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ファクタリングコラム
2024年12月22日
医療機関の資金繰りが厳しいときに、早期に資金調達可能な手段として、レセプトファクタリングがあります。
病院、クリニック、調剤薬局、歯科医院などが利用できるレセプトファクタリングですが、いったいどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。
この記事では、レセプトファクタリングの仕組みや、メリット・デメリット、業者選びのポイントなどについて解説します。
はじめに、レセプトファクタリングの概要・医療ファクタリングの種類・レセプトファクタリングの利用手順について詳しく解説していきます。
レセプトファクタリングは、レセプトを売却することによる、資金調達方法です。
日本では高齢化の影響もあり、医療機関においては、会計時に受け取る現金よりも、社保・国保から受け取る金額の方が圧倒的に多くなっています。
具体的には、70歳未満は3割、70歳以上が2割、75歳以上は1割を自己負担分として会計で払うために、実に7割以上が社保・国保からの入金になっているのです。
そのため、売り上げの大部分が発生から2か月以上経過後に入金されることになり、タイムラグが生じます。
しかし、その間にも支払いは待ってくれず問答無用で発生します。
特に、スタッフへの給与の支払いには絶対に遅延が許されないため、現金調達で悩む医療機関は珍しくありません。
そのため、早期に売掛金を回収できるファクタリングは、多くの医療機関において資金調達手段として注目されているのです。
レセプトファクタリングと呼ばれるものには、以下の3種類が存在します。
・医療ファクタリング
・介護報酬ファクタリング
・調剤報酬ファクタリング
これらの医療報酬は通常、報酬が最短2か月後に振り込まれるという共通点があります。
そのため、資金繰りが悪化しやすい傾向があり、医療従事者の共通の悩みとなっています。
こうした理由から早期の債権現金化の需要が大きく、素早い資金調達を可能にするサービスが存在しているのです。
これらのファクタリングは利用者が異なるだけで、資金調達の流れは全く同じ。
こういった医療機関において、発行される明細書をレセプトと言い、レセプトを買い取るサービスがレセプトファクタリングと呼ばれます。
ここではレセプトファクタリングの利用手順について、詳しく解説していきます。
レセプトファクタリングは、申込者とファクタリング会社、保険支払い機関(国保など)の3社間で契約を行います。
具体的には以下のような流れになります。
1. ファクタリング業者を選択し契約する
2. 国保・社保にレセプトを請求する
3. ファクタリング業者と債権譲渡契約を結ぶ
4. ファクタリング業者から利用者に手数料を引いた診療報酬が支払われる
5. 社保・国保からファクタリング業者に診療報酬を支払う
それぞれを深掘りし解説します。
まずはレセプトファクタリングを依頼する業者を選択します。
業者選びは非常に大切で、ここを間違えてしまうと悪徳業者や、手数料が高い業者を選んでしまう可能性があります。
そのため、業者選びの際には、ホームページなどをよく見て比較するようにしましょう。
ファクタリング業者の社歴が浅い場合や、不審点がある場合には利用を控えるべきと言えます。
特に、住所や電話番号が書かれていない場合は、違法の悪徳業者の可能性も高いです。
さらに、住所を検索し民家や空き地であれば、相当に怪しいと思ったほうがいいでしょう。
一方で、10年以上の社歴があり、住所や連絡先が明記されている業者を選べば、悪質業者の可能性は非常に低くなります。
利用する業者を選択し見積もりの作成を依頼し、条件に納得出来たら契約に進みましょう。
業者との契約が済んだら、通常通り国保・社保にレセプトを請求しましょう。
この手順はファクタリングをする以前の方法と同様に、保険医療機関に請求を行えば大丈夫です。
続いて、ファクタリング業者と債権譲渡契約を結んでいきます。
この段階においても特に注意すべき点はありません。
ファクタリング業者の案内通りに手続きを行えば問題ないでしょう。
債権譲渡契約後は、ファクタリング業者から資金が振り込まれます。
入金は、国保・社保とファクタリング業者のやり取りが発生するため、通常数日後に診療報酬が支払われます。
この際には、入金された金額が契約書の通りの額面になっているかどうか、確認したほうがいいでしょう。
尚、このタイミングで業者から入金されるのは、債権の8割程度の金額になります。
なぜなら、請求した医療報酬が、保険支払機関により全額認められるかどうかは不明だからです。
そのため、診療報酬が全額認められなかったときのことを考え、債権額の8割程度を支払い、審査結果が出た後に残りの金額が支払われる流れになります。
最後に、ファクタリング業者が社保・国保から債権譲渡された診療報酬を受け取り、一連の流れが終了します。
この際には、社保・国保による審査結果が出ているため、その結果に応じて未払い分が入金されることになります。
医療機関の資金調達の方法としてレセプトファクタリングを選ぶメリットとして、以下の点が挙げられます。
