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ファクタリングコラム
目次
この記事を見ればファクタリング取引の仕組み・流れ・利点・注意点などがわかります。
ファクタリングを利用される際は参考にしてください。
ファクタリング取引は融資に頼っていた資金繰りを大きく変えることができ、売掛債権の支払いを待つ期間の経営に苦労されていた中小企業の悩みを解決することも可能な資金調達方法です。
しかし「ファクタリング取引って?」という経営者様や、名前は知っていても内容はよくわからず何となくの不安を感じているという経営者様も少なくはないかも知れません。そこで本稿では質問に回答する形で、ファクタリング取引に関する疑問や不安を取り除くお手伝いをさせていただきます。
本稿を通して中身を理解するほどに、ファクタリング取引が頼りになる資金調達方法であることがおわかりになるはずです。
一般的にファクタリング(factoring)取引とは、決済期日前の売掛債権をファクタリング会社と呼ばれる専門の買取業者へ売却し、その売掛債権に基づく代金を早期に回収(現金化)する取引のことを指します。この取引は、資金繰りの改善やキャッシュフローの安定化を目的として多くの企業や個人事業主に利用されています。法的には「売掛債権の売買(債権譲渡)契約」として明確に定義されており、銀行などからの融資とは全く異なる仕組みの取引方法となっています。融資とは異なり、ファクタリング取引では借入金ではないため利息は一切発生しません。その代わり、ファクタリング会社に対しては、売掛債権の買取に伴う手数料を支払う必要があります。この手数料は、買取額に応じて一定の割合で設定されており、業者や取引内容によって異なりますが、ファクタリングの利用コストとして認識されるものです。したがって、ファクタリングは「借金」ではなく、資産を現金化する一種の売買契約であることを理解しておくことが重要です。これにより、財務上の負担を増やすことなく、早期に必要な資金を確保できる点が大きなメリットとなっています。
ファクタリング取引の歴史は非常に長く、実は古代メソポタミア時代にまで遡ることができます。当時から、債権の売買に似たような仕組みが存在していたとされ、現代のファクタリングの原型とも言えるシステムが用いられていたと考えられています。現在のファクタリング取引の形に近づいたのは16世紀のイギリスで、この時代に商取引の拡大とともに信用取引を円滑にするための資金調達方法として発展しました。その後、20世紀に入るとアメリカでファクタリング取引が大きく発展し、企業の資金繰りの重要な手段として広く利用されるようになりました。
一方、日本においては1970年代にファクタリング取引が紹介されましたが、当時は手形取引が主流であったため、なかなか普及が進みませんでした。日本の商習慣や金融環境に合わなかったことも一因です。しかし、2000年を過ぎると民法の改正や関連法整備が進んだことに加え、インターネットの普及によってファクタリングの利用が格段にしやすくなり、徐々に日本国内でも浸透していきました。現在では、多様な企業が資金調達の手段としてファクタリングを選ぶようになり、特に中小企業や個人事業主にとっては重要な資金調達方法の一つとして定着しつつあります。こうした背景を踏まえると、ファクタリングは歴史的にも現代社会においても非常に有用な取引手法であることが理解できます。
代金をその場で受け取らずに、納品した商品や提供したサービスに対する代金を後日受け取る約束や、その受け取るべき代金のことを「売掛(うりかけ)」と呼びます。このような取引方法は「掛取引(かけとりひき)」とも言われており、日本の多くの企業で一般的に採用されている決済方法です。
一方で、「債権(さいけん)」とは、債権者が債務者に対して一定の金銭やサービスの支払いを請求することができる権利のことを指します。したがって、「売掛債権」とは、掛取引によって発生した「後で受け取るべき代金を請求できる権利」と言い換えることができます。
売掛債権は信用取引の中で非常に重要な役割を果たしますが、法的な強制力は限定的であり、債務者が支払いを遅延した場合でもすぐに強制執行が可能というわけではありません。この点で、法律に基づき強い強制力を持つ「受取手形(うけとりてがた)」とは異なる存在となります。受取手形は正式な証券として、支払いの確実性が高く保証されているため、両者は似ているようでその性質や法的効力に違いがあることに注意が必要です。
