ファクタリングコラム

短期借入金とは?長期借入金との違いや決算書・貸借対照表での勘定科目をわかりやすく解説

コラム

公開日:2026年6月6日更新日:2026年6月4日

短期借入金は、企業が事業を運営するうえで欠かせない資金調達方法の1つです。そんな短期借入金ですが、「長期借入金と何が違うの?」「どのように仕訳すればいいの?」と思う方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、短期借入金とは何かを解説します。また、メリットやデメリットも併せて紹介します。

この記事を読めば、短期借入金の基礎を理解できるので、効果的な資金調達を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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短期借入金とは

短期借入金とは、返済期間が1年以内に設定されている負債のことです。企業が日常の事業活動を継続するために、一時的な資金不足を補う目的で利用されます。

例えば、商品の仕入れ代金を支払うための資金などがこれにあたります。スピーディーな資金調達が可能であり、経営の安定化に役立つでしょう。

短期借入金の定義

会計上の定義では、決算日翌日から起算して1年以内に返済期限が到来する借入金を指します。これを「ワン・イヤー・ルール(1年基準)」と呼びます。

契約時点での返済期間ではなく、決算日を基準に判定するのが特徴です。そのため、当初は長期借入金として処理していても、返済期限が1年以内になれば短期借入金へ振り替える必要があります。

短期借入金の主な用途

短期借入金の主な用途は、日々の運転資金や急な出費への対応です。会社を経営していくなかでは、売上が手元に入る前にさまざまな支払いが発生します。具体的には、従業員への給与や事務所の家賃、仕入れ代金を支払うための資金などです。

また、予想していなかったトラブルによる資金繰りの悪化を防ぐ目的でも利用されます。短期借入金は、突然の設備故障による修理費用や大口受注で急増した材料費などをカバーできます。手元の現金が足りない場面で、非常に頼りになる調達方法といえるでしょう。

法人と個人事業主における短期借入金の扱いの違い

短期借入金の扱いは、法人と個人事業主で異なる部分があります。特に、事業主個人の資金と事業用の資金の区別といった点で、明確な違いが存在します。

それぞれの立場において、具体的な扱い方がどのように異なるのかを順番に解説します。

法人の場合

法人は、会社という独立した人格を持つため、会社と社長個人の財産は明確に区別されます。そのため、金融機関から資金を借り入れた場合、それはすべて会社の負債として帳簿に計上しなければなりません。

会社が社長個人から一時的に資金を借りた場合も、会社から見ると立派な短期借入金となります。決算書にもその旨を正確に記載し、透明性の高い会計処理を徹底する必要があります。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、事業主自身と事業が完全に一体とみなされます。そのため、事業用口座と個人用口座の間で資金を移動させても、原則として借入金という扱いはしません。

事業の資金が不足し、個人の貯金から補填した場合は事業主借という専用の勘定科目を使います。逆に、事業の資金を生活費に回した場合は事業主貸として処理します。外部の金融機関からの借入のみが、本来の借入金として正しく扱われるのが特徴です。

短期借入金と長期借入金の違い

短期借入金と長期借入金には、いくつかの明確な違いが存在します。両者を適切に使い分けることは、健全な会社経営に欠かせません。

ここでは、返済期間・資金使途・財務上の位置づけの3つの観点から、それぞれの違いを詳しく解説します。

返済期間の違い

最もわかりやすい違いは、返済期限までの長さです。短期借入金は、決算日の翌日から数えて1年以内に返済期限を迎えるものを指します。日々の運転資金など、比較的短期間で資金を回収できる見込みがある場合に該当します。

一方、長期借入金は返済期限が1年超の借入を意味します。こちらは数年から十数年にわたって、毎月少しずつゆっくりと返済していくのが特徴です。

資金使途の違い

借り入れたお金の具体的な使い道にも、大きな違いがあります。短期借入金は、主に商品の仕入れ代金や従業員給与の支払いなど、日常的な事業運営に必要な運転資金として使われます。

これらは、すぐに売上として回収できる見込みがある資金です。対する長期借入金は、工場を建設したり、高額な機械を購入したりするための設備資金として利用されます。設備投資は利益を生むまでに時間がかかるため、長期的な返済計画が求められます。

