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ファクタリングコラム
2024年7月16日
目次
ファクタリングで資金調達するときには、契約書の内容が重要です。そこでこの記事では、ファクタリング契約書で特に確認すべき項目として「償還請求権」に着目して紹介します。
契約形態には2種類あります。それぞれの違いや特徴について紹介します。
納入企業(利用者)とファクタリング事業者の2社間で契約・取引を行います。
利用者とファクタリング事業者が債権譲渡契約と集金業務委託契約を締結します。ファクタリング事業者が債権譲渡の登記を行い、売掛金を利用者に支払います。売掛先は直接関与せず、売掛金が利用者からファクタリング事業者に移動します。
債権譲渡契約と集金業務委託契約は、ビジネス取引において重要な役割を果たす契約です。以下にそれぞれの契約について詳しく説明します。
債権譲渡契約は、債権の同一性を保ったまま、債権の譲渡人から債権の譲受人に移転させる契約です。具体的には、債権者が債務者から財産権(所有権や債権者の地位など)を形式上譲り受ける形で設定される担保権であり、民法などの法律によって認められています。債権譲渡契約は、債権回収の一手段として利用されることが多いですが、他にも債務の肩代わりの目的などに利用されることもあります。
集金業務委託契約は、売掛金の回収を専門的に行う業者に集金業務を委託する契約です。具体的な手順は以下の通りです。
1. 利用者が売掛先に商品やサービスを提供し、代金を請求する。
2. 利用者と業者間で債権譲渡契約と集金業務委託契約を締結する。
3. 業者が債権譲渡の登記を行う。
4. 業者が利用者に売掛債権の代金を支払う。
利用者とファクタリング事業者に売掛先を加えた3社間で取引を行う契約形態のことです。具体的な流れは以下の通りです。
1. 売掛債権の発生
利用者が売掛先に商品やサービスを納入し、売掛債権が発生します。
2. ファクタリング申込み
利用者が申し込みます。
3. 契約締結
審査を通過した後、3社間で契約を結びます。売掛先企業から利用の許可を得る必要があります。
4. 債権譲渡登記と支払い
売掛先企業が売掛金を直接、ファクタリング会社に支払います。3社間ファクタリングでは手数料が低く設定されることがあります。ただし、資金調達までのスピードは2社間ファクタリングよりも遅いです。
本章では契約書で確認すべき項目を紹介します。
1. 債権譲渡通知
債権の譲渡を売掛先への通知有無を記載します。
2. 債権譲渡登記
正式な債権の譲渡を公的に記録するための手続きです。2社間ファクタリングでは利用者による登記が求められることもあります。
3. 償還請求権
売掛金の回収ができなくなった場合、利用者に対してファクタリング会社が請求する権利です。こちらについて後ほど詳細をお伝えします。
4. 担保・保証人
ファクタリングは融資ではないため、担保や保証人は必要ありません。記載されている場合は注意が必要です。
5. 手数料
売掛金の買い取り時に発生する手数料を確認します。相場に合致しているか注意してください。
6. 報告義務
売掛先の経営状況に大きな変動があった場合に報告の必要があるかどうかを確認します。
7. 損害賠償・違約金
契約違反が発生した際の責任を定めた項目です。詳細を確認しましょう。
8. 契約解除
契約違反があった場合に契約解除となる条件を確認します。ファクタリング会社ごとに異なるため注意が必要です。
9. 契約期間
通常、1回の取引で終了しますが、継続利用を前提とした契約書もあります。
注意が必要な「償還請求権」について詳しく紹介します。
ファクタリング契約における「償還請求権」は、売掛金の債務者が返済不能になった際、利用者がその分の金銭を請求できる法的権利です。償還請求権がある場合、金銭債権が支払われなかった場合に支払いを要求される可能性がありますが、ない場合はそのリスクはありません。
前章で紹介した償還請求権が有るか無いかによって契約が異なります。どのように異なるかを説明します。
債権譲渡先(利用者)が売掛金の債務者から支払いを受けられなかった場合に、利用者がその債権を元の債務者に戻すことができるのがリコースファクタリングです。
1.償還請求権の保有
リコースファクタリングでは、売掛金の債務者が支払いを滞らせた場合、利用者は債権を元の債務者に戻すことができます。
2.リスクの共有
利用者とファクタリング会社との間でリスクを共有する形態のため、利用者は一部のリスクを負担します。
3.手数料と条件
リコースファクタリングでは手数料や条件が通常よりも高くなります。これは、リスクを共有するためです。リコースファクタリングは、売掛金の回収リスクを考慮しながら、資金調達を行うための選択肢として検討されます。