ファクタリング取引として一般的に認知されているのは、売掛債権の売却による資金調達方法である「買取ファクタリング」です。
しかしファクタリング取引は他にも「保証ファクタリング」や「国際ファクタリング」という取引種類も存在しています。
一言で「ファクタリング取引」と言っても、様々な種類があり、それぞれ取引内容は異なるもの。違いを理解し、利用時には混乱しないように取引の違いを理解しておきましょう。
・買取ファクタリング—売掛債権を売却し現金化する取引サービス。債権の決済日前の早期資金調達が可能。
・保証ファクタリング—売掛先の倒産や不払いに備えた保険型の取引サービス。貸倒れの危険を回避することができる。
・国際ファクタリング—海外の企業を相手とする取引のサポートを行うサービス。売掛先企業の信用情報調査、債権回収のサポート、債権代金の保証などが行われる。
・医療ファクタリング—医療報酬(診療報酬、調剤報酬、介護報酬)債権を売却し現金化するサービス。決済日前に医療報酬債権の8割を現金化できる取引。
ファクタリング取引においては、売掛先(債権の支払者)への通知を行うかどうかで、大きく2つの契約形態が存在します。まず、売掛先への通知を行わずにファクタリング会社と債権売却の契約を結ぶ方法を「2社間ファクタリング」と呼びます。この方法では売掛先は債権が譲渡されたことを知らされないため、債権者(依頼企業)とファクタリング会社の2者間でのみ取引が完結します。
一方、売掛先に対して債権譲渡の通知を行い、その承諾を得てから契約を締結する方法が「3社間ファクタリング」です。こちらは売掛先が債権譲渡の事実を認識しているため、売掛先から直接ファクタリング会社へ代金の支払いが行われることが一般的です。
この通知の有無は、取引の仕組みや資金調達のスピード、さらには発生する手数料の額に影響を及ぼします。具体的には、2社間ファクタリングは売掛先に知られずに手続きできるためプライバシー面でメリットがある一方、リスクが高いため手数料が高めに設定されることが多いです。また資金調達スピードも比較的早い場合が多いです。
一方の3社間ファクタリングは、売掛先の承諾が必要なため手続きに時間がかかることがあるものの、債権回収の安全性が高くなるため手数料は比較的低めに抑えられます。
以上のように、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングにはそれぞれ特徴とメリット・デメリットがあるため、自社の状況やニーズに合わせて最適な契約形態を選択することが重要です。しっかりと特徴を把握し、理解したうえで契約を進めることをおすすめします。
・素早い資金調達に向いている
・売掛先との関係性への影響リスクが小さい
・手数料相場「10%〜30%」
・債権譲渡登記が必要になることがある
2社間ファクタリングは売掛先への通知という手続きを省けることから、素早い資金調達に向いているファクタリング取引であると言えます。
最短即日で売掛債権の現金化ができるため、急ぎの資金調達に最適な取引でしょう。
しかし、ファクタリング取引は、まだ日本における歴史が長いとは言えず、ファクタリング取引に対して良いイメージを持たない売掛先があるのも確かです。
ファクタリング取引の利用を知られた場合、売掛先との関係性が悪化することもあるかもしれません。
2社間ファクタリング取引であれば、売掛先への通知を行わずにファクタリング取引を利用できるため、売掛先との関係性悪化のリスクや心配が不要となります。
ただし、手数料相場が3社間ファクタリング取引と比較して高めであることと、状況次第では債権譲渡登記を行う必要があることは理解しておく必要があります。
・審査通過しやすい
・個人事業主も利用しやすい
・手数料相場「1%〜10%」
・即日資金調達の実現は難しい
・売掛先との関係性に悪影響を与える可能性がある
ファクタリング取引の審査では、債権代金の支払いに関するトラブルが起きる危険性に注目されます。
3社間ファクタリング取引では売掛先に対して通知を行うことで、債権の二重譲渡などのトラブルを回避できます。
その結果、審査通過しやすくなり手数料も2社間ファクタリング取引より低くなりやすいというメリットが得られます。
また3社間ファクタリング取引では債権譲渡登記は基本的に必要ありません。
個人事業主でも問題なく利用できる上、登記費用の節約も可能となります。
ただし売掛先への通知や承諾を取る分だけ手続きに時間がかかるため、資金調達完了までに3営業日~1週間程度の時間がかかります。
