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ファクタリングコラム
2022年7月5日
目次
売掛債権を活用した資金調達方法を探した際には、「ファクタリング」や「ABL」という方法が見つかるはずです。この2つは内容の大きく違う資金調達方法であり、その違いを理解しなくては正しく活用することはできません。この記事では、ファクタリングとABLそれぞれの特徴と相違点、そしてどちらが中小企業の資金繰りに特に向いているのかを解説します。
ファクタリング(売掛債買取業務)とABL(売掛債権担保融資)の共通点は、どちらもが売掛債権を資金調達に活用できるという点です。経済産業省中小企業庁は売掛債権を資金調達に活用することを促進しており、国の施策であることも明言していますが、ファクタリングもABLもこの1つに違いありません。
ファクタリングは「売掛債権買取業務」とも呼ばれ、事業主が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、売掛債権額から手数料を差し引いた額の早期現金化ができるサービスです。その名の通り、売掛債権を「譲渡・売買契約」により売却する手法であり、売掛債権は担保として扱われません。また、ファクタリングは償還請求権のない契約が原則であるため、資金調達後に売掛先が倒産したとしても売掛金の買い戻しが不要です。担保・保証人不要、負債を抱えない、利用企業が赤字経営でも問題ないなど、融資とは大きく違う特徴を幾つも持ちます。
ファクタリングは、申込み当日に債権を現金化することも不可能ではありません。手続きの大半または全てをオンライン上で行えるWEB完結型のファクタリング会社選択すれば、最短30分で入金されるなど最速での資金調達にも期待できます。
また、ファクタリングの審査において重要なのは「売掛先が債権の代金支払いを実行する確率」となります。そのため、支払いへの影響が小さい債権者(ファクタリング利用者)の経営状況は審査で重要視されることはありません。赤字経営や債務超過など融資の審査に通過できないような企業でも、ファクタリングであれば審査通過できる可能性は高いでしょう。
ファクタリングには売掛先からの承諾を得ずに債権の売却を行う2社間ファクタリングという選択肢があります。2社間ファクタリングを選べば売掛先に知られずに資金調達が可能であり、取引関係に悪影響を与えません。しかし2社間ファクタリングという契約方法は手数料が高くなりやすいというデメリットがあります。対し、売掛け先への承諾を得て債権を売却する3社間ファクタリングは、手数料は低くなりやすいものの売掛先との取引関係に配慮する必要があるという注意点があります。ファクタリングは、契約方法次第で手数料も大きく変動しますので、最適な選択肢を選ぶことが大切でしょう。
ABLとは「Asset Based Lending」の頭文字を取った略称であり、日本語では「売掛債権担保融資」と呼ばれます。日本語での名前の通り、ABLは売掛債権を担保として設定することで融資を受ける資金調達方法です。債権が担保として扱われるため、融資額の返済が不能になった際には売掛債権から支払いを行わなければなりません。もしもの時には売掛債権を失うことになりますが、ABLは無担保融資よりも融資を受けやすくなるというメリットがあります。
ABLの最大の特徴としては、不動産などの固定資産を持っていない企業も融資が受けやすいという点が挙げられます。大手企業であれば、不動産等の担保を用意するのも難しくないでしょう。しかし、中小零細企業の場合は不動産を有していない企業も多く、担保がないことが理由で通常の融資を受けられないことも珍しくありません。売掛債権であればどの企業でも保有している可能性は高く、融資を受けられる可能性は高くなるでしょう。ABLはあくまで融資ですので完済を目指し返済を続けていく必要がありますが、資金繰りを大きく安定させることが可能です。
ABLはあくまで売掛債権を担保にした融資です。融資である以上、頼り過ぎて負債の額が大きくなった場合には過剰担保による倒産の危険性があることは理解すべきでしょう。また在庫商品や売掛金を担保とした場合には、定期的に状況を報告する必要や確認される可能性が高くなります。会社の状況を融資を受けた金融機関に知られることになるのも、ABLのデメリットの1つとなるかも知れません。
ファクタリングとABLは売掛債権を活用するという点以外では多くの点で違いがあり、実際には全く違う資金調達方法と言って間違いはありません。ファクタリングとABL、どちらの資金調達方法を選ぶべきかを検討する際のポイントとなる相違点をご紹介します。
資金調達の鍵となる売掛債権ですが、ファクタリングは売却となり、ABLでは担保として扱われます。この違いは非常に大きく、資金調達後のリスクに大きく関与します。ファクタリングは償還請求権のない契約が原則であり、ファクタリングを利用した企業が売却した売掛債権に関する責任を負うことはありません。ファクタリングは、売掛債権の回収ができなくとも弁済は不要なので、リスクは殆ど無いと言えます。一方で、ABLでは完済まで売掛債権を失うリスクを抱え続けるということになります。もちろん安定して返済を進めることが前提であり、無事に完済できれば問題にはなりません。ABLにおいては返済不能になった際には売掛債権を失うリスクがあることは理解しておきましょう。
