ファクタリングコラム

電子記録債権とは?手形との違いやメリット・仕訳をわかりやすく解説

コラム

公開日:2026年7月15日

企業の資金決済では電子記録債権の普及が進んでいます。そんな電子記録債権ですが、「手形と何が違うの」「どんなメリットがあるの」と疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。

特に、初めて経理を担当する方は戸惑う場面が多いでしょう。そこでこの記事では、電子記録債権の基本情報を解説します。

また、具体的なメリットや仕訳例も併せて紹介します。この記事を読めば、電子記録債権の全体像を理解できるので、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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運営会社 株式会社アドプランニング
設立日 2019年11月
資本金 非公開
取引形態 2社間・3社間
手数料 2%〜10%
入金速度 最短即日30分
利用可能額 10万円〜1億円
対象事業者 法人、個人事業主
電話番号 0120-160-128
HP 買速公式HP

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電子記録債権とは

電子記録債権とは、企業が事業で発生した金銭債権を電子データとして記録し、管理や譲渡を可能にした新しい決済手段のことです。パソコンやインターネットを使って、専用の記録機関のシステム上に発生や譲渡の記録を残します。

企業が紙の約束手形や指名債権の弱点を克服し、より安全でスムーズな資金調達を実現するために誕生しました。従来の紙ベースの手続きをデジタル化することで、経理担当者は業務の負担を大幅に減らせます。国も普及を後押ししており、現代のビジネスにおいて企業が積極的に活用すべき重要なシステムといえるでしょう。

電子記録債権の種類

電子記録債権を利用するには、国が指定した電子債権記録機関のシステムを使う必要があります。運営する母体によって、以下のようにいくつかの種類に分かれます。

  • でんさいネット(全国銀行協会)
  • メガバンク系の電子債権記録機関
  • 企業系の電子債権記録機関

ここでは、企業が利用できる主な機関を順番に解説します。

でんさいネット(全国銀行協会)

全国銀行協会が設立した株式会社全銀電子債権ネットワークが運営する機関を、でんさいネットと呼びます。国内のほぼすべての金融機関が参加しているのが最大の特徴です。

企業は普段利用しているメインバンクの窓口やネットバンキングを通じて、手軽にシステムを利用できます。全国規模のネットワーク網を持つため、中小企業から大企業まで幅広い会社がこの仕組みを採用しています。

メガバンク系の電子債権記録機関

メガバンク系は、国内の大手都市銀行が、それぞれ独自の電子債権記録機関を設立して運営するシステムです。みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行がそれぞれ独立した記録機関を持っています。

これらのメガバンクをメインバンクとして利用している大企業や、その系列の企業間取引で多く使われます。企業が同一グループ内で取引をする際、スムーズに決済を進められるのが利点です。

企業系の電子債権記録機関

銀行以外の一般企業が独自に設立した電子債権記録機関も存在します。主に大手企業が自社の取引先との決済をスムーズに進める目的で設立するケースが多いです。

自社のサプライチェーンに特化したシステムを構築し、親会社と下請け企業の間で効率的に債権を管理します。参加できる企業は限られますが、グループ全体での業務効率化に大きく貢献します。大手メーカーなどを中心に、一部の業界で活用が進んでいるシステムです。

電子記録債権と手形・電子記録債務・ファクタリングの違い

電子記録債権と似た言葉や決済手段はいくつか存在します。経理担当者がそれぞれの性質を正しく理解しておかなければ、実務で混乱を招く危険性が高いです。

ここでは、混同しやすい3つの用語との違いを解説します。

紙の約束手形との違い

約束手形は紙の券面を発行して相手に渡す仕組みですが、電子記録債権はすべてインターネット上のデータで完結します。企業が紙の手形を発行する際は、印紙税を納めたり郵送の手間がかかったりします。

また、紙の手形は紛失や盗難のリスクが常に伴いますが、電子データであれば紙の手形で発生していた印紙税負担をゼロに抑えることが可能です。企業はコストを抑えつつ、安全で効率的な決済環境を構築できるのが大きな違いです。

電子記録債務との違い

企業が商品を販売して代金を受け取る権利を電子記録債権と呼びます。逆に、商品を仕入れて代金を支払う義務を負う側から見た名称が電子記録債務です。

つまり、1つの取引を売り手から見るか、買い手から見るかの視点の違いにすぎません。簿記の仕訳でも売り手は資産として処理し、買い手は負債として帳簿に記録します。経理担当者は自社が代金を支払う立場か、受け取る立場かを正確に把握して使い分ける必要があります。

ファクタリングとの違い

電子記録債権は、企業間で代金の支払い時期を約束する決済手段そのものです。一方のファクタリングは、企業が保有する売掛金を専門業者に売却し、期日前に現金化する資金調達の手法を指します。

