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ファクタリングコラム
2023年6月9日
目次
資金調達の方法には、銀行融資やビジネスローンのほかにも、電子手形やファクタリングといった方法もあることをご存じでしょうか?
電子手形とファクタリングは、どちらも債権譲渡できるサービスで混同しがちですが、実はまったく異なるサービスです。
この記事では、電子手形とファクタリングの違いや電子手形のメリット・デメリットを解説します。
ファクタリングに比べてまだ認知度が低い電子手形ですが、多くのメリットが存在するため、ぜひ参考にしてみてください。
電子手形とファクタリングはどのようなサービスなのか見てみましょう。
電子手形とは、電子記録債権法に基づいて手形決済をおこなえるサービスです。
従来の手形は、紙媒体が主流でしたが、発行費や二重譲渡、紛失や盗難といったリスクやトラブルがありました。
しかし、電子手形では紙の手形を発行する必要がないため、管理がしやすく、印税費の支払いも必要ありません。
電子手形割引や電子手形譲渡など、各種債権取引を電子媒体で簡単で確実におこなえます。
紛失や盗難のトラブルも起きないため、セキュリティ面でも安心です。
電子手形と似た特徴を持つファクタリングは、売掛債権を譲渡し現金化する資金調達手法の一つです。
3社間取引では、債権者・売掛先・ファクタリング業者での合意による売買契約をおこないますが、支払期日前に売掛金を早期現金化できます。
ファクタリングは、赤字決算や負債が返済できない状況でも利用できるため、資金繰りを改善できるサービスです。
でんさいは電子記録債権の略称で、ペーパーレスの電子化された手形です。
電子手形とでんさいは同じで、売掛債権に代わる第3の決済方法といえます。
電子債権記録機関の記録原簿へ電子記録を書き込むことで、債権を発生させ譲渡する、メガバンクを中心として構築された電子決済システムです。
従来の紙媒体の手形では、自社と取引先の2社間で手形の取引をおこない、決済時には取引銀行がその媒介をおこなっていました。
一方、電子手形の取引では、手形を振り出す企業と受け取る企業、取引銀行だけでなく、電子債権記録機関が関わります。
電子債権記録機関とは、電子記録債権法に基づき、電子債権の記録や管理をおこなう機関です。
電子債権記録機関は、以下のように複数存在しています。
•日本電子債権機構株式会社
•みずほ電子債権記録株式会社
•SMBC電子債権記録株式会社
上記はメガバンクが運営しており、ほかには全国銀行協会による全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)があります。
これらは、混同しがちのため、各機関の特徴をきちんと理解しましょう。
4つの機関はそれぞれ、運営主体や流通する電子記録債権が異なります。
日本電子債権機構株式会社は三菱東京UFJ銀行系列で、取り扱っているのは電手(でんて)とも呼ばれる電子記録債権です。
みずほ電子債権記録株式会社はみずほ銀行系列で、電ペイと呼ばれる電子記録債権を取り扱っています。
SMBC電子債権記録株式会社は三井住友銀行系列で、通称はありませんが支払手形削除サービスを提供。
上記3つの電子債権記録機関では、主にグループ内やグループとの取引企業間で流通している電子記録債権を取り扱しているため、どの会社でも簡単に利用できるとは限りません。
一方、でんさいネットは全国にある金融機関が参加しているネットワークのため、銀行を通じてでんさいの利用を申請すれば、電子手形を使って簡単に利用できます。
なお、取引先企業もでんさいを扱っていないと利用できないため注意しましょう。
電子手形は期日前に換金でき、ファクタリングもファクタリング業者に債権を売却すると支払期日前に換金できます。
つまり、電子手形とファクタリングは期日前に債権を換金できるため似ているサービスです。
しかし、電子手形とファクタリングは特徴が異なります。
各特徴を把握すれば、自社に合った方法を選択し資金調達や事業に役立てるでしょう。
電子手形では電子債権を、ファクタリングでは売掛債権を扱います。
電子手形は電子的なデータである債権を、システムを利用し売却などで換金する方法です。
一方、ファクタリングでは売掛金の譲渡による換金をおこないます。
電子債権はシステム上で売買する新しい債権ですが、売掛債権は売掛金や給与など昔から使用している債権です。
売掛債権よりスムーズに取引できる債権が、電子債権といえます。
まだ、電子債権を導入している企業は少ないものの、利便性の高さから今後徐々に普及が広がると予測できるでしょう。
