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ファクタリングコラム
2024年12月12日
目次
ファクタリングとは、自社の持つ債権を売却し現金化したり、担保にしたりする資金調達手法です。
事業を営む場合に日々の取引内容を会計に記録する必要がありますが、ファクタリングを利用した際にも同様です。
この記事では、ファクタリングを利用した際の会計処理について解説します。
取引の会計処理をおこなうには、仕訳が必要です。
仕訳とは、日々の取引を帳簿に記録することを指します。
帳簿に記録する際には、複式簿記を使用し、1つの取引を2つの側面からとらえ、帳簿の左右に記載。
仕訳する際は、取引ごとに決まっている勘定科目に取引を振り分ける必要があります。
取引を会計処理するには、複式簿記に記載する正しい勘定科目や仕訳方法の理解が必要です。
仕訳は、一つひとつの取引につき、取引額はいくらで何が変動したのかを一定のルールに従って記録することです。
事業で生じた取引はすべて仕訳する必要があり、1年間の取引結果を貸借対照表や損益計算書などの書類にまとめます。
取引をまとめた書類は、確定申告や金融機関から融資を受ける際の審査で使用するために必要です。
帳簿は、日々の経営状態を判断する際にも役立ちます。
経営において重要な会計処理は、日々の取引を仕訳しないとできません。
ファクタリングで発生する費用を仕訳するための勘定科目を解説します。
では、ファクタリングを利用する際にかかる手数料と消費税について見ていきましょう。
ファクタリングの利用時には、売掛債権を買い取るファクタリング業者に手数料を支払わなければなりません。
ファクタリング手数料の勘定科目は、売上債権売却損として費用に計上します。
銀行から受ける融資などの借入とは異なり、売買取引であるファクタリングは、手数料を経費処理でき、その分だけ法人税を減らすことが可能です。
借入の場合、貸借対照表の負債が増えるだけで損金は増えません。
ただし、手数料を少なくし経費金額をできるだけ低く抑える方が適切です。
ファクタリングを利用すると、会計処理において手数料の分だけ損金計上でき、法人税を減らせることも覚えておきましょう。
ファクタリング手数料や売掛金を売却し受け取った現金は非課税となり、消費税を支払う必要はありません。
消費税は、一般的に物やサービスを購入した際にかかる税金です。
しかし、事業者が事業として対価を得て行う取引であっても、課税対象になじまないものや社会対策的配慮から消費税を課税しない取引も存在します。
これを非課税取引と呼び、土地や有価証券、商品券などの譲渡が対象です。
ファクタリングの手数料や売却金は、金銭債権の譲渡に該当する非課税取引のため、消費税を支払う必要がありません。
ファクタリングには、大きく分けて買取型と保証型の2種類あります。
買取型とは、自社の保有する債権を第三者に売却することで、手数料を差し引いた差額を現金化するファクタリングです。
買取型には、自社とファクタリング業者に2社間で取引する方法と、債務者を交えた3社間で取引する方法があります。
一方、保証型とは、自社の保有する債権に保険を掛けておき、債務者の倒産などで債権が回収できなくなった場合に、保証限度額内で債権の支払いを受けるファクタリングです。
保証型は、基本的に損害保険の性質を持つため、損害保険に即した会計処理の流れになります。
買取型は、債権がファクタリング業者に会計上移転されたかどうかを判別して会計処理をおこなう必要があるため、保証型に比べて複雑です。
では、ファクタリングの仕訳方法を種類別に解説します。
初めにファクタリングを利用しない場合の、売掛金の処理を見ていきましょう。
通常の売掛金の会計処理では、売上が出た段階で現金ではなく売掛金の勘定科目に加える必要があります。
仮に100万円の取引をおこなった場合の最初の仕訳は、【借方:売掛金100万円、貸方:売上100万円】です。
売掛金の期日がきて、売掛先からお金が入金されると、【借方:普通預金100万円、貸方:売掛金100万円】となります。
このように、売掛金はプラマイゼロとなり、最終的には売上の金額と普通預金の金額が一致する仕訳が正しい結果です。
次に、買取型ファクタリングの会計処理を見ていきましょう。
