上で記載する様にしましょう。
売掛先からの支払いに利用する口座の情報を正しく記載しておくと、支払い手続きがスムーズに行われる期待が高まります。名義人氏名・銀行名・支店名・口座番号などはもちろんですが、支店コードなども記載しておけば、売掛先の手間を少しでも減らせられるかも知れません。
継続した取引を行う際には、管理しやすくするために請求書に通し番号を記載しておくことをおすすめします。通し番号がふってあることで、自社と取引先のどちらにとっても管理が容易となり、問い合わせも行いやすくなります。
支払い方法などについて特別な約束事がある場合には、請求書にきちんと記載しなくてはなりません。口約束のような状況になっていると、期待通りの方法で支払いが行われずトラブルに発展してしまう危険がありますのでご注意ください。
請求書を作成し発行した人物の名前や屋号だけでなく、住所や電話番号なども記載しておくと売掛先とのやり取りがスムーズになります。コミュニケーションが取りやすい方法を考慮し、メールアドレスやFAX番号などの記載もご検討ください。
請求書を作成する際には幾つかの注意点が存在しています。これは請求書を受け取る際にも確認が必要な項目ですので、請求書の作成時・受取時には忘れずにチェックをしてください。
多くの企業が締日を基準として請求書の管理を行っています。これが請求書の発行日として売掛先の締日を記載するのが一般的となっている理由です。しかしあくまで一般的にそうなっているというだけですので、取引先への確認は必須となるでしょう。また自社の締日と売掛先の締日が同じとは限りませんので、日付そのものを問い合わせた方が安心です。
請求の際に源泉徴収が行われる可能性があり、個人事業主は対象となるかの確認が必要です。他にも決済時の口座への振込手数料を、売掛先と債権者のどちらが負担するのかも確認しておくべき項目です。
これは礼儀的な意味合いが大きいのですが、宛名を書く際のルールを正しく守れているかをチェックしておきましょう。具体的には担当者個人名を宛先とする場合は「様」を付け、所属部署を対象とする場合は「御中」と記載します(個人名も併せて記載する場合は不要)。
正式な書類には捺印が必要となることが多くなりますが、請求書は印鑑を押さなければ書類として認められないわけではありません。しかし義務ではないとしても印鑑を押してある方が書類としての信頼性が高まるのも事実ですので、捺印が必要かを問い合わせておくと無難です。請求書に捺印する場合は、シャチハタなどは使わずに角印を使用するなど、印鑑の種類にも注意しましょう。
売掛債権は資金調達への利用が認められており、正しく作成された請求書は売掛債権の存在を示す書類として資金調達に活用することができます。請求書を活用した資金調達方法として代表的なのが「ファクタリング」。ファクタリングは売掛債権を売却して現金化する資金調達方法であり、金融庁のサイトでは「事業者の資金調達の一手段」であると記載されています。また、経済産業省も、銀行融資を受けづらい中小企業や個人事業主の資金調達方法として、ファクタリングの活用を推奨しています。ファクタリングは、まだ歴史が浅いサービスですが、国からも認められ、今後の発展に期待できる有用なサービスと言えるでしょう。
金融庁のサイトには、ファクタリングとは「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」であるとも記載されています。売掛債権をファクタリング会社と呼ばれている買取業者に対して、債権譲渡を行なった上で手数料を支払って売却するという仕組み。売掛債権を保有していなければ利用することはできませんが、ファクタリングは中小企業向けの資金調達方法として注目されており、年々利用する企業が増加中です。
・決済日前の売掛債権を現金化できる
・申込から売却までが短期間(最短即日)で行える
・債権を売却する企業の経営状況が審査に大きく影響しない
・貸借対照表のスリム化など企業評価改善効果がある
・必要書類が少なく、手続きの手間が少ない
・負債を抱える心配がない
・確実に売掛金の回収ができる(償還請求権がない)
ファクタリングは決済日前の売掛債権を現金化できることから、債権の決済日までのつなぎ資金の確保に役立ちます。また最短即日など素早い資金調達スピードを活かせば、緊急で現金が必要になった際にも強い味方となり得るでしょう。他にも「借りない資金調達方法」いう利点を活かすことで貸借対照表のスリム化も期待でき、企業評価を高めてから融資審査に挑むことも可能です。また、本人確認書類・請求書・売掛先との取引実績を示す書類(通帳のコピー)があれば利用可能という必要書類の少なさも大きなメリットとなります。ファクタリングは、償還請求権がない契約が原則ですので、万が一債権が不履行になったとしても、弁済の必要もありません。一度売掛債権を売却してしまえば、売掛金の未回収リスクを心配する必要がなくなる点もメリットでしょう。
・手数料を制限する法律がない
・決済日を過ぎた債権は原則売却ができない
・売掛先が法人の売掛債権の買取が原則
・売掛先の信用力が審査や手数料に大きく影響する
ファクタリングで債権を売却する際に必要となる手数料は融資の利息制限法のように上限を規制する法律がありません。そのため、悪質とも捉えられるような高い手数料を提示されることもあり、妥当性のある額なのかどうかを判断する必要があります。またファクタリングは決済日前の売掛債権が買取対象であり、決済日を過ぎた不良債権は買取対象にならないのが原則です。さらには、売掛先が法人であることが原則であるため、個人事業主宛の請求書も売却できません。決済日前かつ法人宛ての債権しか売却できない点は、しっかりと把握しておきましょう。また、ファクタリングのメリットとして、債権売却を希望する企業の経営状況が審査に影響しにくいという点がありますが、売掛先の経営状況が芳しくない場合は審査通過や手数料に悪影響になる点はデメリットになり得ます。売却する売掛債権を選ばなければ損金が大きくなる可能性もあるため、注意しましょう。
