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ファクタリングコラム
2023年6月29日
目次
ファクタリングによる資金調達において必須となる「売掛債権」。
一部の特殊な状況を除いて、手元に売掛債権がなくてはファクタリングを利用することはできません。
しかし手元に売掛金があるから大丈夫と油断してしまうのは危険です。
もしかするとその売掛金は、すでにファクタリングの利用が不可能となっている可能性もゼロではないのですから。
そんなことにならないために役立つかも知れない、「売掛債権の時効」に関する情報をご紹介します。
売掛債権とは商品の納品やサービスを行った際に発生する「代金を請求できる権利」を指します。
商品の納品などを行ったのだから代金を受け取れるのは当然のことと言えますが、実はこの権利は永遠に続くものではなく「時効」が存在しているのです。
しかも債権法の改正により売掛債権の発生時期により時効となるタイミングに差異があり、現状を理解しておく必要性がより一層強くなっているのです。
2020年(令和2年)4月1日以降に発生した売掛債権に関しては、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」で時効の条件と満たすとなっています。
複雑な言い回しですが、簡単に言えば時効までの期間は「5年」ということであり、2021年に発生した売掛金であれば2026年に時効を迎えるということになります。
2020年4月1日以降に発生した債権の時効が成立するのは5年後が基本となっていますが、支払日がきちんと確定しているかどうかによって「起算点」に違いが生じます。
6月末日など支払日が確定している場合は、その翌日から数え始めることになりますので勘違いを起こさないようにしましょう。
たった1日の違いが時効の成立に影響する可能性はゼロではありません。
長い付き合いのある取引先などが売掛先となり、お互いの信頼関係の高さから支払期日を定めていない場合などは、「契約日」や「納品日」が起算点となります。
多くの場合、納品してから1~2ヶ月後程度が支払期日となりますが、納品日が起算点となる場合はその場合よりも時効が訪れるのが早くなる可能性が高くなります。
改正後の民法では売掛債権の時効について、「債権者が権利を行使することができる時から10年」との表記もあります。
5年の場合は「主観的起算点」が時効へのカウントダウンのスタートとなっていますが、10年の場合は「客観的起算点」から始まることになっています。
しかし債権者が債権の支払日が訪れていることを認識していないことはまず考えられないことから、5年が基本となると考えて間違いありません。
ですが状況次第では10年の時効が適用される可能性もないわけではないということも覚えておきましょう。
手持ちの債権が2020年3月31日以前に発生しているのであれば、素早く時効に関して確認する必要があるかも知れません。
最短1年で債権の時効が成立してしまうため、すでに時効が成立している可能性も否定はできないのですが、まずは落ち着いてチェックしてみましょう。
・宿泊料、飲食代金など—1年
・製造業、小売業の売掛債権など—2年
・建築請負工事代金、診療費など—3年
・上記以外の取引の多くは5年
民法が改正される前に発生した債権は、業種などによって時効が成立するまでの期間に上記したような違いがあります。
売掛債権の多くは2年となりますが、不安を感じるのであれば確認しておくことをおすすめします。
売掛金の支払期日がすでに訪れているのであれば、時効へのカウントダウンがスタートしていることになります。
支払いを問題なく行ってもらえる確信があるのであれば大丈夫かも知れませんが、時効成立までに支払いが実行される確率が低い取引先がいても諦める必要はありません。
民法改正前は「時効中断措置」と呼ばれており、現行の民法では「時効更新措置」や「時効の完成猶予」と呼ばれている手続きを行うことで、時効を一旦リセットすることや期間の延長が可能となります。
売掛先から売掛債権の支払いを待って欲しいと頼まれた場合や一部の支払いだけであっても実行されたとすると、売掛先は債権の存在を認め支払う意志があると判断され「承認」を受けたことになります。
債権に関する「承認」が行われたタイミングで時効は一旦リセットされ、またカウントが再スタートとなります。
売掛先が認めれば承認したことにはなりますが、あとからのトラブルに備えて承認を行ってもらう際には書面などできるだけ証拠が残るようにしておきましょう。
裁判所に訴えかけ支払いに関する督促を行うことでも、時効は一旦リセットされます。
しかし手続きには手間と印紙代などの費用が発生します。
時効がリセットされる効果は十分にありますが、取引先との関係性などを考慮した上で行う必要もあります。
訴訟を起こし取引先の財産を差し押さえる手続きを進めることでも、時効のカウントダウンをゼロに戻すことができます。
こちらも手間や費用が必要になりますが、取引先との関係性への影響はさらに大きなものとなりますので、最終的な手段とお考えください。
また仮差押という選択肢もありますので、差し押さえの手続きを行う前に検討してみるのも有効です。
時効成立までに残された期間に余裕がないのであれば、売掛先に対して内容証明郵便による催告を行いましょう。
これによって6ヶ月間の猶予期間が得られますので、この期間を活用してまずは売掛先からの承認を目指してみてはいかがでしょうか?
万が一、売掛債権の時効に必要な期間が経過してしまったとしても、それだけでは時効が成立したことにはなりません。
実は売掛先が主張して初めて時効は成立するのです。
ですから時効の成立が可能な期間が経過していても、債務者から支払いを受けることになんら問題はありません。
しかし時効であることを主張されてしまっては回収が不可能となってしまいますので、早めに手を打っておくほうが得策なのも間違いありません。
支払日を過ぎてしまった債権を「不良債権」などと呼びますが、不良債権の買い取りを歓迎しているファクタリング会社はありません。
遅延の状況や今後支払いが実行される可能性などによっては買い取りができる可能性はありますが、手数料が高くなるなどの影響も考えられます。
しかしファクタリング会社に対して、一度相談をしてみる価値はあります。
ファクタリングで売掛債権を売却した場合、契約条件が「償還請求権なし(ノンリコース)」となっていれば、債権の回収が不可能となってしまっても支払いを代行する義務などは生じません。
支払期日が過ぎてしまうと「ファクタリングの時効」とも言え、売却も難しくなってしまいますので、そうなる前にファクタリングによる債権の現金化を検討してみることをおすすめします。
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