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ファクタリングコラム
2023年6月14日
目次
一昔前の企業間の取引では手形取引が一般的であり手形割引なども活用されていましたが、手形取引のコスト面などの問題から需要が低下し、現在では売掛金を活用した取引が中心となっています。
また債権を電子化した「電子記録債権」が利用される機会も増えてきました。
この記事では電子記録債権の概要と、売掛債権を売却して資金調達を行うファクタリングとの違いや共通点、そして電子記録債権を売却して資金調達を行う「でんさいファクタリング」の特徴などを解説させていただきます。
・「電子記録債権」とは、電子記録債権機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする、既存の指名債権・手形債権などとは異なる金銭債権です。
上記したのは金融庁・法務省が電子記録債権についての情報をまとめたPDFに記載されている文章です。
平成20年12月1日に施行された電子記録債権法によって創設された金銭債権であり、「でんさい」という略称で呼ばれることが少なくありません。
株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が知名度も高く大手と言える存在ですが、他にもSMBC電子債権記録株式会社やみずほ電子債権記録株式会社など、幾つかの電子債権記録機関が存在しています。
・支払いに関する事務手続きの負担軽減
・印紙税が不要
・紛失や盗難の危険性がない
・オンラインで完結できる
・手形と違い分割しての譲渡や割引が可能
電子記録債権を利用した取引では、決済日になれば口座より自動的に支払いが実行されるために支払いに関する事務手続きの負担が軽減されます。
さらに電子記録債権を発行する際に印紙代が不要であるのも、債務者となった際のメリットとなります。
債権者の立場でのメリットは、電子記録であることで紛失・盗難の恐れがまずあり得ないことや、通常の手形と違い分割での譲渡や割引への利用が可能という点が挙がります。
またオンラインでの手続きに特化していることで利便性が高まるのは、債権者・債務者の両方にとってメリットとなるはずです。
・利用開始に手間がかかる
・会計処理の方法が変わる
・取引先も電子記録債権を利用していなければならない
・発行手数料が必要
・まだまだ世間的に浸透していない
電子記録債権は利用したいと思ってもすぐに発行できるわけではなく、登録など利用に関する手続きが必要となります。
また債務者・債権者となる両方の企業が電子記録債権を利用できる状況であることも必要条件です。
他にも電子記録債権発行時の印紙代は不要となるものの、発行手数料は必要です。
また手形を利用していた時とは会計処理が変わり、慣れるまでは負担に感じてしまう可能性もあります。
これらの理由もあり、電子記録債権自体がまだまだ浸透していないということも、デメリットとなるかも知れません。
・決済日前の電子記録債権が活用できる
・1週間から2週間ほどで手続きが完了する
・分割による譲渡や割引が可能
・債権者と債務者の両企業が審査対象となる
・償還請求権が存在する
電子記録債権は債権の一部または全額を譲渡や割引に利用することが可能です。
1週間から2週間ほどで手続きが完了できますので、銀行融資に頼るのと比較して短時間で手続きを終えられる期待が高くなります。
ただし利用の際には審査を受ける必要があり、容易に通過できるとは言えません。
また売掛先が倒産し支払いが不可能となった場合には、電子記録債権の譲渡を行った企業に支払い義務が発生する点にも注意が必要です。
売掛債権を買取業者に対して売却し現金化する資金調達方法が「ファクタリング」です。
売掛先に通知を行わず債権の売却を行う2社間ファクタリングと、通知を行う3社間ファクタリングという2つの契約方法があり、契約方法によって手数料や現金化までに必要な手間や期間に違いが発生します。
・売掛債権の決済日前に現金化できる
・最短では即日、遅くとも1週間ほどで資金調達が行える
・売掛先に知られずに利用可能(2社間ファクタリング)
・繰り返しの利用で手数料の引き下げなどが期待できる
・融資ではないので負債額を増やさない
・償還請求権が原則的にない
ファクタリングは決済日前の売掛債権を現金化できるサービスであり、利用することで支払いを待つ間の資金繰りの悩みが解決可能です。
最短即日など素早い資金調達スピードも大きなメリットになりますが、さらに債権売却後は売掛先が倒産したとしても代理での支払いや売却して手にした現金を返す必要がないなど、貸倒れリスクの回避効果も得られます。