電子記録債権のシステム内で債権を業者に譲渡して現金化することも可能ですが、根本的な目的が異なります。ファクタリングは急な資金ショートを防ぐためのサービスであり、日常的な決済手段を根本から変えるシステムではありません。

少額利用できるファクタリング会社を知りたい方は以下の記事もおすすめです。
少額利用できるおすすめの即日ファクタリング会社比較27選|ファクタリング会社の選び方や注意点も紹介

電子記録債権を利用するメリット

企業がこの新しいシステムを導入すると、従来の紙の手形にはなかった以下のような恩恵を受けられます。

  • 紛失・盗難リスクの排除
  • 印紙税や郵送費などのコスト削減
  • 1円単位での分割譲渡や割引
  • 取立手続きの不要化

ここでは、企業が得られるメリットを紹介します。

紛失・盗難リスクの排除

すべての情報が電子データとして記録機関のサーバーに安全に保管されるため、物理的な紛失や盗難のリスクを大幅に軽減できます。紙の手形の場合、担当者が金庫で厳重に保管したり、持ち運ぶ際に細心の注意を払ったりしなければなりませんでした。

万が一紛失すれば、代金を回収できなくなる恐れがあります。電子化により、担当者の紛失に対するプレッシャーは軽減されますが、安全な管理体制の構築が求められます。

印紙税や郵送費などのコスト削減

紙の手形を発行する際に必須だった印紙代が、電子記録債権では一切不要になります。手形の金額が大きいほど印紙税も高額になるため、企業にとって無視できないコスト削減効果を生み出します。

さらに、手形を取引先へ郵送するための無視できないコスト削減効果を生み出します。システムの利用料(記録手数料など)は発生しますが、印紙税や郵送費が不要になるため、手形取引と比較して全体の経費を大幅に圧縮できます。

1円単位での分割譲渡や割引

紙の手形は券面に書かれた金額をそのまま譲渡するか、全額を割引に出すしかありませんでした。しかし、1万円以上であれば、必要な金額だけを1円単位で細かく指定して分割譲渡できます。

具体的には、100万円の債権のうち、30万円だけを別の取引先への支払いに充てることが可能です。また、必要な分だけを銀行で割引に出して現金化するなど、非常に柔軟な資金繰りが実現するため、企業は手元の資産を無駄なく効率的に活用できます。

取立手続きの不要化

電子記録債権は期日になると、システムを通じて自動的に代金が指定口座へ振り込まれます。そのため、紙の手形のように、担当者が期日前に銀行の窓口へ出向いて取立の手続きを依頼する手間が一切かかりません。

銀行に行く時間や待ち時間を削減できるため、経理担当者の業務効率は飛躍的に向上します。また、手続きを忘れて代金を受け取り損ねるヒューマンエラーの発生リスクも大幅に防げます。企業は期日を気にすることなく、別の重要な業務に集中できるのが利点です。

電子記録債権を利用するデメリット

電子記録債権は便利なシステムである一方で、企業が導入する際には以下のような課題も存在します。

  • 事前登録や審査の手間がかかる
  • 取引先が未対応だと利用できない
  • システムの導入・学習コストが発生する

ここでは、導入前に把握すべきデメリットを解説します。

事前登録や審査の手間がかかる

企業がシステムを利用し始めるには、事前に金融機関を通じて利用申し込みの手続きを済ませる必要があります。窓口での書類提出や、システムを利用するための審査を通過しなければなりません。

審査には一定の時間がかかり、企業の経営状態によっては利用を断られるケースもゼロではありません。今日申し込んで明日からすぐに使えるわけではないため、担当者は余裕を持ったスケジュールで事前の準備を進める姿勢が強く求められます。

取引先が未対応だと利用できない

電子記録債権は、代金を支払う側と受け取る側の双方が同じシステムに加入していなければ成立しません。自社が準備を整えても、取引先が従来の紙の手形や現金振込を希望する場合は利用できないのが実情です。

特に、小規模な企業では新しいシステムの導入に消極的なケースが多く見られます。企業は取引先へ電子化のメリットを丁寧に説明し、協力を仰ぐ必要があるため、すべての取引を一度に電子化するのは難しいといえます。

システムの導入・学習コストが発生する

新しい仕組みを導入するため、経理担当者はパソコンでの操作方法を一から覚えなければなりません。初期設定や社内ルールの策定など、導入当初は担当者の業務負担が一時的に増加します。

また、金融機関によってはシステムの導入費用や月額の基本料金が発生するケースもあります。長期的にはコスト削減につながるものの、短期的には時間とお金がかかる点を経営者は認識すべきです。