ファクタリングの場合は、売掛先が赤字などで倒産しても貸し倒れは生じません。
債権を換金した時点で取引関係はなくなるため、保証する必要がないメリットがあります。
しかし、電子手形は発行会社が倒産すると債権者に支払い義務が発生します。
電子手形とファクタリングでは、保証リスクに大きな違いがあるのです。
電子手形は、決済サービスを通じて期日になれば自動的に換金されます。
電子手形の期日前の換金は、業者や金融機関の決済サービスを通じて換金するのが基本的な流れです。
換金を申し込むと、決済サービスの提供先が見積もりや審査をおこない、審査に通れば換金が実施。
一方で、ファクタリングの手続きは2社間ファクタリングか3社間ファクタリングかで流れが異なります。
2社間ファクタリングは債権売買のため、ファクタリング業者と債権を保有する人が合意のもと契約し手続きを実施。
債権の売買契約書などをファクタリング業者と債権者で取り交わしたあとに代金が支払われます。
3社間ファクタリングは債権譲渡のため、債権者がファクタリング業者に債権を譲渡し、債権譲渡について債務者に通知される仕組みです。
電子データに取引を記録し譲渡先の口座に入金される電子手形と、ファクタリングでは手続きの流れが異なります。
電子手形を使用する企業は少しずつ増えてはいるものの、現状ではファクタリングの利用者数の方が多数います。
株式会社全銀電子債権ネットワークの「でんさいネットの仕組みと実務」によると、2022年では、売掛金債権と電子手形の比率は9対1で売掛債権の比率が多いという結果でした。
2016年に企業が保有する売掛金は204兆円で、電子手形に比べて売掛金債権での取引が多く、その分だけファクタリング業者が資金調達に役立っていることを意味します。
参照:でんさいネットの仕組みと実務
電子手形は電子債権というデータで管理される債権のため、管理がしやすい反面、取引先もサービスに登録しなくては利用できません。
さらに、電子データへの不安感が電子手形の普及を妨げているといえます。
電子手形とファクタリングは、決済サービスと資金調達手法と、まったく異なるサービスを提供しているものの混同しがちです。
どちらも債権を譲渡して現金化する仕組みですが、電子手形は電子債権を、ファクタリングは売掛債権を、それぞれ支払期日前に換金します。
次に、電子手形を利用するメリット・デメリットを紹介します。
電子手形のメリットは二重譲渡のリスクが低く、支払いにかかる事務負担を軽減できる点です。
反対に、電子手形は普及率や認知度が低い点がデメリットといえます。
では、電子手形のメリット・デメリットを見ていきましょう。
電子手形のメリットは、二重譲渡のリスクが低い点です。
ファクタリングで取り扱う売掛債権は、現物資産でないため債権の証明がしにくく、誰が権利を所有しているか把握がしにくいため、二重譲渡される可能性があるでしょう。
二重譲渡を防ぐには、債権の譲受人が権利者であることも主張するために、譲渡人が債権者に対して債権譲渡を通知する、または承諾を得ることが必要になります。
電子手形は、債権の情報が電子的に記録されるため、二重譲渡のリスクを軽減することが可能です。
さらに、電子記録により債権の存在や帰属を明確化できるため、手間や費用がかからず、債務者に対する通知も必要ありません。
また、これまで一般的だった手形取引では、手形の発行や振り込みの準備、手形の搬送など支払時に様々な作業が発生していました。
しかし、電子手形の場合は、譲渡記録すれば支払日に自動的に振り込みがおこなわれるため、支払いの事務負担を軽減できます。
多くのメリットがある電子手形ですが、現状ではまだ認知度や普及率はさほどありません。
前述した通り、電子手形を使用するには、自社だけでなく取引先もサービスに申し込む必要があります。
この手間がかかる点に加えて、電子手形の普及率や認知度が低いため、利用しようとする企業が少ない点が大きなデメリットといえるでしょう。
この記事では、電子手形とファクタリングの違いや電子手形のメリット・デメリットを解説しました。
電子手形は電子債権を扱うサービスで、ファクタリングは主に売掛債権を扱うサービスです。
電子手形とファクタリングは、取り扱う債権や保証リスク、手続きの流れや利用者数が異なります。
どちらも、債権を期日前に現金化できる特徴を持つため、利用する際は各特徴をしっかりと理解してから自社に合う方法を選択しましょう。
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