・資金繰りを改善可能
・安い手数料で債権回収できる可能性が高い
・審査通過率が高い
・償還請求権が無い
・融資を断られた場合でも利用可能
・開業間もない時期にも資金調達できることもある
これらのメリットについて詳しく解説していきます。
レセプトファクタリングは、本来は数か月先に支払われる債権を、迅速に回収できます。
そのため、手元に現金が無いときに、早期の資金調達が可能となり資金繰りの改善に役立ちます。
また、初回利用時には二か月分の資金がまとめて入る点も、レセプトファクタリングのメリットと言えます。
レセプトファクタリングを申し込んだ翌月には、2か月前に請求した診療報酬の入金と、ファクタリング業者からの入金が重なるからです。
そのため、資金繰りが厳しくまとまった現金が必要な際には、非常に役に立つことでしょう。
レセプトファクタリングには、手数料が安いというメリットも存在します。
医療債権は売掛先が公的機関なので、ほぼ確実に資金回収でき、ファクタリング業者から見て貸し倒れリスクが非常に低いです。
そのため、売掛先が一般企業の場合と比べると、圧倒的に安い手数料で資金調達できる傾向が強いのです。
具体的には手数料は1%~3%程度であることが多く、手数料が30%掛かることも珍しくないファクタリングの中では、かなり安い水準になっています。
審査通過率の高さも、レセプトファクタリングの特徴と言えます。
レセプトファクタリングは3社間で行われることから、業者は社保・国保から売掛金を受け取ることができ、未回収のリスクがほぼありません。
また、売掛金の回収を確実に期日通りに行えることから、回収時に労力がかかることも考えにくいです。
そのため、一般企業が申し込んだときに比べ、ファクタリング業者の審査が圧倒的に緩くなることが多いです。
したがって、審査期間が短い傾向があり審査通過率も非常に高くなります。
償還請求権とは、債権をファクタリング業者が回収できなかったときに、利用者に債権を請求する権利です。
もし償還請求権があれば、万が一ファクタリング業者が資金を回収できなかった場合に、業者にその分の費用を支払わなければなりません。
しかし、医療ファクタリングでは債権未回収のリスクが無いため、償還請求権が存在しません。
そのため、万が一診療報酬を回収できなかった際の責任を背負う必要が無く、安心してレセプトファクタリングを利用可能です。
銀行やノンバンクで融資を断られた場合にも、ファクタリングは利用できます。
融資の場合には自社の返済能力を見られます。
そのため、以下のように経営状況が思わしくない状況では、審査に落ちる確率が上がってしまいます。
・税金未納
・赤字決算
・銀行融資の審査に通らない
・ノンバンクのビジネスローンの審査にも落ちた
一方で、ファクタリング審査の際に重要となるのは、自社の経営状態ではなく売掛先の信用力です。
そのため、申込者がどのような状態であろうと利用できる可能性があります。
特に、債権回収できる可能性が極めて高いレセプトの場合には、高確率でファクタリングの審査に通ります。
融資を断られ資金繰りに困っている場合には、レセプトファクタリングの利用を検討するといいでしょう。
レセプトファクタリングの場合、開業直後でも利用しやすいのもメリットと言えます。
一般企業の場合には、開業後間もない場合には、ファクタリングを利用できないことも珍しくありません。
しかし、レセプトファクタリングの場合には話が別です。
売掛先が社保・国保といった公的な機関であることから、開業直後であっても利用できる可能性が高いのです。
診療報酬は請求から入金まで数か月のタイムラグがあるため、開業直後は特に資金繰りが厳しくなりやすいです。
その際に、銀行融資を利用できればいいのですが、開業の際に銀行融資を受けている場合は特に、追加融資が認められないケースも珍しくありません。
そういった場合に役立つのが、レセプトファクタリングです。
ファクタリングであれば融資額などに関係なく利用でき、開業直後の資金難を乗り越える際の力強い存在になりうるでしょう。
ファクタリングを利用する際には、デメリットを許容できるかどうかを確認しておくのも重要なため、ここではデメリットについて解説いたします。
レセプトファクタリングには以下のようなデメリットも存在します。
・申し込み直後に全額を受け取れるわけでは無い
・一度利用すると辞めるタイミングが難しい
・悪徳な業者も存在する
・調達できる資金額に限度がある
それぞれを詳しく解説します。
診療報酬ファクタリングでは、基本的に申し込み直後に全額を買い取ってもらえることはありません。
70%~90%はすぐに入金されますが、残りの10%~30%が入るのは後日になります。
これは、社保や国保に申請したレセプトの金額が、100%承認されるかどうかが分からないためです。
レセプトが審査に通らなかった場合、ファクタリング業者は損失を出してしまうことになるため、それを回避するために債権金額の8割程度を買取するのです。
残債の買取が可能になるのは、国保や社保からの支払金額が確定した後となります。
こうした事情から、申し込み後すぐに買取金額の100%が入金されるわけでは無いことを理解しておきましょう。
ファクタリングは、一度利用すると、継続して利用してしまいやすいデメリットがあります。
