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ファクタリングコラム
2024年10月29日
目次
ファクタリングの繰り返し利用は可能です。しかし、ひとつの売掛金を繰り返し別のファクタリング業者へ譲渡することはできません。
ファクタリングの仕組みを正しく理解していないと、何を繰り返すことが可能なのかわからなくなってしまいます。
この記事では、ファクタリングの繰り返し利用について詳しく説明していきます。
また、繰り返し活用していく上での注意点もあわせて解説します。
ファクタリングの繰り返し利用とは、ひとつの売掛金を繰り返しファクタリングに利用することではありません。ファクタリングの繰り返し利用自体は可能ですが、ひとつの売掛金を繰り返しファクタリングに利用することは、罪に問われる可能性があります。
まずはファクタリングの仕組みから見ていきましょう。
ファクタリングは売掛金を業者に売却し、資金を得る資金調達方法です。
まだ受け取っていない売掛金を受け取る権利(売掛債権)を業者に譲渡することで成立します。
将来的に入手する資産を売却し現金を得る仕組みであり、ファクタリングで得た資金は融資と違い、返済する必要がありません。
債権の譲渡とは、「受け取る権利」を他者へ渡すことを言います。
売掛債権とは、売掛金を受け取る権利です。
通常、商品を販売して売掛金が発生すると、商品を販売した人が売掛金を受け取る権利を得ます。決められた支払期日になると、売掛先は売掛債権を所有している人へ売掛金を支払います。
ファクタリングでは、この売掛債権をファクタリング業者へ譲渡します。これにより、売掛金の支払期日になると、業者が売掛金を受け取れるようになります。
ひとつの売掛債権を複数の業者へ譲渡し、金銭をだまし取ろうとした場合、刑法上、横領罪や背任罪が成立する可能性があります。
A社の1月の売掛金(以下、売掛債権A)があったとします。
売掛債権Aをファクタリングに利用すると、その債権はファクタリング業者のものになります。
しかし売掛債権は目に見えるものではありません。
請求書など売掛債権Aの存在を証明する書類さえあれば、複数の業者へ繰り返しファクタリングの申し込みをおこなえてしまいます。
売掛債権Aを複数の業者へ譲渡した場合、売掛金の支払い期日になると、困ったことが起こります。
A社からひとつの業者へ売掛金が支払われたとしても、他の業者は売掛金を受け取れません。すでに一つの業者が「売掛金を受け取る権利」を行使してしまったからです。
売掛金を受け取れなかった業者も、すでに依頼者へ現金を支払っています。
依頼者はひとつの売掛債権を繰り返し使用した分だけ、現金をだまし取ることが可能になるのです。
このような理由から、ひとつの売掛債権を繰り返しファクタリングに使用することは許されていません。
ファクタリングの繰り返し利用とは、別の売掛債権を使用し、何度もファクタリングの利用を申し込むことです。
ファクタリングは、別の売掛債権を使用するのであれば、資金調達が必要になったタイミングで何度でも繰り返し申し込みをおこなえます。
ファクタリングは融資などと違い、利用に制限はありません。
融資などは申し込みの際、返済能力の有無を審査されます。
すでに融資を受けている場合には、既存の借入金額と希望融資額を合算して返済可能か審査されることがあるため、繰り返しの申し込みが困難な場合があります。
しかしファクタリングは、返済をおこなう資金調達方法ではありません。
何度繰り返し申し込んでも売掛先の支払い能力には関係がなく、繰り返しの申し込みがファクタリングの利用に悪影響を及ぼすことはありません。
ファクタリングの利用には審査があります。
審査内容は主に次の通りです。
・実在する売掛債権か
・売掛先の信用力
・利用者の信用力
・利用者と売掛先の取引実績
利用者の信用力には、利用者が悪質な行為をおこなわないかという判断も含まれます。
先の話のように、債権の二重譲渡は犯罪行為です。
そのほか2社間ファクタリングにおいて、利用者による売掛金の送金実績も審査のポイントになります。
2社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングの活用を通知しません。
そのため売掛金の支払期日になると、売掛先はファクタリング利用者へと通常通り売掛金を支払います。
利用者は、その受け取った売掛金を業者へ送金しなければいけません。売掛金を受け取る権利は業者が所有しているからです。
しかしなかには、受け取った売掛金を業者へ送金せず、不正に使用してしまう者も存在します。業者は、そのような悪質な利用者ではないか見極める必要があります。
その点、ファクタリングを繰り返し申し込むことで、取引実績を積み上げていくことが可能です。
