ファクタリングコラム

手形貸付とは?証書貸付との違いや仕訳・2026年の手形廃止による影響を徹底解説

コラム

公開日:2026年6月4日


手形貸付は、企業が銀行に対して約束手形を振り出し、資金を借り入れる融資形式です。そんな手形貸付ですが、「他の融資と何が違うのか」「仕訳はどうすれば良いか」と悩む方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、手形貸付の仕組みをわかりやすく解説します。また、証書貸付との違いや2026年の手形廃止による影響も併せて紹介します。

この記事を読めば、手形貸付の仕組みをわかりやすく理解できるので、資金調達を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

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手形貸付とは

手形貸付とは、借主が銀行などの金融機関へ約束手形を差し入れる形で資金を借りる方法です。返済期間が1年以内の短期融資に用いられるケースが多く、運転資金の確保に適しています。

最大の特徴は、融資額から利息をあらかじめ差し引いた金額が借主に交付される点です。返済は、手形の支払期日に一括で償還する形が基本となります。

期日前に代金の一部を支払う「内入れ」も可能であり、柔軟な返済対応が認められています。内入れによって、その後の利息負担を軽減できるメリットも大きな特徴です。

銀行や金融機関における手形貸付の仕組み

銀行における手形貸付は、借主が振り出す約束手形そのものを債権として扱います。一般的なローンと異なり、利息を先払いする構造が大きな特色といえます。

融資実行時には、額面から利息分が引かれた正味の金額が口座へ入金される仕組みです。この際に差し入れる手形は、銀行に対する支払いを約束する「担保」のような役割も果たします。

短期的な資金不足を補う目的で、多くの企業が日常的な資金繰りに活用しています。事務手続きが比較的簡素であるため、迅速な調達を望む現場で重宝される形式です。

手形貸付による融資実行から返済までの流れ

手形貸付を利用する際は、申し込みから完済まで決まったステップを踏む必要があります。まずは、金融機関へ融資の相談をして、審査を通過しなければなりません。

可決後は借主が約束手形を作成し、銀行へ振り出す手続きへ進みます。手形の受理とともに、利息を差し引いた融資額が指定口座へ振り込まれます。

入金後は資金を事業に充て、契約した支払期日が到来するのを待つ流れが一般的です。期日には元金を一括返済し、銀行から手形の返還を受けて取引は完了となります。

手形貸付を利用する際は、確実な資金計画を立て、期日管理の徹底が求められます。

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手形貸付と証書貸付・当座貸越・手形割引の違い

手形貸付は他の融資手法と比べて、手続きや期間に明確な差異があります。自社の資金ニーズに最適な手法を選ぶために、証書貸付や当座貸越、手形割引との違いを比較してみましょう。

証書貸付との違い

証書貸付は、金銭消費貸借契約書を交わして1年を超える長期融資を受ける形式です。短期の運転資金向けである手形貸付に対し、証書貸付は設備投資などの巨額資金に用いられます。

返済方法は、一括返済ではなく毎月の分割返済が一般的です。手形を振り出す手間がない代わりに、契約の手続きや審査に時間を要する傾向にあります。

借入期間の長短によって、これら二つの手法を使い分ける判断が必要です。自社の事業計画に合わせた選択が、健全な財務体質の維持に繋がります。

当座貸越との違い

当座貸越は、あらかじめ設定した限度額の範囲内で、いつでも自由に出し入れできる仕組みです。手形貸付がその都度審査を受けて契約するのに対し、当座貸越は一度契約すれば反復して利用できます。

極度額内であれば審査なしで調達できるため、利便性は極めて高いのが特徴です。しかし、銀行側のリスクが高いため、審査基準は手形貸付よりも厳しく設定されます。迅速な資金確保には向きますが、高い信用力が求められる契約形態となります。

手形割引との違い

手形割引は、取引先から受け取った受取手形を期日前に銀行へ売却して現金化する方法です。自社が手形を発行する手形貸付とは、手形の「出し手」と「受け手」が逆転しています。

手形貸付はお金を借りるのに対し、手形割引は資産の売却に近い性質を持っています。どちらも利息相当額を差し引かれる点は共通していますが、会計上の処理は大きく異なるでしょう。

また、手形割引は不渡りの際に買い戻し義務が生じるリスクも含んでいます。

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手形貸付を利用するメリット

手形貸付には、コストやスピードの面で融資にはないメリットが存在します。具体的なメリットは以下の5つです。

  • 印紙税の負担を抑えたコスト削減
  • 審査から融資実行までのスピード対応
  • 手形書換による柔軟な返済期間の延長
  • 資金繰り改善に役立つ
  • 低金利で融資が受けられる

まずは、印紙税に関するメリットから順に解説していきます。

印紙税の負担を抑えたコスト削減

手形貸付は、証書貸付と比較して印紙税を安く抑えられる傾向にあります。証書貸付の印紙税は最大60万円ですが、手形貸付は最大20万円に抑えられているため、高額融資になるほどコスト削減の効果が大きくなります。