レセプトファクタリングは、数か月後の診療報酬を前借する制度。
そのため、利用すると社保や国保からの入金が、全くない期間が発生することになります。
その結果、また資金不足に陥ってしまい、ファクタリングで報酬を前借する必要が出てきます。
このようにして、一旦利用するとファクタリングを毎月のように使用し、必要経費を賄うサイクルに入りやすくなってしまいます。
一度前借してしまうと、資金の流れを通常通りに戻すのが、非常に困難な現実があります。
そのため、レセプトファクタリングを利用する際には利用期間を決めた上で、計画的に利用することが非常に大切です。
ファクタリング業界の中には悪徳業者もいるため、注意が必要です。
悪徳業者は、現金化の際に相場を大幅に上回る高額な手数料を要求してきます。
例えば、広告では「99%の高価買取」などと謳っておきながら、実際に買取する際には債権の7割程度の金額を提示される例もあります。
こうした業者は、高額な買取金額で気を引き、資金繰りに困っている状況を逆手に取り足元を見るのです。
通常であればこういった条件を提示された場合には、断ることが当然でしょう。
しかし、お金に困っている状況では、普通に考えればあり得ないような条件でも、ついつい呑んでしまうことがあり得ます。
そのため、手数料が異様に高いと感じた場合や、ホームページに記載されている買取条件からあまりにかけ離れた条件を出された場合には、一度冷静になるようにしましょう。
レセプトファクタリングの業者はほかにも存在します。他の業者に問い合わせなら、条件を比較してから決断しても遅くはありません。
レセプトファクタリングには、調達可能資金に限度があるというデメリットも存在します。
ファクタリングにおいての上限は、診療報酬額の範囲内であり、それ以上の金額を調達することは不可能です。
そのため、レセプトの範囲を超えた資金が必要な状況においては、ファクタリングを利用しても状況の解決に結びつかない可能性が高いです。
多額の資金を調達する必要がある場合には、ファクタリングではなく銀行やノンバンクの融資といった他の手段を利用すべきかもしれません。
レセプトのファクタリングは、一般的なファクタリングよりも審査のハードルが低く、手数料も安く、安全性も高い資金調達方法です。
このため、大きなデメリットはありません。
強いて挙げるならば、以下の2点に注意が必要です。
まず注意したいのは、ファクタリング依存です。
ファクタリングは利便性が高く、経営的なメリットも大きいため、多くの会社が継続的に利用しています。
もちろん、他の資金調達方法と組み合わせながら、ファクタリングすべき時に積極的にファクタリングするというスタンスならば良いのですが、これがファクタリング依存になってしまうと問題です。
ファクタリングを利用すると、手数料分だけ利益が目減りするため、利益率の低下につながります。
レセプトのファクタリングも、手数料が安いからといって油断はできません。
経営サポートセンターリサーチグループのレポートによると、2020年度の医療利益率は過去最低の水準となりました。
一般病院が△0.9%、療養型病院が2.6%、精神科病院で0.5%という状況です。
利益率が低ければ銀行融資も出にくいため、銀行融資の代替としてレセプトのファクタリングの利用価値が高まっています。
しかしながら、このような低水準の利益率が、ファクタリング手数料によってさらに目減りするのですから、利益の確保が困難になる医療機関も少なくないでしょう。
レセプトのファクタリングによって売上が赤字になると、その赤字を埋め合わせるためにさらなるファクタリングが必要となり、悪循環に陥る恐れがあります。
したがって、医療機関がレセプトをファクタリングする際には、ファクタリング依存に陥らないように注意が必要です。
ファクタリングの流れでも解説した通り、レセプトのファクタリングには掛け目があります。
通常のファクタリングならば、掛け目の有無はファクタリング会社によって異なるのですが、レセプトのファクタリングは基本的に80%程度の掛け目が適用されると考えましょう。
例えば、ある月に1000万円分の医療行為を行い、全ての患者負担率が3割であれば、回収済みの診療報酬は300万円、未回収の診療報酬は700万円となります。
掛け目80%の場合、レセプトのファクタリングによって早期回収できるのは560万円です。
手数料率1%の条件であれば、ファクタリングする債権額700万円に対する手数料は7万円。
残る20%の部分から7万円を差し引いた133万円が振り込まれるのは、支払期日から数日後です。
レセプトのファクタリングによって資金を調達する場合、掛け目を織り込んで資金繰り計画を立てることが重要となります。
今回は「レセプトファクタリング」について概要、レセプトファクタリングをすることによって得られるメリットデメリットを解説しました。
医療機関が発行するレセプトは非常に信用力が高いため、好条件で買い取ってもらえる確率が高いです。
しかし、毎月のようにファクタリングを利用していては余計に資金繰りを圧迫しかねませんので、短期間で上手に活用しましょう。
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