ファクタリングの掛け目とは？掛け目の目安や掛け目がある理由についても解説

ファクタリングの掛け目とは？掛け目の目安や掛け目がある理由についても解説

ファクタリング

2025年1月29日

ファクタリングのよくある誤解の一つが売掛金から手数料を引いた金額が入金される、というものです。実際は手数料に加えてファクタリング会社が設定した掛け目も差し引かれるため、掛け目について知らないと入金額が想像よりも低く事業資金を賄いきれなかった、などのトラブルに繋がる可能性があります。この記事ではファクタリング会社に掛け目が必要な理由やファクタリングの種類ごとの掛け目の目安について解説していきますので、ファクタリングの利用を検討している人は是非参考にしてみてください。

ファクタリング会社はどうして掛け目を必要とするのか

ここではファクタリング会社に掛け目が必要な理由について解説していきます。掛け目はファクタリングにおける保証金のようなものであり、ファクタリング会社に売掛金を全額入金することによって返金されます。売掛金の回収不能リスクを軽減し、ファクタリング会社の資金繰りを安定させるために掛け目は必要な存在なのです。

1.回収不能リスクをゼロにできない

ファクタリングは利用者にとっては売掛金を素早く現金化できる非常に便利なサービスですが、一方でファクタリング会社は常に売掛金の回収不能リスクと向き合わなければなりません。例として利用者の取引先が売掛金の支払いを遅延したり、あるいは倒産して売掛金が回収不能になるとファクタリング会社の資金繰りはその分悪化することになります。よって掛け目という形で売掛金の一部を確保し、回収漏れ資金に充当することで資金繰りの悪化を最小限に留めるのです。

2.利用回数が増えるほど掛け目が上がる

掛け目の割合は固定されているわけではなく、ファクタリングの利用回数が増えれば増えるほど上がっていきます。これは利用回数が増えると共に利用者の信用も上がっていくためです。もしファクタリングで効率的に資金調達をしたいのであれば、掛け目を上げるためにファクタリング会社を一社に絞って繰り返し利用することをおすすめします。

3.ファクタリングの種類や契約方法ごとに掛け目の割合も異なってくる

掛け目の割合ですが、ファクタリングの種類や契約方法によっても異なります。掛け目はリスクが低いほど上がるため、例として2社間ファクタリングよりもリスクが低い3社間ファクタリングの方が割合は上がります。とはいえリスクが低いファクタリングには売掛金の現金化に時間がかかったり、取引先にファクタリングの利用を知られるなどのデメリットもあるため、資金調達の緊急度や取引先との関係を考慮しつつ使い分けることが重要です。

ファクタリングの種類は6種類

ここではファクタリングの主要な6種類について解説していきます。ファクタリングは目的の違いから買取型と保証型の2種類に分けられ、そこから更に買取型が4種類、保証型が2種類の合計6種類に分けられます。一般的にファクタリングというと買取型の中の買取ファクタリングを指しますが、それ以外にも保証ファクタリングや注文書ファクタリングなど便利なファクタリングがありますので、是非最後まで読んでみてください。

1.買取ファクタリング

買取ファクタリングは買取型に属するもっとも一般的なファクタリングです。売掛金をファクタリング会社に譲渡し、その対価として手数料や掛け目を差し引いた金額が入金されます。買取ファクタリングの掛け目の目安ですが契約方法によって異なり2社間ファクタリングで60％台後半から80％程度、3社間ファクタリングで80％台から90％程度となっています。

2.診療報酬ファクタリング

診療報酬ファクタリングも買取型の一種で、診療報酬を受け取る医療機関が診療報酬債権をファクタリング会社に譲渡することで現金を調達するサービスです。 診療報酬ファクタリングの場合、取引先にあたるのが社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会 であり、倒産や不渡りのリスクがほぼないため掛け目も90％～95％ と高くなっています。

3.一括ファクタリング

一括ファクタリングは買取型の一種ですが、資金調達よりも手形取引の手間を省くことが主な目的となります。一括ファクタリングでは売掛金を支払う側である支払企業がファクタリング会社に依頼して売掛金の支払い手続きを代行してもらいます。これにより支払企業は支払い手続きの作業負担を軽減しつつ収入印紙代を削減でき、売掛金を受け取る納入企業も手形の管理事務の削減や売掛金の早期現金化といった恩恵を受けられます。なお一括ファクタリングは売掛金を支払う側が利用するサービスのため、掛け目は必要ありません。

4.注文書ファクタリング

注文書ファクタリングは請求書ではなく注文書があれば契約できる買取型ファクタリングの一種です。売掛金は商品やサービスを納入した時点で発生するため、注文書の段階では本来ファクタリングは利用できません。ですが注文書ファクタリングではファクタリング会社があえて売掛金が既に発生している、とみなして契約を行います。買取ファクタリングと比べて売掛金の回収不能リスクが高いため、手数料だけでなく掛け目の割合も高く設定されることが多いです。大規模だが売掛金の入金に時間がかかる案件や着手金が足りない案件など用途を限定して使用することをおすすめします。