最短即日などスピードを求める資金調達には不向きなので、注意しましょう。
さらに、3社間ファクタリング取引は、売掛先へのファクタリング取引利用の通知が必須であるため、必然的にファクタリング取引の利用が売掛先へ知られてしまします。
ファクタリングへの理解がない売掛先の場合、取引関係が悪化することもあるので、契約方法の選択は慎重に行いましょう。
ファクタリング取引は「中小企業に向いている資金調達方法」であるとよく言われます。
それは利用することで得られるメリットの多くが、中小企業の資金繰りにとってプラスになるからに違いありません。
融資よりも利用する価値が高いかも知れない、ファクタリング取引のメリットを5つご紹介させていただきます。
売掛債権の決済が行われるまでの資金繰りは、特に中小企業にとっては大きな悩みの種となることが珍しくありません。取引先からの入金までに時間がかかる場合、その間の運転資金をどう確保するかが経営の重要な課題となります。自己資金で賄うことが難しい場合、最悪のケースでは黒字倒産に陥るリスクも否定できません。
そこで注目されるのがファクタリング取引です。ファクタリングを利用することで、決済日前の売掛債権を現金化できるため、資金ショートのリスクを回避しやすくなります。たとえ入金サイトが長くても、早期に資金を手にすることで、仕入れや人件費の支払いといった日々の経営活動を安定させることが可能です。
もちろん、ファクタリングには手数料が発生するため、そのコストも考慮したうえで利用することが原則となります。しかし、手数料を払ってでも資金繰りの負担を軽減し、経営の安定を図ることは多くの中小企業にとって有効な選択肢と言えるでしょう。支払サイトの長さによる経営への負担を軽減するために、ファクタリング取引は積極的に活用できる資金調達手段の一つです。
例えば、日払いの作業員を雇用した際の人件費支払いや、現金での取引が求められる緊急のシチュエーションでは、一般的な融資のように資金調達までに時間がかかる方法はあまり頼りになりません。融資の場合、審査や書類手続きに時間がかかり、即座の資金ニーズに対応しづらいのが実情です。
一方で、ファクタリング取引は資金調達のスピードに非常に優れているため、こうした急を要する場面で強力な味方となります。特に「2社間ファクタリング」を選択すれば、売掛債権を即日で現金化することも可能です。これは売掛先に通知を行わずに債権を売却する方法であり、手続きがスムーズに進みやすいのが特徴です。
また、「3社間ファクタリング」でも、通常数日から一週間程度で契約を完了させ、資金を受け取れる可能性が高いです。3社間ファクタリングは売掛先の同意が必要になるため手続きに多少時間を要しますが、その分手数料が低めに設定される傾向があり、急いでいる時でも比較的早期に現金化できる信頼性の高い方法として利用されています。
このように、急な資金需要に対して、ファクタリングはスピードと柔軟性の両面で融資に勝る選択肢となるため、経営者にとって心強い資金調達手段となるのです。
ファクタリング取引と融資では、審査基準に大きな違いがあります。融資の場合、申込企業自身の返済能力や財務状況はもちろん、将来の事業計画や成長性なども総合的に審査されることが一般的です。そのため、経営が不安定だったり赤字経営の場合には、融資の審査を通過することが難しいケースが多く見られます。
一方、ファクタリング取引では申込企業の経営状況や将来性は審査にあまり影響しません。代わりに審査の中心となるのは、売掛先の信用力や経営状況です。売掛先が健全な経営をしており、代金をきちんと支払う能力があるかどうかが重要視されます。このため、申込企業が一時的に経営状況が悪化していても、売掛先が信用できる企業であればファクタリング取引の審査に通る可能性が高くなります。
この審査基準の違いにより、融資の審査に通過できなかった企業でも、売掛先の信用力を活かしてファクタリング取引に成功できるチャンスが広がるのです。したがって、資金調達の方法としてファクタリングを検討することで、より柔軟かつ迅速に資金を得られる可能性があると言えます。
掛取引における大きなリスクの一つに、「売掛先の支払い問題」が挙げられます。売掛代金の支払いが遅れるだけでも企業の資金繰りに深刻な影響を及ぼす可能性がありますが、もし売掛先が度重なる不払いを続けたり、最悪の場合に倒産してしまい支払いが不可能になると、取引先企業は経営に大きな打撃を受けることになります。このような事態は、特に中小企業や資金余裕の少ない事業者にとっては致命的な損失に繋がりかねません。