取引を正しく完了させた実績が増えていくことで、以降の審査も通過しやすくなります。審査にかかる時間も短縮し、より活用しやすくなっていきます。
ファクタリングは非常に活用しやすい資金調達方法です。しかし繰り返しの活用には、注意すべき点があります。
事業をおこなっていると、売掛金を活用することが多くあります。
商品を売り上げても、その都度売上金を受け取る業種ばかりではありません。
締め日に一か月分の売上総額をまとめて請求し、翌月などにその売上金を受け取る業種も多く存在します。そして、ここで発生するものが売掛金です。
通常、経営が安定していると毎月売掛金が発生し、同時に、前月の売掛金の支払い期日も到来します。
今月請求した売り上げは来月の入金になりますが、先月請求した売り上げが今月入金され、資金不足におちいることなく運転していけるのです。
しかし一度ファクタリングを活用すると、このサイクルが乱れてしまう恐れがあります。
ファクタリングを活用すると、その月には、支払期日を迎えた分の売掛金とファクタリングで得た現金の両方を受け取れます。融資に頼ることなく一時的な資金不足に対応でき、非常に効果的です。
しかし翌月の現金収支には注意が必要です。
ファクタリングによって一足早く現金を入手した分、本来の支払期日に受け取る売掛金が存在しなくなるためです。
たとえばひと月の売掛金のうち、一部の売掛金のみをファクタリングに使用したのであれば、大きな問題にはならないでしょう。
しかしその月の売掛金をすべてファクタリングに使用してしまった場合、本来の支払期日には、入ってくる現金が何もなくなってしまいます。運転資金が足りなくなる可能性も否定できません。
資金不足を解消するためには、再度資金調達をおこなう必要があります。
その月に売掛金が発生している場合には、その売掛金をファクタリングに使用することも可能です。
しかしファクタリングをおこなうと、今月の運転資金は確保できますが、また本来の支払期日には資金不足におちいる恐れがあります。
ファクタリングを繰り返し活用することで自転車操業状態になり、やめられなくなってしまうのです。
本来受け取る予定の売掛金を事前に受け取り続けることが、何か問題になるのでしょうか。
一見すると、ただ入金サイクルが前倒しになっただけであり、問題がないように思われます。
しかしファクタリングを繰り返し活用していくと、売上金が目減りしていくリスクがあります。
ファクタリングには手数料がかかります。
その相場は2%~18%ほどと大きな開きがあります。
もしも10%の手数料でファクタリングを活用していた場合、たとえば100万円の売掛金に対して10万円を手数料として支払います。
ファクタリングをおこなわなければ100万円を受け取れたはずですが、ファクタリングを活用することにより、90万円に減ってしまうのです。
一度の活用であれば、手数料の負担も一度きりで済みます。
しかし繰り返しファクタリングをおこなうことで、手数料も繰り返し必要になります。
たとえば毎月10万円ずつ手数料を支払い続けていったとすると、年間で120万円も売り上げが目減りしてしまうのです。
だらだらと繰り返し利用を続けるのではなく、どこかで繰り返しを止められるよう、売り上げを増やしていく必要があります。
繰り返しサービスを活用し、売り上げが目減りしていくリスクに対処するには、経営状況の根本的な改革が必要です。
すべての売掛金をファクタリングに使用してしまうと、支払期日には入金される金額がなくなってしまいます。
売り上げを増やす努力をし、サービス利用後も経営を続けていけるだけの資金を確保していかなければなりません。
そのほか、支出を減らす努力も必要となってくるでしょう。
資金繰りの計画やキャッシュフローの見直しは、専門の知識が必要です。
繰り返しファクタリングをおこない自転車操業におちいってしまった場合には、専門家などに相談し、事業を立て直す必要があります。
融資は返済の必要がありますが、助成金や補助金などは基本的に返済不要です。
ファクタリングで一時的な資金不足を補いつつ、助成金などを有効活用してキャッシュフローを安定化させることも可能です。
助成金や補助金には多くの種類が存在します。自社で活用できる制度を探してみてください。
ファクタリングは売掛債権を所有している分だけ繰り返し申し込みをおこなえます。
ただし、ひとつの売掛債権を何度も繰り返し使用してはいけません。
ファクタリングの利用を繰り返し申し込むことで、優良な利用者としての実績が蓄積し、その後の取引もスムーズに進みます。
しかし何度も繰り返し利用していくことで、かえって資金繰りを悪化させてしまうこともあります。資金繰り計画やキャッシュフローの見直しをおこない、有効活用してください。
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