ファクタリングでは売却を希望する売掛債権の額以上の資金調達は不可能であり、現実的には債権の額面から手数料が引かれた額が手元に入る現金となります。対してABLでは審査次第では高額の資金調達ができる可能性があります。とは言っても担保に入れる売掛債権や動産の価値に大きく左右されることになり、それ相応の担保が用意できなくては大きな資金調達の実現は難しいでしょう。
売掛先の信用力が審査に大きく影響するのがファクタリングであり、ABLは返済能力や資産価値が審査で重要となります。ファクタリングは売掛債権の売買であるため「売掛先が売掛金を支払えるかどうか」が重要であり、利用会社の経済状況は審査に大きく影響しません。つまり、ファクタリングは赤字など経営状況が芳しいとは言えない状況の企業でも利用しやすい反面、売掛先の経営状況に問題がある場合には審査通過は難しくなります。対してABLでは、融資を希望する企業の返済能力が低いと判断された場合、融資の審査通過は期待しにくくなります。審査基準に関しては置かれた状況によってどちらが向いているかは変わりますので一概には言えませんが、融資の審査に通過できなくともファクタリングの審査は通過できたという企業は少なくはありません。
資金調達までに必要な期間を大きく左右するのは「審査にかかる時間」です。ABLは審査内容が複雑かつ厳重になることもあり、2週間から1ヶ月程度の期間が必要になるのが一般的。しかしファクタリングは即日の資金調達が期待でき、手続きがスムーズに行えれば多くの場合で1週間以内には資金調達が完了できます。急ぎで現金が必要な時には、ファクタリングの方が有用でしょう。
なお、ファクタリングで即日資金調達するためには2社間ファクタリングの選択が必須となります。3社間ファクタリングでは、売掛先企業との手続きも発生する関係上、即日では資金調達できません。2社間ファクタリングで最短即日~3営業日、3社間ファクタリングで最短3営業日~1週間が平均速度となりますので、注意しましょう。
中小企業に向いている資金調達方法の条件には、以下の条件が挙げられます。
・素早い資金調達が可能
・審査基準が中小企業向け
・資金調達後のリスクが小さい
中小企業は十分な資金プールがないことも多く、必要なタイミングで資金を用意できない場合、黒字倒産につながることがあるかもしれません。また、取引先との信頼関係の破綻は今後の事業継続に大きく影響するため、支払い遅れなどの金銭問題も避けるべきです。必要なタイミングで必要なだけ資金調達できれば、これらの心配は無用となるでしょう。しかし、資金調達が必要な場面でも、審査通過できなくては資金調達できません。そのため、中小企業でも審査通過しやすいような審査基準も重要と言えます。さらには、資金調達後のリスクが大きくては、安心して事業を行うこともできないでしょう。可能な限りリスクが低い方法が望ましいです。
最短即日で資金調達ができるファクタリングのスピードは、装置トラブルの際の修理や工具の買い替えなど急な出費が必要となった際にも素早く現金を用意することを可能としてくれます。ファクタリングはスピード感だけでなく審査も柔軟であるため、融資を受けるよりも現金を用意できる可能性が高い点も魅力的。さらに償還請求権がないことで、資金調達を終えた後のリスクも小さいという点も中小企業向けと言えるでしょう。
なお、ファクタリングでは、売掛先への通知の有無により「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2つの方式が選択可能です。2社間ファクタリングであれば、売掛先へ通知を行わず、売掛先へ資金調達をした事実を知られることがありません。資金調達をしたことが売掛先へ知られ、資金繰りが悪化しているかもしれないと疑われる心配も無用という点もメリットとなるでしょう。
中小企業が融資を利用しにくいのは「経営が安定しにくい」ことや「将来性を証明しにくい」ことが理由として考えられます。しかしファクタリングは経営状況などが審査に大きく影響しないことで、多くの中小企業が審査通過し資金調達を成功させています。また、経営が安定しにくい企業では、売掛債権が回収できなかった場合、会社存続の危機にもつながりかねません。ファクタリングで早期に売掛債権を売却してしまえば、万が一売掛債権が不履行になっても買い戻しは不要です。つまり、確実に売掛債権を現金化できるのです。そういった点でも、ファクタリングは中小企業向けと言えるでしょう。
自社が保有している売掛債権額よりも高額な資金が必要な場合には、ABLの方が有用です。と言うのも、ファクタリングは売掛債権の売却で行う資金調達方法であり、売掛債権額以上の資金調達は不可能だから。審査次第にはなりますが、ABLであれば売掛債権額以上の資金調達も不可能ではありません。必ず資金を準備できるわけではないので注意は必要となりますが、高額の資金が必要となる場合はABLの利用を検討してみるのも良いでしょう。
ファクタリングが中小企業の資金調達方法としておすすめなのは、「融資ではない」ということも大きな理由です。融資に頼った会社経営は、負債の額を増やし債務超過の危険も増すことになります。またバランスシートの肥大化は会社としての価値を下げる危険があり、融資を受けることを難しくてしまいます。ファクタリングという「融資に頼らない資金調達方法」という選択肢を持つことで、健全な会社経営を行いやすくできるようになるはずです。
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