しかしながら、ファクタリング取引の大きな特徴の一つは「償還請求権なし(ノンリコース)」である点です。これは、一旦売掛債権をファクタリング会社に売却してしまうと、その後の売掛先の支払い不履行などのリスクはファクタリング会社が負うことを意味します。つまり、売掛先が支払い不能となっても、元の債権者である申込企業がその責任や返済義務を問われることはありません。
このように、償還請求権なしの契約形態を選択することで、売掛先の支払いトラブルに巻き込まれるリスクを回避できるため、資金繰りの安定化に大きく寄与します。ファクタリングは、売掛債権の現金化だけでなく、リスク管理の面でも非常に有効な資金調達手段と言えるでしょう。
「融資ではない資金調達方法」であるファクタリング取引は、資金調達を行った後も借入金のように負債額が増加することがないため、貸借対照表の肥大化を避けることができます。これは、ファクタリング取引が売掛債権の売買契約であり、借入ではないため、財務上の負債に計上されないからです。その結果、企業は資金繰りを改善しつつも、財務状況を健全に保つことが可能となります。
さらに、融資の場合は借入金に対して利息の支払いが発生し、毎月一定のキャッシュアウトフローが必要となりますが、ファクタリング取引では利息が発生せず、手数料のみの支払いとなるため、利息負担による経営圧迫のリスクを軽減できます。この点は、中小企業や資金繰りに厳しい事業者にとって大きなメリットです。
このように、ファクタリング取引は融資に頼った資金繰りで起こり得る多くの問題点、例えば過剰な借入による財務リスクの増大や利息負担の重さなどを回避し、企業の財務健全性を維持しながら迅速に資金調達を行える非常に有効な手段であると言えるでしょう。資金調達の多様化を図りたい企業にとっては、ファクタリングはぜひ検討すべき選択肢の一つです。
融資には審査通過の難しさや負債の増加などというデメリットがあるように、ファクタリング取引にも注意していただきたいポイントは存在しています。
知らずに利用した場合にはデメリットになる危険性があるかもしれません。
しかし、理解しておくことで負担を軽減することやリスクが回避できる要素ばかりですので、目を背けず一読していただければ幸いです。
融資に関しては、利息制限法によって各条件ごとに金利の上限が厳格に定められており、法的に許容される範囲内での金利設定が義務付けられています。これにより、借入をする側は過度に高い利息を負担するリスクがある程度抑えられています。一方で、ファクタリング取引にはこうした利息制限法に相当する法律は存在せず、ファクタリング会社が設定する手数料の上限について法的な規制はありません。そのため、ファクタリング会社は自由に手数料率を決定することができ、結果として市場価格の幅が広くなる傾向があります。
この仕組みのため、一部には相場を大きく超える手数料を提示する悪質な業者も存在しているのが現状です。こうした業者からの不当な高額手数料の被害に遭わないためには、経営者様ご自身が提示された手数料の妥当性をしっかりと見極めることが非常に重要です。手数料の適正判断が難しい場合には、時間や手間はかかりますが、複数のファクタリング会社に申し込みを行い、それぞれの条件や手数料を比較検討する方法が効果的です。比較することで相場感をつかみやすくなり、より良い条件での資金調達が可能になるでしょう。
なお、一般的な相場感としては、2社間ファクタリングにおける手数料はおおよそ10%から20%の範囲で設定されることが多く、一方で3社間ファクタリングの場合は、売掛先の同意がある分リスクが低いため、手数料は10%未満に抑えられることが一般的です。こうした相場を理解したうえで、提示された条件を慎重に確認し、不審な点があれば遠慮なく質問や相談をする姿勢が大切です。資金調達における費用面の負担をできるだけ軽減し、安心してファクタリングを利用するためにも、こうした知識は経営者様にとって必須の情報と言えるでしょう。
売掛債権の決済日前に現金化できるのが、ファクタリング取引を利用する最大のメリットかも知れません。
しかし前倒しで現金化したことで、次に売掛債権の決済が行われるまでの期間が長くなる可能性があります。
ファクタリング取引によって資金調達に成功した後の資金繰りも考慮した上で、売掛債権の売却を実行することが大切です。
ファクタリング取引によって手にできる現金は、売掛債権の額面から手数料などを引いた額となります。