多額の融資を何度も受ける企業にとって、この差額は大きな経費削減となります。低コストでの資金確保は、利益率の向上に直結する重要な要素です。

審査から融資実行までのスピード対応

手形貸付は契約手続きが定型化されており、迅速な融資実行が期待できます。急な仕入れや支払いが必要になった際、素早く現金を手に入れられるのは大きな強みです。

証書貸付のように複雑な契約書を作成する手間も、最小限に抑えられます。金融機関との信頼関係があれば、即日や数日での対応も相談可能です。

手形書換による柔軟な返済期間の延長

支払期日に一括返済が難しい場合、「手形書換」による期間延長の相談も可能です。新しい手形を振り直し、借入期間を事実上先延ばしにする対応を指します。

もちろん銀行の承諾が必要ですが、柔軟な資金繰りを助ける仕組みといえます。一時的な入金遅れなどが発生した際に、デフォルトを避ける手段として有効です。

資金繰り改善に役立つ

手形貸付は、必要な時に必要な分だけ借りられるため、資金繰りの微調整におすすめです。利息が先払いされる構造は、返済時の負担を元本のみに絞れるメリットも生みます。

一括返済のタイミングを売掛金の入金時期に合わせれば、資金の空白期間を埋められます。安定した現預金の推移を維持するために、欠かせない調達手段です。

低金利で融資が受けられる

一般的に手形貸付は、担保性の高い手形を用いるため低金利が適用されやすい傾向にあります。銀行にとっても債権の回収見込みが立ちやすく、リスクを抑えた貸し出しが可能です。

他の無担保ローンなどと比較すると、金利負担を大幅に軽減できるケースも見られます。コストパフォーマンスに優れた融資を希望するなら、手形貸付を優先的に検討しましょう。

手形貸付を利用するデメリット

手形貸付には、利用前に把握すべき以下のようなデメリットが存在します。

  • 一括返済による一時的な資金繰りへの圧迫
  • 不渡り発生時の銀行取引停止リスク
  • 銀行による手形書換の拒絶への不安
  • 信用度によっては審査を通過できない
  • 長期的な融資は受けられない

短期的な利便性の裏にある、返済負担や厳格なルールを理解する必要があります。自社の経営を安定させるためにも、ここで紹介するデメリットを把握しておきましょう。

一括返済による一時的な資金繰りへの圧迫

手形貸付は、期日に借入金額の全額を一括で返済する仕組みです。分割で少しずつ返す形式ではないため、期日当日にまとまった現金を準備しなければなりません。

入金予定がずれ込んだ場合、即座に資金繰りが窮地に陥る恐れがあります。常に返済原資の確保を意識した、精緻な資金管理が不可欠となります。

不渡り発生時の銀行取引停止リスク

手形の不渡りは、企業にとって致命的なダメージを与えます。万が一、期日に返済できずに不渡りを2回出すと、銀行取引停止処分を受けることになります。

これは事実上の倒産を意味し、事業継続が極めて困難になるため注意が必要です。他の資金調達方法以上に期日管理を厳格に進める必要があります。

銀行による手形書換の拒絶への不安

返済を先延ばしにする手形書換は、常に認められるわけではありません。銀行の審査により書換を拒絶された場合、当初の期日通りに全額を返済する必要があります。

経営状況が悪化していると判断されれば、救済措置を受けられない可能性が高いです。書換を前提とした安易な借入計画は避け、確実な返済手段を検討してみてください。

信用度によっては審査を通過できない

手形貸付は金利が低く抑えられている反面、銀行側の審査基準は厳格です。業績や信用力が一定水準に満たない企業は、利用を断られるケースも珍しくありません。

特に、新規取引の場合は担保や保証人の有無を厳しく問われることもあります。自社の信用スコアを把握し、審査に通るための準備を念入りに進めましょう。

長期的な融資は受けられない

手形貸付は、あくまで1年以内の短期的な資金需要に対応する制度です。設備投資や新規事業の立ち上げなど、数年かけて返済する用途には適しません。

長期資金を希望する場合は、別途証書貸付などを検討する必要があります。借入目的と返済期間の整合性を考え、適切な融資手法を選択することが重要です。

手形貸付の具体的な仕訳方法

手形貸付の会計処理では、一般的な借入金とは異なる勘定科目を使用します。利息が先払いされる構造を正確に反映し、帳簿上の数字を適切に整理してみてください。

仕訳のタイミングは「借入時」と「返済時」の大きく2つに分かれます。それぞれの場面で発生する具体的な勘定科目の動きを、順番に把握しましょう。

正確な記帳を実行することで、税務申告や財務分析をスムーズに進める土台が整います。実務で用いる勘定科目の選び方や具体的な処理手順の確認が必要です。

手形貸付で使用する勘定科目の処理

借入時には、負債の増加として「手形借入金」といった科目を用いて処理します。この際、融資額から差し引かれた利息分は「支払利息」として計上するのが一般的です。

例えば、100万円を借りて利息1万円が引かれた場合、当座預金への入金は99万円となります。期日の返済時には、手形借入金を減少させる仕訳を漏れなく、正確に実行してみてください。なお、決算をまたぐ場合は、未経過期間に対応する利息を「前払費用」に振り替える処理も必要です。