また売却による資金調達であることから、負債額が増えバランスシートが肥大化するなどの危険もありません。
・手数料が必要になる
・悪質な業者に対しての注意が必要
・売掛先の理解が大切(3社間ファクタリング)
ファクタリングの利用には手数料が必要となり、この手数料はファクタリング会社次第である(上限を決める法律がない)ことから、手数料が妥当であるかを見抜く判断力が求められます。
稀な存在ではありますが、金融庁が注意喚起を行っているような高額な手数料の請求や融資と判断される契約内容を求めてくる、悪質なファクタリング会社に対しての注意も必要です。
そして3社間ファクタリングを利用する際には、売掛先の理解が得られるかを慎重に考慮することも大切です。
電子記録債権は電子化された債権を指しますので、それ自体を資金調達方法と呼ぶことはできないかも知れません。
しかし譲渡や割引に利用できることから、電子記録債権を資金調達に利用することは可能です。
またファクタリングも債権を活用した資金調達方法であり、この点では共通していると言えますが、他にも幾つかの共通点が存在しています。
電子記録債権を資金調達に利用した場合もファクタリングも、どちらも期日前の債権を資金へと変え活用することが可能です。
ただし電子記録債権の譲渡の場合は、電子記録債権を利用している企業間での支払いへの活用がメインとなります。
割引も可能ですが、売却によって現金へと変えることができるファクタリングと比較した場合、使い勝手は若干劣ると感じるかも知れません。
銀行融資を利用した場合、申込から融資が実行されるまでには1ヶ月以上の期間が必要になると言われています。
日本政策金融公庫などは2ヶ月以上かかることも珍しくはなく、融資による資金調達はビジネスローンのような特殊な商品を除いて時間がかかる傾向があります。
それに対して売掛債権を活用した資金調達は短期間で完了できる期待が高く、急ぎの際にも頼りになります。
ただしファクタリングが最短即日なのに対して、電子記録債権の譲渡・割引には1週間程度が必要になりますので、この差は頭に入れておく必要があります。
電子記録債権は法人だけでなく個人事業主も利用可能です。
同様にファクタリングも売掛債権さえあれば中小企業や個人事業主も利用するのは難しくありません。
銀行融資は中小企業や個人事業主にとって利用するハードルが高いと言われますが、債権を活用した資金調達方法であれば比較的利用しやすくなります。
債権を活用した資金調達方法などの共通点はあるものの、電子記録債権の譲渡・割引とファクタリングを同じ感覚で利用するのはおすすめできません。
どちらも短期間での資金調達を可能とするものの、スピード面ではファクタリングの方が優れています。
そして他にも理解しておくべき相違点があります。
電子記録債権の譲渡・割引は、売掛先の承諾を得るという点で3社間ファクタリングと似ています。
しかしファクタリングには売掛先の承諾を必要としない、2社間ファクタリングという選択肢があり、電子記録債権にはそのような選択肢がありません。
またファクタリング会社に申し込めば即座に利用可能なファクタリングに対して、電子記録債権の譲渡・売却は取引に関係する企業が電子記録債権を利用できる状況になっていなければ資金調達の手続きをスタートすることもできません。
このように資金調達方法として利用し始める際の負担は、ファクタリングの方が低くなります。
売掛先が債権譲渡後に倒産などによって支払い能力を失ってしまった場合、償還請求権なしでの契約が原則であるファクタリングならば特に被害を受けることはありません。
しかし電子記録債権の場合は、譲渡・割引が完了した後であっても支払い義務が存在します。
売掛先の倒産リスクを抱えたままとなると経営に不安が残りますが、ファクタリングはその心配も不要です。
ただしどのファクタリング会社でも「ファクタリング=償還請求権なし」とは言い切れませんので、きちんと確認した上で契約を行いましょう。
ファクタリングでは売掛債権の存在を証明するために、請求書や売掛先との取引に利用している口座の通帳のコピーなどの提出が求められます。
しかし電子記録債権であれば、債権の存在証明は容易となります。
根拠となる書類を予め準備しておけばファクタリングの場合も大きな問題にはならないはずですが、債権の存在証明の手間に関しては電子記録債権の方が容易であると考えられます。
売掛債権をファクタリングによって売却する際には、掛目が発生することもありますが債権の額面全てが対象となり、分割して一部だけを売却することはできません。
それに対して電子記録債権は分割しての譲渡・割引が可能です。