つまり資金調達できる額は売却を希望する売掛債権の額に大きく左右されることになり、高額資金調達を希望する際には相応額の債権を用意しなければなりません。
原則的に「償還請求権なし(ノンリコース)」で契約することができるものの、必ずしも償還請求権がない契約となるとは限りません。
銀行やノンバンクなど貸金業を営める場所であれば、償還請求権あり(ウィズリコース)での契約を行うのも法的には問題はないのです。
後からのトラブルを避けるためにも、契約手続きを終えるまでに償還請求権に関する確認は行っておくべきです。
ファクタリング取引への理解が乏しい売掛先の場合、ファクタリングの利用を知られることで、取引関係が悪化する可能性も否定できません。
と言うのも過去に、偽装ファクタリングと呼ばれる違法取引での逮捕事例があったことで「ファクタリングは怪しい取引」と勘違いしている方もいるから。
ファクタリング取引自体に違法性はありませんが、売掛先がファクタリング取引についてどう思っているのかの確認はしておくべきでしょう。
なお、売掛先への通知を行う3社間ファクタリングはもちろんのこと、2社間ファクタリングでも利用を知られてしまう場合もあります。
債権譲渡登記を行い、その登記を売掛先が閲覧した場合に限り、売掛先へファクタリング取引の利用が知られてしまうため、注意しましょう。
初めてファクタリング取引によって資金調達を行う際には、審査や契約時に必要になる書類や手続きの流れが分からない方もいるかも知れません。
ですがファクタリング取引は銀行融資などと比較して、必要書類も多くはなく手続きも複雑ではないことがほとんどです。
申し込み先によって多少の違いはありますが、必要になる可能性の高い書類と基本的な流れを解説させていただきます。
・商業登記簿謄本
・本人確認書類
・印鑑証明
・決算報告書、確定申告書
・売掛債権の存在を証明できる書類(基本契約書、請求書など)
・取引に使用している口座の通帳
・債権譲渡への同意書・承諾書(3社間ファクタリングのみ)
法人と個人事業主、申込みを行ったファクタリング会社によっても違いがありますが、ファクタリング取引には上記したような書類が必要となります。
ファクタリング取引では融資より必要書類が少なくなることが大半ですが、手続きの簡略化がされているファクタリング会社であれば「免許証・請求書・通帳のコピー」という3点だけで利用できることも珍しくありません。
書類の準備にかかる手間を減らすことが可能でしょう。
なお、商業登記簿謄本や印鑑証明は法務局で取得する必要がある書類ですので、利用時には確認が必要になります。
利用を検討しているファクタリング会社では、どんな書類が必要になるのか、事前に確認しましょう。
①電話・メールなどによるファクタリング会社への買取申込み
②ファクタリング会社からの連絡(手続きに関する説明や申込内容に関する聞き取り)
③必要書類の提出後、審査
④契約手続き
⑤買取代金の支払い
⑥売掛先より入金された売掛債権の代金をファクタリング会社へ渡す
ファクタリング取引の流れを簡単に説明すると、上記のような流れとなります。
申し込み先によって進め方に違いはあるかも知れませんが、複雑な手続きはあまりないため戸惑うことは少ないはずです。
手続きに関する疑問などあれば、申込前や申込後の聞き取りの際に確認しておくことをおすすめします。
なお、売掛先企業も契約に参加する3社間ファクタリングにおいては、③で「債権譲渡の同意・承諾書」が必要となります。
事前に売掛先へファクタリング取引利用に関する説明をしておけるといいかもしれません。
また、3社間ファクタリングでは、売掛金は直接売掛先からファクタリング会社へ支払われるため、⑥の取引は必要ありません。
一部の経営者様はファクタリング取引に対して、違法なのではと不安を感じているかも知れません。
結論から言えば、ファクタリングという行為自体に違法性はありません。
違法性はないと言える理由や法的根拠、そして金融庁が注意喚起を行っている悪質業者の存在を解説します。
金融庁の公式サイトにある「消費者金融などについて」の項目内には、ファクタリング取引について説明された文章があります。
・ファクタリング取引とは、債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス。
・事業者の資金調達の一手段
・法的には債権の売買(債権譲渡)契約
この文章を読んでいただけば、ファクタリングの存在を金融庁が認めており、事業者の資金調達に役立てられると判断されている取引であることがおわかりになるはずです。