売掛債権(請求書)の早期買取サービスであるファクタリング。ファクタリングを利用する上で、請求書は超重要書類となります。請求書とその他の提出書類をもとに売掛債権の存在を確認し、売掛金の未回収リスクを判断したうえで、手数料が設定されます。ファクタリング利用の可否や手数料設定は、その大半が請求書から判断されると言っても過言ではありません。ファクタリングの審査においては、請求書内の以下の情報を確認されます。
・請求額の支払期日
・請求者と受理者の氏名や名称
・請求書の通し番号
・請求額
ファクタリング審査において、ファクタリング契約日から売掛金の支払期日までの残日数は非常に重要です。なぜなら、残日数が長ければその間に売掛先の経営状況が悪化する可能性があるから。ファクタリングは償還請求権のない契約が原則であるため、一度売掛債権の買取をすれば、債権不履行時に弁済を求めることができません。売掛金の未回収が生じた場合、ファクタリング会社が大きな損失を被ることになりますので、支払期日までの残日数の確認は必ず行われます。
ファクタリングでは「売掛金をきちんと支払える売掛先」に対する請求書なのかが、非常に重要となります。売掛先が大手企業であったり、国や地方自治体関係であったりすれば、倒産リスクも低いと判断できるでしょう。受理者(売掛先)の情報が分かれば、帝国データバンク等から売掛先の会社情報は容易に調べることができます。売掛先企業の情報を調べるためにも、受理者の名称の確認は必須となります。
売掛先との取引歴が長いか短いかは、請求書の分通し番号を見れば一目瞭然です。売掛先との取引に使用している通帳のコピーからも、取引歴を確認できますが、通し番号と通帳の情報を照らし合わせられれば、審査の正確性は向上するに違いありません。正確に審査を行えれば、その分手数料も安くなる可能性は高いと言えるでしょう。
請求書上で請求されている額も重要な情報です。ファクタリングを利用する際には必ず審査が行われますが、この審査において、売掛先の与信調査は必須となります。与信調査には相応の手間や費用が発生しますが、この費用はファクタリング会社が負担することがほとんど。手間や労力に見合っただけの利益率が見込めるかどうかの判断も必要なのです。
ファクタリングは、事業主が保有する請求書を譲渡・売却することで、売掛債権額から手数料を差し引いた金額の早期現金化ができます。銀行融資に断られた場合や、赤字決算・債務超過などがある場合でも利用できる可能性が高く、中小企業向けの資金調達方法と言えるでしょう。しかし、ファクタリングで発生する手数料は決して安いと言えるものではありません。手数料分手元に入ってくる金額は必ず減りますので、注意が必要です。また、審査がある以上、100%ファクタリングを利用できるとは言い切れません。
ファクタリングの審査に通過し、なおかつ手数料を安く抑えるためには、ファクタリングに有利な請求書を売却する必要があります。ファクタリングに有利となる請求書として、以下のようなものが挙げられます。
・決済期日までの残日数が短い請求書
・信用力の高い売掛先へ発行した請求書
・請求額が高額・少額すぎない請求書
・取引歴が長い売掛先へ発行した請求書
上でも説明した通り、決済日までの残日数が短い請求書の方が、売掛金を回収できる可能性が高いです。残日数が長ければ決済期日を迎える前に、経営悪化や倒産してしまうこともあるかもしれません。残日数が短い請求書は、審査通過しやすく、手数料も安くなる傾向にあります。
売掛先の信用力が高いというのは「経営が安定している」「売掛金を支払える可能性が高い」という意味です。信用力が高い売掛先であれば、売掛金が回収できないことに対する心配がありません。ファクタリング会社が損を被る可能性が低いため、審査通過できる可能性は高く、手数料も安くなることに期待できるでしょう。
ファクタリングを利用する場合、必ず売掛先の与信調査が行われます。ファクタリングの手数料は、売却する売掛債権額に対して1~30%が相場。与信調査には手間も費用もかかるため、少額すぎる売掛債権では利益率が低くなります。そのため、請求額が少額すぎる場合には、利益率を上げるために手数料も高くなりやすいでしょう。しかし、ファクタリングにおいては、売却する売掛債権が高額であるほど良いというわけでもありません。償還請求権がない契約であるため、高額債権で万が一不履行が生じた際には、ファクタリング会社が被る被害は膨大。高額すぎる債権や、利用会社の規模に見合わない額の場合には、手数料は高くなりやすいので、理解しておきましょう。
ファクタリング審査において、売掛先との取引歴の長さは非常に重要です。なぜなら、取引歴が長く、過去の取引において売掛金の未払いや支払遅れがない場合、信用できる売掛先と判断しやすいから。請求書を複数保有している場合は、取引歴が長い売掛先へ発行した請求書を売却するのも良いでしょう。
掛取引において請求書の重要性は高く、付き合いが長いからと雑な請求書作成を行っていては大きなトラブルに発展してしまうかも知れません。また必要事項が記載されていない書類はファクタリングなどへの利用が難しくなるだけでなく、他社との取り引き時には企業としての信用を下げてしまう危険性も否定できないのです。丁寧に請求書を作成することは、取り引きの安全性と信用できる企業としての評価を高めることに繋がります。正確に情報が記載されている請求書は、ファクタリングの審査にも有効であり、審査通過率を高めたり、手数料を安くしたりするのに役立つでしょう。
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