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ファクタリングコラム
2023年3月8日
目次
売掛金の回収が難しい状況に陥ってしまうと、運転資金を確保する際の大きな障害となりかねません。
もし債権回収を自社で対応するのが容易ではないのであれば、「債権回収代行」を行っている「サービサー」とも呼ばれる会社に頼るという方法があります。
この記事では債権回収代行の業務内容などの基礎知識と債権回収までの流れ、さらに債権回収代行以外の選択肢やファクタリングとの違いも解説します。
債権回収代行業者とは「債権管理回収業」とも言われる、特定金銭債権を回収する事業を行っている会社を指します。
以前は弁護士が専門的に債権回収の代行を行っていましたが、依頼数の多さや手続きの手間などから弁護士だけでは対応が難しくなり、「サービサー法」という法整備が行われ民間の事業者が債権回収代行を行なえるようになりました。
業務内容としては、債務者に対して支払いの実行を求めての通知や交渉を行い、債務者の出方次第では訴訟など法的措置の手続きも代行・サポートを行います。
・金融機関などの有する(有していた)貸付債権
・リース契約に基づいて生じる貸付債権
・資産の流動化に関する法律に規定する特定資産である金銭債権
・ファクタリング業者が有する金銭債権
・法的倒産手続き中の者が有する金銭債権
法務省の公式サイト内には「特定金銭債権の定義(取扱債権の範囲)」として上記した項目を含めて22項目が掲載されています。
掛取引で発生する売掛債権も特定金銭債権に含まれており、債権回収代行を依頼することができます。
1999年2月に施工された「サービサー法」は、正式名称は「債権管理回収業に関する特別措置法」であり、民間業者が不良債権の管理回収業を行なうための規定を定めた法律です。
サービサー法の中には、下記している項目を含めた内容が掲載されています。
・特定金銭債権の定義
・債権管理回収業の定義
・許可
・債権回収会社の権限等
・業務の範囲
・業務規制
債権回収代行業を行なうには、法務大臣から許可を受ける必要があります。
・資本金5億円以上の株式会社
・債権回収代行の営業許可の取り消しを受けた場合は、取消日から5年以上が経過している
・サービサー法や弁護士法により罰金刑を受けた場合は、執行終了から5年以上が経過している
・取締役に弁護士が選任されている
・暴力団関係者(現在は対象外でも過去5年以内を含む)が事業を支配していない、業務に従事していない
・破産者で復権を得ない人物、過去5年以内に禁固刑やサービサー法および弁護士法による罰金刑を受けた人物などが取締役や執行役でない
上記したような認定基準が設けられており、要件を満たしていない場合は許可を受けることができません。
債権回収代行業への依頼の95%ほどは「債権の委託」による債権回収です。
債権の委託とは、債権回収代行を担う業者が債権者に代わって債務者に対しての支払い請求を行なうことを指します。
あくまで委託ですので、債権の権利が移ることはありません。
また債権回収代行を依頼した企業は、依頼先に委託手数料などを支払うことになります。
割合は多くはないものの「債権の譲渡(買取)」も債権回収代行が行なう業務の1つです。
譲渡を行った場合は、債権を買取った債権回収代行業者が債権者となります。
回収を行なう債権の額面と、買取額との差額が債権回収代行側の儲けとなりますので、買取額は低く抑えられやすい傾向があります。
回収を行なう債権がすでに決済日を過ぎた不良債権であることもあり、買取額に大きな期待はしにくくなります。
債権回収代行を行なう業者が債権者に対して回収の手続きを行なう流れに、各社大きな違いはありません。
比較的強制力や心理的影響の小さな方法から、段階的に強制力の強い方法へと変えていくのが基本です。
債権回収代行が実行される際の基本的な流れをご紹介します。
債権回収代行の流れとしては、最初は「任意での支払い」を期待して請求を行なうことになります。
いきなり法的措置に打って出るのは回収を依頼した企業と債務者との関係性に大きな影響を及ぼしかねませんし、強引な取立ては法的にも問題があります。
自社で請求を行っても効果がなかったという売掛先も、専門業者である債権回収代行からの請求には応えるということも珍しくはありません。
債権回収代行でまず行われるのは書面やメールなどによる請求です。
それでも支払いを行なう素振りがなければ、電話や直接企業に出向いたり時間を作っていただいたりした上での会話によって請求を行うことになります。
この段階で支払が行なわければ、債権者側の精神的な負担もあまり大きくなく、回収を行なう上でのコストも通信料や郵送費、交通費程度で済むことから債権者・債務者両方の負担を抑えることができます。