・民法第466条「債権の譲渡性」—債権は譲り渡すことができる
・民法第555条「売買契約」—売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
・民法第467条「指定債権の譲渡の対抗要件」—指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない
ファクタリング取引が違法ではないという法的根拠は、上に記した3つの民法によるものです。
債権は譲渡することができ、売買契約を正しく結ぶことで売買が成立するということになります。
また、3社間ファクタリングにおいては、債務者(売掛先)に通知をして承諾を得ることで、売掛債権の所有権がファクタリング会社へ移った旨を第三者へ公言できるようになるのです。
金融庁は「ファクタリングに関する注意喚起」を行っています。具体的には高額な手数料を請求してくる業者でのファクタリング取引は行わないようにすべきということと、「給与ファクタリング」と言われる個人が勤務先に対して有する「給与を受け取る権利(賃金債権)」を売掛債権として買い取る手法に関しての注意を訴えかけています。
金融庁のサイトには書かれていませんが、「領収書ファクタリング」と呼ばれるサービスも給与ファクタリングと同じく違法性が高いため、利用しないようご注意ください。
上でも解説したように、ファクタリング取引は法的根拠もしっかりとあり、国から認められているサービスです。
しかし、すべてのファクタリング会社が安全かと聞かれれば、そうとは言い切れません。
純粋なファクタリング取引を行っているファクタリング会社もあれば、「ファクタリング」を謳いながら融資と捉えられかねない取引を行っている業者も存在します。
ここではファクタリング業界内で危険と判断される取引内容について、解説します。
ファクタリングは「売掛債権の譲渡・売買契約」であり、貸付ではありません。
そのため、担保・保証人は不要、償還請求権がない契約が原則となります。
担保を要求されたり、長期的な返済が発生したり、弁済を求められたりするような取引は、純粋なファクタリング取引とは言えません。
具体的には、以下の内容が含まれる取引は融資や貸付とみなされる可能性が高いので、利用しないようにしましょう。
・担保・保証人が要求される
・長期的な返済がある、分割返還が可能
・償還請求権のある契約
・債権の一部買取(売掛金回収後に残額が支払われる場合)
なお、これらの取引が違法となるのではなく「貸金業登録をせずに融資とみなされる取引内容でファクタリング同等の手数料設定をしている」と、違法になるだけなので、把握しておきましょう。
ファクタリングは非課税取引であるため、ファクタリング取引の利用時に発生する手数料や、ファクタリング取引によって得られた資金には消費税が課されません。この非課税の性質は多くの利用者に知られていないこともあり、その点を悪用して、手数料等に消費税を上乗せして請求する悪質な業者も存在しています。こうした悪質業者からの請求を避けるためにも、ファクタリング取引において消費税が発生するケースは非常に限定的であることを理解しておくことが重要です。具体的には、出張対応にかかる交通費や、債権譲渡登記を司法書士に依頼した場合の報酬など、ごく一部の付帯サービスに対してのみ消費税が課されることがあります。それ以外で消費税を請求された場合は、悪質業者の可能性が高いため、十分に注意しましょう。ファクタリング取引は中小企業の資金繰りを大きく変えます。売掛債権の支払サイトによる資金繰りの悩みを、ファクタリングの早期現金化によって解消できることは、中小企業にとって非常に大きなメリットです。特に、資金需要が少額であっても借入金を増やしたくない場合や、短期間でタイムリーな資金調達が必要なケースにおいて、ファクタリング取引は最適な選択肢となります。最短即日での資金調達も可能なため、資金ショートの危機に直面したタイミングなど、ピンポイントで活用しやすい資金調達方法です。多様な経営状況やシチュエーションに柔軟に対応できることから、中小企業の資金繰り改善に貢献できるサービスと言えるでしょう。ファクタリング取引の基本的な仕組みやメリットについて、ご理解いただけましたでしょうか。今後もより役立つファクタリング取引に関する情報を発信していきますので、ぜひ参考にしてください。
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