電子記録債権の仕訳例(簿記)

この決済手段を利用した場合、経理担当者は帳簿に専用の勘定科目を使って記録を残します。正しい決算書を作るために、担当者が必ず覚えておくべきルールです。

ここでは、具体的な3つの仕訳例を順番に解説します。

債権発生時の仕訳

企業が商品を販売し、代金を電子記録債権で受け取る約束をした際の仕訳です。たとえば、1万円の商品を売り上げたと仮定します。このとき担当者は、借方に電子記録債権1万円、貸方に売上1万円と記入します。

今まで売掛金や受取手形として処理していた部分が、専用の勘定科目に明確に置き換わります。逆に、商品を買った側は借方に仕入1万円・貸方に電子記録債務1万円と記録が必要です。担当者は売上と同時に正しく帳簿へ反映させましょう。

債権譲渡・割引時の仕訳

企業が保有する債権を別の会社へ譲渡したり、銀行で割引に出して現金化したりした際の処理です。1万円の債権を銀行で割引し、手数料を500円引かれた残りが口座に振り込まれた状態を想定してみます。

担当者は借方に普通預金9,500円と電子記録債権売却損500円を記入するのが基本です。そして貸方には、手放した電子記録債権1万円を記録して資産を減らします。

手数料の勘定科目が手形売却損とは異なる点に、経理担当者は注意する必要があります。

ファクタリングの債権譲渡登記に関して、知りたい方は以下の記事もおすすめです。
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期日決済(入金)時の仕訳

約束の期日が到来し、債権の金額が企業の銀行口座へ無事に振り込まれた際の仕訳です。1万円の債権が決済された場合を例に解説していきます。

担当者は借方に普通預金1万円と記入し、現金が増えた事実を記録するのが手順です。同時に貸方へ電子記録債権1万円と記入し、権利が消滅したことを帳簿上に反映させます。システムが自動で入金してくれますが、帳簿の記録は担当者が責任を持って完了させなければなりません。消込作業を忘れずに実行しましょう。

ファクタリングの仕訳例を知りたい方は以下の記事もおすすめです。
ファクタリングの仕訳例をパターン別に解説!勘定科目や消費税の取り扱いまで

電子記録債権導入時の注意点

企業がシステムを導入する際、業務フローが大きく変わるため社内の混乱を避ける工夫が必要です。経理部門だけでなく、営業担当者も取引先への説明などに追われます。経営者は導入スケジュールを余裕を持って設定し、社内向けの勉強会などを積極的に開催しましょう。

また、従来のシステムと新しいシステムが一時的に混在する移行期間は、入力ミスが多発しやすくなります。複数人でチェックする体制を整え、確実な運用を目指すことが大切です。

電子記録債権に関するよくある質問

ここからは、電子化に関連して読者からよく寄せられる疑問にお答えします。担当者が法律のルールや今後の動向を正しく理解しておけば、実務で迷う心配はありません。

電子記録債権が使われる具体例は何ですか?

企業間の商品売買に関する代金決済が最も代表的な具体例です。親会社が下請け企業に支払う部品代や、建設業における外注費の支払いなどに広く活用されています。

また、従業員への退職金の支払いや、企業間での貸付金の記録として使われるケースも存在します。企業が多様な資金移動の場面で利用できる便利な仕組みといえるでしょう。

電子記録債権は根抵当権の対象ですか?

企業が持つ電子記録債権を、銀行融資の担保として差し入れることは法律上十分に可能です。ただし、根抵当権などの担保対象にするための手続きは、利用する記録機関のルールに従う必要があります。

システム上で担保権の設定記録を正しく登録しなければ、法的な効力は発生しません。担当者は金融機関とよく相談して手続きを進めるのが確実です。

紙の約束手形は今後廃止されるのですか?

政府や全国銀行協会は、2026年度末(2027年3月末)までに紙の約束手形の利用を廃止し、全面的な電子化を目指す方針を打ち出しています。これに伴い、多くの金融機関が紙の手形の発行や受け入れを段階的に終了させる予定です。

紙の手形は遠からず消滅するため、企業は早急に電子記録債権などの新しいシステムへ移行する準備を整えなければなりません。

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まとめ

この記事では、電子記録債権の基本情報を解説しました。

企業が紙の手形から電子記録債権へ移行すれば、印紙税の削減や紛失リスクの排除など多くのメリットが期待できます。しかし、事前の審査や取引先の理解など、乗り越えるべき課題も存在するのが現実です。

手形の完全廃止が迫る中、早めの準備と社内体制の構築が経営者に強く求められる重要な課題となります。この記事を参考に、自社に最適な決済システムの導入を検討しましょう。

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