買取型ファクタリングは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングに分かれており、それぞれ仕訳方法が異なります。
2社間ファクタリングの場合は、3社間ファクタリングのように売掛先企業への債権譲渡に関する通知や承認が不要なため、最短で当日に入金されることがあります。
この場合、最初の仕訳は【借方:売掛金100万円、貸方:売上100万円】と通常の仕訳と同じです。
次に、契約と入金が同時だった場合、未収金処理をおこなう必要がないため、【借方:普通預金90万円・売上債権売却損10万円、貸方:売掛金100万円】と直接売掛金で処理します。
3社間ファクタリングの場合、ファクタリング業者とファクタリング利用者、売掛先企業の3社で取引するため仕訳が複雑です。
取引では、ファクタリング業者とファクタリング利用者が契約を結び、売掛先企業へ通知か承諾が必要になるため、ファクタリング契約から実際の入金日まで数日間空きます。
まずは、通常と同じく最初の仕訳は、【借方:売掛金100万円、貸方:売上100万円】です。
次にファクタリング契約した段階で、売掛金を消し一度未収金として計上します。
【借方:未収金100万円、貸方:売上100万円】となった段階では、まだファクタリングにより現金を得ていません。
契約後、現金が入金されると、手数料を売上債権売却損として計上します。
仮に10万円の手数料が発生した場合の仕訳は、【借方:普通預金90万円・売上債権売却損10万円、貸方:未収金100万円】です。
このように、未収金の勘定科目がプラマイゼロとなり、現金として90万円を得ることになります。
次は、保証型ファクタリングで売掛債権100万円が回収不能となり、保険金を受け取った場合の会計処理を解説します。
保証型ファクタリングの場合、ファクタリング契約を締結した時点では、特に仕訳は必要ありません。
実際に返済が期日までにおこなわれないなどの売掛債権の回収不能が確定した場合の仕訳は、【借方:貸倒損失100万円、貸方:売掛債権100万円】です。
まずは、売掛債権が回収不能(貸し倒れ)になった処理をおこないます。
次に、【借方:現金預金100万円、貸方:雑収入100万円】とファクタリング契約による保険金を受け取った金額を、雑収入による入金処理でおこなえば完了です。
割引料とは、手形割引の割引を処理する勘定科目のことで、支払割引料や手形割引料とも呼びます。
手形割引は手形を早期現金化する方法で、ファクタリングは売掛債権を早期現金化する方法ですが、それぞれの仕組みにはさほど違いがありません。
では、ファクタリング取引の仕訳でおこなった売上債権売却損で処理せずに、割引料で仕訳しても良いか疑問に思う方もいることでしょう。
結論としては、大きな問題はありません。
売上債権売却損で仕訳すると、【借方:普通預金90万円・売上債権売却損10万円、貸方:未収金100万円】です。
一方、割引料による仕訳は【借方:普通預金90万円・割引料10万円、貸方:未収金100万円】となります。
どちらも、営業外費用の区分であるため、本来なら売上債権売却損を使用するべきですが、割引料で処理しても大きな問題はありません。
個人事業主は関係ありませんが、法人の場合は決算書を作成する必要があります。
財務諸表として貸借対照表があり、ファクタリングを利用する場合は、仕訳の内容だけでなく財務諸表への影響も経営者は理解しなければなりません。
財務諸表を良くすることで銀行融資に直結しますが、ファクタリングは貸借対照表の内容を改善できることが認知されています。
通常、貸借対照表には売掛金が存在し、売掛金を売買すれば早期現金化が可能です。
その後、現金を活用し負債を返済すれば、その分だけ貸借対照表のスリム化でき、貸借対照表をオフする(消す)ため、オフバランスと呼びます。
このような会計処理をおこなうと、自己資本比率やROA(純資産利益)が改善できるため、財務諸表の内容が良くなるでしょう。
次は、ファクタリングで会計処理する際の注意点を紹介します。
確定申告はあらかじめ決められている会計期間でまとめて帳簿を作成する必要があり、ファクタリングの契約から現金入金までに会計期間をまたぐ場合は税金の支払いが必要です。
税金は、会計期間の売上に対して課せられます。
