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ファクタリングコラム
2023年8月10日
目次
ファクタリングは一般的に、「売掛債権の売却による資金調達方法」と認知されています。
しかしファクタリングには他にも活用方法があり、「売掛先の与信管理を行うための情報収集先」としても利用することが可能なのです。
本稿では与信管理の意味と必要性、さらに本来は資金調達方法であるファクタリングが、与信管理に役立つ理由などを解説させていただきます。
「与信」とはその文字が示すとおり「信用を与える」という意味であり、「与信管理」とは取引先をどこまで信用し、どこまで取引の規模を大きくするかの度合いを管理することを指します。
取引先が倒産するなど取引を行う上での危険がある場合は与信を小さくすべきであり、信用に足りるとなれば与信を大きくすることになります。
与信管理は、「売掛債権の回収リスク」を軽減するために行われます。
売掛先の与信管理をせずに大きな取引を行ってしまい、万が一にでも売掛先が倒産したとなれば、手に入るはずだった資金が得られずに資金繰りに多大な悪影響が出るのは避けられません。
現在の企業間の取引では売掛金を利用した掛取引が中心であり、与信管理を疎かにするのは企業の資金繰りにおいてのリスクを大きくしてしまうのです。
与信管理を行う上での重要ポイントの一つとして、「与信限度額」の設定があります。
与信限度額とは取引先それぞれに対して定める「売掛債権の総額の限度額」であり、「与信枠」と呼ばれることもあります。
与信限度額は一度設定すれば終わりではなく、自社や売掛先の経営状況に変化などが発生した際には、その都度見直しを行わなくてはなりません。
掛取引において「債権の未回収」に陥るリスクをゼロにすることは不可能に近く、いかにリスクを軽減するかが経営者様に求められる一つの要素となります。
このリスク軽減のために与信管理や与信限度額の設定は大きな効果があり、現在では数多くの企業で与信管理が行われています。
資金繰りを安定させるためにも与信管理は重要ですが、「ファクタリング」が与信管理に有効な資金調達方法であることはあまり知られていないかも知れません。
ファクタリングが金融機関からの借入などの他の資金調達方法では難しい、与信管理に関しての情報収集に役立つのには、独自の審査基準が大きく影響しているのです。
ファクタリングでは「売掛先の信用力」の高さが審査通過の大きなポイントとなります。
信用力とは他者から信用される度合いを指しますが、ファクタリングにおいては「売掛債権の支払いを実行できる能力や信用の高さ」となります。
信用力は与信と共通する部分が多く、ファクタリングの審査結果は与信限度額の設定などに大きく役立てることが可能なのです。
審査に通過したかどうかだけでは、信用力がある一定の水準を超えているかの判断基準にしかなりません。
しかしファクタリングを利用する際に支払いが必須となる「手数料」は、売掛先の信用力の影響を大きく受けることから、審査後にファクタリング会社から提示された買取条件を比較することで、信用力の判断に役立てることができ、与信管理が行えるようになります。
買取に関する条件が好条件になるほどに信用力は高くなり、与信限度額も大きくしやすい売掛先と判断することができます。
各ファクタリング会社では手数料に関して「○%から○%」などの情報が公開されていることも少なくなく、下限の手数料に近ければ与信は優秀と考えられます。逆に審査通過はできても提示される手数料が高額となれば、少し注意が必要な企業と考えるべきかも知れません。
ファクタリングを与信管理の情報収集に利用するメリットの一つとして、「利用するごとに情報がアップデートできる」という点があります。
債権の買取を行う際には、その都度審査が行われるのが基本ですので、条件が悪化したのであれば与信を下げることも検討すべきかも知れません。
与信限度額の設定は一度行えば終わりではありませんので、最新の情報が手に入れられるメリットは小さくはないはずです。
与信管理にファクタリングは役立てられますが、情報収集に利用する際には幾つかの注意点が存在しています。
ファクタリングを資金調達方法として活用する際にも知っておいていただきたいポイントも含まれていますので、理解していただくことで資金調達時のトラブルも減らすことができるようになります。