ノンリコースファクタリングは、債権譲渡先が売掛金の債務者から支払いを受けられなかった場合でも、利用者がその債権を元の債務者に戻すことができないファクタリングです。
1.償還請求権の不保有
売掛金の債務者が支払いを滞らせた場合、利用者は債権を元の債務者に戻すことはできません。
2.リスクの軽減
ノンリコースファクタリングは、ファクタリング会社に対して利用者が売掛金の回収リスクを委託する形態です。利用者は一部のリスクを軽減できます。
3.手数料と条件
ノンリコースファクタリングでは、手数料や条件がリコースファクタリングよりも低くなることがあります。これは、リスクをファクタリング会社が負担するためです。
売掛金の回収リスクを最小限に抑えつつ、資金調達を行うための選択肢となりえます。ただし、利用者は売掛金の債務者の信用力や支払い能力を慎重に評価する必要があります。
償還請求権を持つファクタリングは、売掛金の回収リスクを考慮しながら資金調達を行う方法として一般的ですが、違法業者に注意が必要です。違法業者は、高い手数料や不適切な条件でファクタリングを提供することがあります。
以下は、償還請求権ありのファクタリングを検討する際に留意すべきポイントです。
1.信頼性の確認
ファクタリング会社を選ぶ際には、信頼性を確認しましょう。適切なライセンスを持ち、法的に適切な手続きを行っているかどうかを調査しましょう。
2.契約内容の詳細
契約書をよく読み、手数料、条件、償還請求権の具体的な内容を理解してください。特に、償還請求権を行使する際のプロセスや期限を確認しましょう。
3.違法業者に注意
ファクタリング自体は違法ではありません。実際には、法律に基づいた正当な取引であり、売掛債権の譲渡契約を指します。民法第466条によれば、債権は譲り渡すことができるとされています。具体的には、以下の特徴を持つファクタリング会社が違法である可能性があります。
①高額な手数料
違法なファクタリング会社は手数料が法外に高いことがあります。
②契約書が曖昧
違法業者は契約書類を不透明にし、利用者に不利益をもたらすことがあります。
③分割払いを推奨する
違法な会社は分割払いを勧め、利用者に不必要な負担をかけることがあります。
④保証人の設定が必要
違法なファクタリング会社は保証人を求めることがあります。
⑤会社の実態が不明
違法業者は実態が不透明であることがあります。
違法なファクタリング業者に注意し、安全なファクタリング会社を選ぶことが重要です。
手形割引について詳しく紹介します。
手形割引は手形を売り渡し、その代金として手形金額から支払期日までの金利や手数料(割引料)を差し引いた金額を受け取る方法です。
手形割引の流れは以下です。
1. 商品の販売: A社がB社に100万円の商品を販売し、代金を請求します。
2. 手形の振出: B社は商品の代金を現金の代わりに手形を振り出し、A社に渡します。
3. 手形割引依頼: A社は受け取った手形を銀行、または手形割引業者に対して割引依頼し、手形を譲渡します。
4. 支払い: 銀行または手形割引業者は手形の金額から割引料を引いた金額を支払います。
手形割引のメリットは以下です。
1. キャッシュフロー改善: 手形割引を利用することで、手形の支払期日前に現金を受け取ることができます。これにより、企業のキャッシュフローを改善できます。
2. リスク軽減: 手形割引業者や銀行が手形の信用リスクを評価し、手形の割引料を差し引いた金額を支払ってくれるため、回収リスクを軽くすることができます。
3. 柔軟性: 手形割引は、急な資金需要に対応して柔軟性があります。手形を現金化することで、資金調達のニーズを満たすことができます。
手形割引はメリットだけでなくデメリットもあります。
1. 手数料: 手形割引業者や銀行は手形の現金化に対して手数料を請求します。手形割引を利用する際には、手数料の詳細を確認しましょう。
2. 信用リスク: 手形の発行者が支払いを滞らせた場合、手形割引業者や銀行はそのリスクを負います。信用がない企業の手形を割引きする場合、リスクが高まります。
3. 手形の条件: 手形の条件(支払期日、金額など)を満たす必要があります。手形の条件を確認してしないと、割引が受けられない可能性があります。
契約書において注意が必要な項目を紹介し、その中でも特に重要な「償還請求権」について詳しく見てきました。
「償還請求権」は、売掛金の債務者が返済不能になった際、利用者がその分の金銭を請求できる法的権利です。
気にしなければいけないところをわかって償還請求権をうまく活用しましょう。
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