財務上の位置づけの違い

貸借対照表上での表示場所も異なるのが特徴です。短期借入金は流動負債といった項目に分類されます。これは、1年以内に支払わなければならない負債のグループです。

流動負債が多いと、直近の資金繰りが厳しいと判断される可能性があります。一方、長期借入金は固定負債に分類されます。

こちらは1年を超えて支払う負債なので、当面の資金繰りへの影響は少ないと見なされます。財務状況の分析時は、この違いに注意してみてください。

短期借入金と社長個人の借入金との関係

中小企業では、会社と社長個人の関係が非常に密接です。そのため、会社が一時的な資金不足に陥った際、社長個人の貯金から会社へお金を貸すケースがよく見られます。

この場合、会社側から見ると立派な短期借入金(役員借入金)です。金融機関からの借入とは異なり、利息や返済期限を柔軟に決められるのが大きなメリットです。

ただし、金額が膨らみすぎると、会社の自力が不足していると見なされるリスクがあります。バランスに気をつけましょう。

短期借入金の代表的な4つの種類

短期借入金には、企業の状況や目的に応じて以下のようにいくつか種類があります。

  • 証書貸付
  • 手形貸付
  • 当座貸越
  • 手形割引
  • ファクタリング

ここでは、代表的な4つの手法に加えて、類似の資金調達手法であるファクタリングの仕組みを解説します。

証書貸付

証書貸付は、金融機関と金銭消費貸借契約書(借入用の証書)を交わして資金を借りる方法です。金額や金利、返済期間などが細かく記載された契約書に署名と捺印をします。

長期借入金で利用されることが多いものの、短期の資金調達でも使われる場面が存在します。審査にはある程度の時間がかかりますが、まとまった金額を借り入れやすいのが特徴です。

手形貸付

手形貸付は、企業が金融機関に対して約束手形を振り出し、それと引き換えに資金を借りる方法となります。証書貸付のように複雑な契約書を作成する手間が省けるため、手続きが素早く完了します。

そのため、急いで運転資金が必要な場合に非常に便利な手法です。手形の期日が返済期日となるため、通常は1年以内の短期借入で頻繁に活用されます。

手形貸付がどういったものか知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
手形貸付とは?証書貸付との違いや仕訳・2026年の手形廃止による影響を徹底解説

当座貸越

当座貸越は、あらかじめ金融機関と限度額を決めておき、その範囲内であればいつでも自由に資金を引き出せる仕組みです。当座預金の残高が不足しても、限度額までは自動的に立て替えられます。

急な出費にもすぐ対応できるため、資金繰りの強い味方になります。ただし、利用前には厳しい審査を通過する必要がある点に注意が必要です。

手形割引

手形割引は、取引先から受け取った期日前の約束手形を、金融機関などに買い取ってもらうことで現金化する方法です。額面金額から期日までの利息(割引料)が差し引かれた金額を受け取ります。

厳密には手形の売却として処理され借入金には計上されませんが、実質的には手形を担保とした短期の融資として扱われます。売掛金を早く現金化したい時に有効な手段といえます。

ファクタリング

ファクタリングは、企業が保有している売掛金を専門の会社に売却し、期日より前に現金化するサービスとなります。借入ではなく債権の譲渡に当たるため、負債が増えず貸借対照表の見栄えを保てます。

審査も自社ではなく売掛先の信用力が重視されるため、赤字決算でも利用しやすいのが大きな魅力です。ただし、売掛金以上の額面は調達できない点や手数料が引かれる点を事前に把握しておかなければなりません。

ファクタリングと手形割引の違いを知りたい方は以下の記事もおすすめです。
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短期借入金を利用するメリット

短期借入金を利用するメリットは、審査が比較的通りやすい点にあります。返済期間が短いため金融機関にとってもお金が返ってこないリスクが低く、審査のハードルが下がります。

また、金利が長期借入金と比べて低い傾向にあるのも嬉しいポイントです。支払う利息を抑えられるため、コスト削減に繋がります。さらに、ファクタリングや手形割引を活用すれば、売掛金さえあれば自社が赤字でも資金調達できる可能性が高くなります。

短期借入金を利用するデメリット

短期借入金の利用には、メリットがある一方でいくつかのデメリットも存在します。返済期間が1年以内と短いため、1回あたりの返済額や利息の支払い負担が大きくなるのが特徴です。

毎月の支出が増えるため、売上が順調に入金されないと、あっという間に資金が底をついてしまいます。また、頻繁に借入と返済を繰り返す必要があるため、資金繰りの管理コストが増えるのも大きな難点です。常に残高や期日を気にしなければならず、経理担当者の業務負担が増加する恐れがあります。

決算書・貸借対照表における短期借入金の勘定科目

短期借入金は、貸借対照表の右側にある負債の部に計上されます。そのなかでも、1年以内に支払期限が来る負債を集めた流動負債のグループに入ります。

決算書を作成する際は、勘定科目としてそのまま短期借入金を使用するのが一般的なルールです。期中に長期借入金として計上していたものであっても、決算日から数えて返済期限が1年以内になった部分は、1年内返済予定の長期借入金として流動負債へ移動させます。