ファクタリングの利用には手数料が発生することは避けられません。これ自体は致し方ないことなのですが、融資を受ける際の金利を制限する「利息制限法」のような法律がファクタリングの手数料にはないという点に注意が必要です。各社の基本となる手数料設定に違いがあるため、他社利用時の手数料と比較しても与信管理の正確性が低下してしまう可能性があります。
同じ売掛先の債権を売却したのに買取手数料が安くなった場合、与信限度額を大きくしても問題ないと考えたくなりますが、手数料が引き下げられた理由を考えてみることも大切です。
なぜなら手数料は債権の額や決済日までの残り日数も影響する可能性があるだけでなく、同じファクタリング会社を繰り返し利用することでも引き下げられることが多いからです。
判断に迷った時には、手数料が安くなった理由をファクタリング会社に質問してみることをおすすめします。
与信管理も行えるファクタリングでは、債権譲渡の手続きをする際に売掛先に通知を行うか否かを選択することが可能です。
通知を行うことで手数料が低く設定されやすくなるものの、売掛先にファクタリングの利用を知られたくないとお考えであれば、通知を行わないという選択肢を選ぶ必要があります。
ファクタリングは金融庁も「事業者の資金調達の一手段」と認めていますが、売掛先との関係性などを考慮して通知を行うかを判断することも大切です。
与信管理の情報収集先として活用することができると言っても、ファクタリングは前述したように「事業者の資金調達の一手段」であることは間違いありません。
情報収集だけを目的として利用した場合、ファクタリング会社から良い顔をされなくても不思議はなく、あくまで資金調達を行いながら情報収集ができると考えて利用することをおすすめします。
売掛債権を売却して現金化するファクタリングは「資金調達」と「与信管理」に役立てられる一石二鳥な資金調達方法と言うことができます。
しかし実はファクタリングは、さらに「貸し倒れ対策」にも利用することができる「一石三鳥」な資金調達方法なのです。
ファクタリングを利用する本来の目的は「資金調達」に違いありません。
売掛債権を決済予定日よりも早く現金化できることで、支払い待ちの間に資金がショートしてしまうピンチも回避できるのが大きなメリットです。
さらには即日での債権現金化も可能であり、金融機関からの融資では間に合わないという状況でも頼りになります。
その他、ファクタリングの申込を行った企業の経営状況が芳しくなくとも審査への悪影響がほぼないというのも、この資金調達方法の特徴となります。
売掛先が倒産などしてしまい債権の回収が不可能となる「貸し倒れ」は、信用取引の大きなリスクです。
しかし「償還請求権なし」で利用できるファクタリングを資金調達に活用すれば、債権売却後は売掛先が倒産しても債権の買戻しなどを求められることがなく「貸し倒れのリスク対策」の効果を得ることができます。
ただし契約内容が「償還請求権なし」や「ノンリコース」となっていない場合はこの効果は得られませんので、契約内容はしっかりとご確認ください。
一般的にファクタリングと呼ばれている債権売却による資金調達方法は、正しくは「買取ファクタリング」という名称になります。
ファクタリングには他にも「保証ファクタリング」と呼ばれるサービスも存在しており、こちらは売掛債権に対する保険的な役割を果たします。
ただし売掛先の倒産時に支払いを受けられるものの、「全額保証ではない可能性がある・個別の債権それぞれに保証は付けられない(包括保証)」という点には注意が必要です。
一般的なファクタリング(買取ファクタリング)は、本来の目的である資金調達以外にも、売掛先の倒産などによって債権が回収不能になるリスク回避にも役立ち、そして与信管理の情報収集にも活用することができます。
あくまでメインの働きは債権の現金化ですが、それ以外のメリットも得られることで利用価値は大きく高まります。
信用取引を行う以上、売掛先の与信管理を避けて通るのは経営上の大きなリスクを放置してしまうことに繋がります。
もし与信管理の情報収集は容易ではないからと諦めてしまっているのであれば、ファクタリングを活用してみてはいかがでしょうか?
売掛債権の早期現金化による資金繰りの安定化を行ないつつ与信管理にも役立てられるファクタリングは、中小企業や個人事業主の強い味方となります。
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