手形貸付を効率的に活用できる主な場面

手形貸付は、現金の流出入に一時的なズレが生じる際に真価を発揮します。適切なタイミングで利用することで、無駄な利息負担を抑えた運用が可能です。代表的な3つの活用シーンを紹介します。

短期的な運転資金の確保

売掛金の入金前に、仕入れ代金や諸経費を支払わなければならない場面で有効です。数ヶ月後には確実に入金があるものの、手元の現金が一時的に不足する際につなぎとして機能します。

即日などの迅速な調達が必要な場合でも、既存の融資枠があればスムーズに利用可能です。資金不足によって仕入れが止まり、ビジネスチャンスを逸失するリスクを防ぐために役立ててみてください。短期的なキャッシュフローの歪みを解消し、事業を円滑に回すための心強い味方となります。

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季節的な支払いに伴うつなぎ融資

手形貸付は、賞与の支払いや納税、季節商品の一括仕入れなど、特定の時期に重なる支出に対応できます。年間を通じて一定ではない資金需要に対し、スポットで調達できる点が手形貸付の大きな強みです。

必要な期間だけピンポイントで借り入れることで、長期融資を受けるよりも支払利息を最小限に留められます。年間のキャッシュフロー予測に基づき、計画的に手形貸付を組み込みましょう。

繁忙期前の在庫確保など、一時的に多額の資金が必要なシーンでも、この手法は非常に効率的です。

短期継続融資(ころがし)による資金繰り

返済期日に同額の手形を新たに振り出し、借入を継続する手法は「ころがし」と呼ばれます。実質的に元金の返済を据え置き、利息の支払いだけで資金を使い続ける状態です。

慢性的な運転資金の不足を補うために、多くの中小企業で慣例的に利用されてきました。ただし、銀行の意向によって書換が拒絶され、継続が止まるリスクがあるため、慎重に運用する必要があります。

金融機関の姿勢や自社の業績変化に左右されるため、常に代替の調達手段も想定しておきましょう。

2026年廃止の約束手形と手形貸付の今後

政府は、2026年までに紙の約束手形を廃止し、電子的決済への全面移行を目指しています。事務のデジタル化が進む中で、企業は新しい融資形態への適応を余儀なくされるでしょう。

ここからは、政府による「紙の手形廃止」が手形貸付に及ぼす影響や手形貸付に代わる「電子記録債権(でんさい)」への移行実務などを紹介します。

政府による「紙の手形廃止」が手形貸付に及ぼす影響

紙の手形が廃止されると、物理的な手形の振り出しや保管の手間が一切なくなります。紙からデータへの移行により、紛失や盗難といった物理的なリスクも完全に排除されます。

従来の手形貸付で使用された手形への印紙貼付といった実務も消滅する見込みです。事務コストや管理リスクの削減が進む一方で、デジタル環境への適応がすべての企業に求められます。

法改正や銀行の対応方針を注視し、制度の変更に乗り遅れないよう注意しましょう。

手形貸付に代わる「電子記録債権(でんさい)」への移行実務

今後は、紙の手形に代わり「でんさい」などの電子記録債権を利用した融資が主流となります。ネットバンキング上で手続きが完結するため、銀行窓口へ足を運ぶ必要がなくなり、利便性が向上します。

早めに電子債権決済システムの利用登録を済ませ、移行準備を整えることが賢明です。オンラインでの操作に慣れておくことで、制度移行後も混乱なく資金調達を継続できます。

手形を使わない「新たな短期融資手法」への切り替え対応

手形そのものを使わない、クレジットカード決済や銀行ネット決済などへの切り替えも予想されます。また、売掛債権を早期に現金化するファクタリングなど、融資以外の調達手段も有力な選択肢です。

手形廃止を機に、自社の財務体質に合わせた最適な資金調達ポートフォリオを再構築しましょう。時代の変化に合わせ、より柔軟かつ効率的な管理体制への刷新を図ってみてください。

特定の融資手法に固執せず、多様な資金確保のルートを持つことが経営の安定に繋がります。

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まとめ

この記事では、手形貸付とは何か、証書貸付との違いや仕訳方法などを解説しました。

手形貸付は短期的な運転資金の確保に有効な手段ですが、一括返済や不渡りのリスクを正しく理解する必要があります。2026年の手形廃止を見据え、でんさいへの移行準備や代わりの融資プランの検討を早めに進めることが大切です。

メリットとデメリットを慎重に比較し、自社にとって最適な調達方法を選択してみてください。この記事を参考に、手形貸付に関して理解を深めて資金繰りを改善しましょう。

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