短期借入金の具体的な仕訳例

経理担当者向けに、短期借入金に関する具体的な仕訳方法を解説します。お金を借りた時、返済した時、そして借入を継続する時など、状況にあわせて正しい勘定科目を使う必要があります。実際の仕訳例を見てみましょう。

借入時の仕訳

金融機関から短期借入金として100万円を借り入れ、口座に振り込まれた場合を想定します。この時、普通預金(資産)が増加し、同時に短期借入金(負債)も増加する仕組みです。

仕訳としては、借方(左側)に「普通預金 1,000,000」、貸方(右側)に「短期借入金 1,000,000」と記入します。借入時に手数料などが差し引かれている場合は、その分を「支払手数料」として借方に別途計上し、預金残高と一致させます。

返済時の仕訳

借り入れた100万円を普通預金から一括で返済し、その際に利息として1万円を支払った場合の仕訳です。負債が減り、資産も減ることになります。

借方には負債の減少として「短期借入金 1,000,000」と、費用の発生として「支払利息 10,000」を記入します。そして貸方には、資産の減少として「普通預金 1,010,000」と記載してみてください。元本と利息をしっかりと分けて帳簿に記録することが非常に重要です。

借入を継続する場合の仕訳

短期借入金は本来1年以内に返済するものですが、期日が来ても全額返済せず、新たな借入に切り替えて期限を延長する場合があります。これを「ロールオーバー(折り返し融資)」と呼ぶのが一般的です。

この時の仕訳は、一旦古い借入を全額返済し、同時に新しい借入を実施したという処理になります。借方に「短期借入金(旧)」、貸方に「短期借入金(新)」を計上します。利息を支払う場合は借方に「支払利息」、貸方に「普通預金」などを同額追加して貸借を一致させましょう。

短期借入金が多い会社のリスク

短期借入金が多すぎる状態は、経営においていくつかのリスクを伴います。一般的に、月商(1ヶ月の売上高)の何倍もの短期借入金がある場合、返済負担が重すぎると判断されます。

最も怖いのが、資金ショートの危険性です。短期間に多額の現金が出ていくため、少しでも売上の入金が遅れると倒産のリスクが高まります。

さらに、自力で事業を回せていないと見なされ、金融機関からの評価が低下して追加融資が難しくなる恐れもあります。

ファクタリングの仕組みを知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
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短期借入金の適正性を判断する方法

自社の短期借入金が適正な金額かどうかを判断するには、いくつかの指標を確認する必要があります。1つの目安となるのが流動比率です。

これは、1年以内に現金化できる流動資産と、1年以内に支払う流動負債のバランスを見る指標に該当します。流動比率が120%から150%程度あれば、短期的な支払能力に余裕があると判断されます。

また、借入金の総額が月商の何ヶ月分に相当するかを示す借入金月商倍率も重要なポイントです。業種にもよりますが、一般的に3ヶ月以内が理想的で6ヶ月分を超えると借入が多すぎると警戒されます。

これらの数値を定期的に計算し、返済能力を超えた無理な借入がないか、客観的に分析することが大切です。

短期借入金に関するよくある質問

短期借入金に関して、経営者や経理担当者からよく寄せられる疑問にお答えします。長期借入金への変更可否や、ファクタリングとの比較、返済できない場合のリスクなど、実務で直面しやすいポイントをまとめました。ぜひチェックしてみてください。

短期借入金を長期借入金に変更できますか?

金融機関との交渉次第で、短期借入金を長期借入金に借り換えることは可能です。これを実施することで毎月の返済額が減り、目先の資金繰りが楽になるメリットがあります。ただし、審査を通過しなければなりません。

ファクタリングと短期借入金はどちらが良いですか?

状況によって最適な選択肢は異なります。金利コストを抑えたい場合や、数ヶ月かけて返済したい場合は短期借入金が有利です。一方、赤字決算で融資の審査に通らない時や、数日以内に現金が必要な緊急時はファクタリングが役立ちます。

短期借入金の返済ができないとどうなりますか?

返済が遅れると、遅延損害金が発生して余計なコストがかかります。さらに滞納が続けば、金融機関の信用情報に傷がつき、今後の新たな借入が一切できなくなる恐れがあるでしょう。最悪の場合、会社の資産を差し押さえられる事態に発展します。

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まとめ

この記事では、短期借入金とは何か、長期借入金との違いや決算書での扱いを解説しました。

短期借入金は、スピーディーに運転資金を調達できる便利な手法です。しかし、返済期間が短いため、計画的に利用しないと資金ショートを起こす危険性も潜んでいます。

メリットとデメリットを正しく理解し、自社の状況に合った借入方法を選ぶことが大切です。この記事を参考に、自社の財務状況を分析し、健全な資金繰りを実現しましょう。

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