ただの書面ではなく「内容証明郵便」による催促を行なうことで、債権の時効成立を中断させることができます。
これは請求を行った事実を証明するための証拠ともなります。
内容証明郵便自体に支払いを求める法的な拘束力はないものの、債権者に対しての精神的な圧力は決して小さくはありません。
債権者に対して支払いを求めても対応が得られない場合には、法的措置も検討しなくてはなりません。
債権回収代行業者は法的な手続きも代行してくれますので、この段階で弁護士への依頼などは不要です。
債権の支払いに債務者が応じない場合には、債務者が財産を処分し債権の回収が不能になるのを避けるための手続きとして、仮差押さえなどによる「保全手続き」を行なう必要があるかも知れません。
この手続きは財産の処分が考えられる場合に必要となりますので、売掛先の状況を注視して必要性を判断することが大切です。
支払督促を行ない2週間以内に債務者からの異議がなければ、仮執行宣言が付されることになります。
通常の訴訟と比較して費用も抑えられ、さらに裁判所への出頭も不要と、費用面でも手間の面でも負担が軽くて済むのが支払督促による請求の特徴です。
しかし債務者からの異議申し立てがあれば、訴訟を検討しなくてはなりません。
訴訟を行う場合には「通常訴訟・少額訴訟・手形小切手訴訟」という選択肢があります。
もっとも多く利用されるのは通常訴訟ですが、裁判にかかる時間や費用は小さくないという問題があります。
対して少額訴訟や手形小切手訴訟は手続きも難しくなく、裁判が長引かないというメリットがありますが、どの訴訟を選択するかは債権回収代行業者と相談することになります。
裁判で支払いが命じられた後も決済が行なわれない場合には、強制執行となり財産の差し押さえなどが行なわれます。
売掛債権の回収を行う方法として基本と言えるのは、決済日に売掛先から入金処理が行われることです。
しかし決済日が過ぎても支払いが実行されない場合は、債権回収代行を利用するという選択肢があります。
この2つの回収方法以外にも弁護士への依頼やファクタリングによる債権の売却という選択肢も考えられ、状況に応じて利用することが大切です。
サービサー法が施行されるまでは、弁護士が債権回収を専門的に行っていました。
法律の専門家であることから、法的措置に精通しており頼りになることは間違いありません。
また債権の額が140万円以下であれば「認定司法書士」に依頼することも可能です。
債権の買取に関しては対応できないことや、成功報酬だけでなく着手金が必要になることが少なくない点には注意が必要です。
売掛債権を債権の買取専門会社に売却して現金化する「ファクタリング」を活用すれば、決済期日よりも早い段階で債権を回収することが可能です。
ファクタリングの大きな特徴の1つは資金調達の早さであり、最短即日で売掛債権を売却することができます。また資金調達方法としてみた場合には、債権の譲渡であり売買契約であることから融資のように負債を増やさずに済むというメリットもあります。
債権回収代行の業務には債権の委託と譲渡(売買)があり、債権の譲渡はファクタリングによる売掛債権の売却と似ていると考えることもできます。確かにどちらも債権の売買を行っているという点は同じですが、実は様々な点で違いがあるのです。
債権回収代行で取り扱う債権は、原則的に決済日を過ぎたいわゆる不良債権が対象です。
対してファクタリングでは決済期日が訪れていない売掛債権を買取対象としています。
ファクタリングは不良債権の買取は原則的に不可となっており、買取可能な債権に大きな違いがあります。
ファクタリングでも債権回収代行でも、どちらも債権の売却時には手数料が発生します。
この手数料は買取側次第であり、債権の条件や額面によって大きく変動します。
しかしファクタリングの手数料が1%から30%程度と言われているのに対して、債権回収代行ではそれ以上の手数料が必要になることが少なくないのです。
これは買取対象となる債権の違いが大きく影響していますが、それを知らず同程度の手数料と考えてしまうのは危険かも知れません。
債権回収代行は、決済日を過ぎてしまい回収が難しくなった売掛債権の請求を求める際には強い味方となってくれるサービスです。
しかし決済日が訪れる前の早期現金化を期待しての利用には不向きであり、決済日よりも早く資金調達を行いたいとお考えであればファクタリングが最適です。
債権の状況などによって債権回収代行とファクタリングを使い分けることで、債権が回収不能となる危険を回避できるなどのメリットが得られ、資金繰りを安定させられるようになります。
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