これによって電子記録債権を利用する方が、必要な額だけの資金調達が行いやすいと言えるかも知れません。
電子記録債権の譲渡・割引とファクタリングには、それぞれにメリット・デメリットが存在しているのは事実です。
利用を検討されている企業様の中には電子記録債権を利用したファクタリングのようなサービスはないのかとお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、実は「でんさいファクタリング」と呼ばれるサービスが存在しています。
魅力的な資金調達に感じるかも知れませんが、まだ資金調達方法として洗練されておらず、注意すべき問題点を幾つか抱えています。
ファクタリング会社は銀行・ノンバンク系と、貸金業登録を行っていない独立系に分けられます。
独立系は素早い資金調達が期待できるのですが、銀行・ノンバンク系は現金化までの時間がかかる傾向にあります。
電子記録債権を利用したファクタリングは銀行の子会社が行っているサービスであり、残念ながら素早い資金調達は期待できないのが事実です。
ファクタリングの大きなメリットである「早さ」を求めるのであれば、電子記録債権を利用したファクタリングは不向きと言わざるを得ません。
2社間ファクタリングを選ぶことで、ファクタリングにより債権を売却したことを売掛先に知られにくくすることができますが、電子記録債権を利用したファクタリグでは通知が行われますので、売掛先に対して秘密裏に債権の売却を行うことはできません。
売掛先に債権売却を知られても問題ない状況でなければ、利用すべきではないかも知れません。
電子記録債権を対象としたファクタリングサービスですので、売掛先が電子記録債権を利用していなければ資金調達を行うことはできません。
手形取引の代わりとして利用する企業が増加したのは事実ですが、まだまだ浸透しているとは言えず、この資金調達方法の利用対象となれるかは売掛先次第となります。
電子記録債権を取り扱っている企業または子会社でしか、このサービスに対応することはできず、実際に電子記録債権が売却できるファクタリング会社の数はまだまだ少ない状況です。
つまり利用できる場所そのものが限られており、気軽に利用することができないという大きな問題を抱えているのです。
電子記録債権を売却できるファクタリングがまだまだ活用するのに不向きということもあり、債権を活用した資金調達として中小企業におすすめしたいのは「ファクタリング」となります。
ファクタリングを利用することで、中小企業の資金繰りの悩みの多くが解消できます。
装置トラブルなどによって急ぎで現金が必要になった際に慌てて融資を希望しても、短期間で資金調達を完了させることは難しいでしょう。
しかしファクタリングならば即日での現金調達も不可能ではありません。
手続き上で大きな問題が発生しなければ、契約方法を問わず高確率で1週間以内に債権を現金化することができます。
ファクタリングの債権買取スピードがあれば、急ぎの資金調達にも対応可能です。
貸倒れのリスクがある状況では資金の活用は難しく、状況次第では経営が傾く原因になることも考えられます。
売掛先の倒産リスク回避にも償還請求権のないファクタリングは役立ちます。
売掛先が倒産となれば取引先を失うという被害は避けられません。
ですが同時に資金面での大きな被害を受ける危険を、ファクタリングを利用することで回避することが可能です。
赤字経営・税金滞納中でも利用可能とファクタリングは言われますが、これはファクタリングの審査で重要になるのが売掛先の信用力だからです。
債権の決済を行うのは売掛先であり、ファクタリング会社は決済が滞りなく行われるかどうかを審査で判断します。
経営状況が悪化していても債権の売却ができる確率が高いのは、中小企業向きの審査基準と言えるはずです。
売掛先に通知を行わない2社間ファクタリングを選択すれば、取引先に債権の売却を知られてしまう可能性はほとんどありません。
ファクタリングは金融庁も事業者の資金調達方法として存在を認めており違法性に関しての心配は無用ですが、売掛先が良い印象を持っていないとなれば話は変わります。
しかし2社間ファクタリングを選べば、企業間の関係性に悪い影響を及ぼす心配はなくなります。
電子記録債権にもメリットがあり、いずれ電子記録債権を対象とするファクタリングも資金調達方法として利用しやすくなるかも知れません。
しかし今現在を見た場合、どちらも現状のファクタリング以上に利用する価値が高いとは言えないのが事実です。
ファクタリングは中小企業の資金繰り改善の期待が高い資金調達方法ですので、ぜひ活用をご検討ください。
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