5.保証ファクタリング

保証ファクタリングは保証型に分類されるファクタリングの一種です。資金調達ではなく売掛金の保証が目的であり、取引先が倒産するなどして売掛金が回収不能になった際、保証ファクタリングを利用していればファクタリング会社がその損失を補填してくれます。売掛金の回収不能リスクは軽減できるものの、保証料が発生したり保証には限度額があるなどのデメリットも存在するため、事業の存続に影響を与えるレベルの大口取引にのみ使用するとよいでしょう。また売掛金を譲渡するわけではないため掛け目も存在しません。

6.国際ファクタリング

国際ファクタリングも保証型のファクタリングの一種であり、海外の企業と取引をしている場合に利用できます。通常ファクタリングに関わるのは最大でも依頼者、取引先、ファクタリング会社の3社ですが、国際ファクタリングでは依頼者である輸出業者、輸出国のファクタリング会社、取引先である輸入業者、輸入国のファクタリング会社の4社間でファクタリングを行います。海外取引の安全性を高めたい場合、時間と労力をかけて信用状や保証状を取得するのが一般的ですが、 国際ファクタリングであればファクタリング会社に海外取引の保証を依頼できるため、時間と労力の大幅な節約になります。

買取ファクタリングの契約方法は2つ

ここではファクタリングの2つの契約方法について解説していきます。買取ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという2つの契約方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。また掛け目の割合も異なりますが、これは契約方法ごとに売掛金の回収不能リスクが異なるためです。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、依頼者とファクタリング会社だけでファクタリング契約を結ぶ契約方法です。最大のメリットは売掛金を素早く現金化できることで、ファクタリング会社によっては売掛金をわずか10分で現金化できる場合もあります。一方デメリットとしては手数料率が高く、審査が厳しいことが挙げられます。これは売掛金の実態を調べることが難しく、回収不能リスクが高いためで、掛け目も最大で80％程度と低い割合になっています。

3社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、依頼者とファクタリング会社だけでなく取引先も契約に参加する方法です。最大のメリットはファクタリング手数料が安いことで、資金調達コストをできるだけ抑えたい場合はこちらが適しています。一方デメリットとしては売掛金の現金化に時間がかかることや、ファクタリングを利用したことを取引先に知られてしまうことが挙げられます。3社間ファクタリングは契約に取引先が参加することから売掛金の回収不能リスクが低く、その分掛け目も最大で90％程度と高い割合になっています。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらを選ぶべき？

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらを選ぶべきかは、資金調達の緊急度によって変わってきます。運転資金が今にも底を尽く、という状況であれば申し込み当日に入金されることもある2社間ファクタリングを選ぶべきです。また運転資金には若干の余裕があるが長期的に見ると厳しい、という状況であれば手数料が安く掛け目が高い3社間ファクタリングを選びましょう。注意点としてファクタリングを頻繁に利用すると手数料の負担が増大し、資金繰りの悪化に繋がりますので飽くまでも緊急時の資金調達法であることを忘れないでください。

ファクタリングで起こりがちな３つのトラブル

ここではファクタリングを利用した際に起こりがちなトラブルを3つ解説していきます。ファクタリングのトラブルの中でも特に注意しなければならないのが悪徳ファクタリング会社と契約してしまうことです。また売掛金の入金忘れも放置していると横領罪に問われる可能性があるため、必ず迅速に対応しましょう。

1.手数料や掛け目の誤解

ファクタリングで頻繁に起こるトラブルの一つが、手数料や掛け目を誤解してしまうことです。手数料率を実際よりも低く見積もっていたり、掛け目の存在を忘れていたりすると入金額が想定したよりも大幅に少なかった、という事態になりかねません。そういった事態を避けるためにも実際の入金額がいくらになるのかファクタリング会社の担当者に必ず確認しましょう。

2.売掛金の入金忘れ

売掛金の入金忘れもありがちなトラブルですが、放置していると深刻な事態を招きます。2社間ファクタリングの利用者は指定された期日に売掛金をファクタリング会社に入金する義務があり、遅れてしまうと遅延損害金が発生したり、最悪の場合は売掛金を使い込んだとみなされて横領罪に問われる可能性もありますので、入金忘れは絶対に避けてください。

3.悪徳ファクタリング会社との契約

ファクタリングを利用する上で絶対に避けなければならないのが悪徳ファクタリング会社との契約です。悪徳ファクタリング会社は法外な手数料の請求やファクタリングと見せかけて不利な条件の融資を契約させようとしてくるため、担当者の態度に少しでも不審な点を感じたら契約を見送ることをおすすめします。

ファクタリングの掛け目についてのまとめ

ファクタリングの掛け目について知らずに利用すると、十分な資金調達ができず経営の悪化に繋がる可能性があります。ファクタリングを利用する際は必ず掛け目の割合を確認し、正確な入金額を把握するようにしてください。