会計期間をまたぐ場合は、ファクタリングによる現金化がされていない売上に対しても法人税の支払いが必要なため覚えておきましょう。
会計期間が切り替わるタイミングでファクタリングを利用する場合は、会計処理に注意してください。
ファクタリング手数料を仕訳する勘定科目は、売上債権売却損のほかに、売上債権譲渡損、売掛債権売却損、売掛債権譲渡損などで処理しても問題ありません。
なぜなら、会計ソフトによっては勘定科目が異なる場合があり、厳密に決まっているものではないためです。
使用する会計ソフトに、自分で勘定科目を新しく作成できる機能がある場合は売上債権売却損を作成しましょう。
仮にない場合でも、割引料や雑損料などの勘定科目でも処理が可能です。
ただし、売上債権売却損の勘定科目があるのに使用しない場合は、税務署から指摘を受ける可能性もあります。
発生主義とは実際に入金はなくても売上が発生したタイミングで会計処理をおこなうことで、現金主義とは現金が入金されたタイミングで集計することです。
ファクタリングでは、実際に現金が入金されるまでの期間にさまざまな仕訳をおこないますが、これは発生主義による方法で仕訳しているといえます。
社内規模の会計処理を作成する際は、現金主義でも問題ありませんが、確定申告をおこなう際に作成する帳簿が原則、発生主義で作成しなくてはなりません。
なお、発生主義は取引規模が大きい帳簿を作成する際に向いている方法ですが、現金主義は帳簿の数字を小さくし安定した帳簿を作成したい場合に向いています。
帳簿の統一性を図るために、初めにどちらの方法で作成するか決める必要がありますが、基本的には発生主義で作成ことになるでしょう。
ファクタリングの仕訳は、注意するポイントを把握していない状態で処理をしてしまうと、取引先との契約や、ファクタリング会社との契約内容に反してしまうこともあります。
買取型ファクタリングを利用する際は、取引先と交わした契約書に債権譲渡を禁止する旨が記されていないか確認するようにしてください。契約書に債権譲渡の禁止について記載がある場合には、ファクタリングを利用することはできません。
特に、3社間でのファクタリングには注意が必要です。3社間でのファクタリングを行うためには取引先からの合意が不可欠である他、売掛金の支払日以降のファクタリング会社への返済は取引先が行うことになります。
また取引先によっては契約書にファクタリングを禁止する条項を明記していなくても、ファクタリングを行う必要のある経営状況である企業とのやりとりを懸念し、取引の中止を求めてくることもあるため気を付けてください。
ファクタリングにおける売掛金の譲渡は金銭債権などの譲渡に該当しています。この譲渡は非課税取引となるため消費税は発生しません。
ファクタリング会社は取引金額や手数料に対して消費税を請求できないことを把握しておきましょう。ただしファクタリング会社が売掛金の債権譲渡登記を行う費用については消費税が発生します。
上記のようにファクタリングにおいて発生する費用には消費税が発生するものとしないものがあるので、取引や経理処理の際にはきちんと確認をしなければいけません。
ファクタリングの契約時から現金の入金までの期間において決算期末を挟む場合、入金されていなかったとしてもその売上には税金が課されます。
売上が現金化されるよりも先に売上を元に計算した消費税や法人税を支払わなければなりません。
ファクタリングの仕訳自体は、慣れると決して難しいことではありません。
しかし、初めてファクタリングを利用する場合は、会計処理が難しく感じることもあるでしょう。
しっかりと仕訳方法を理解していないと、税務署から帳簿上の僅かなミスやずれを指摘される可能性があります。
ファクタリングの会計処理が分からない場合は、専門家へ相談してみましょう。
この記事では、ファクタリングを利用した際の会計処理について解説しました。
ファクタリングを上手く活用できれば、資金繰りを改善できる可能性があります。
銀行から借り入れしたくても信用枠が埋まっている場合や、赤字決算などが原因で融資が受けられない場合でもファクタリングなら利用可能です。
ファクタリングを利用した際も、事業に営む場合と同じく、仕訳や会計処理が必要なため不安な場合は弁護士などの専門家に相談してみてください。
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